株式会社リクルートホールディングスの中間持株会社である株式会社リクルート(以下、リクルート)は2021年3月18日、新しい人事制度を導入すると発表した。これにより年間休日が145日に増え、週休は年平均2.8日となる。この新制度は、2021年4月1日に行われる国内7社の統合を契機として、直接雇用の従業員、約1.6万人を対象に実施。同社が重視する「個の尊重」をベースとした働き方の導入で、社会により大きな価値を還元していきたい考えだ。
リクルートが週休約3日へ。従業員1.6万人を対象に「個を尊重」する新しい人事制度を導入

働き方を進化させ、社会に新たな価値を創出

今回リクルートでは、従来のグループ企業および事業領域、社内外の垣根を超えた協働・協創を加速させ、「社会により大きな価値を生み出すこと」を目的として国内7社の統合を決定した。2015年以来取り組んできた「働き方の進化」をより加速させるべく、統合後の直接雇用従業員、約1.6万人を対象とし、人事制度を改訂するという。

今回の人事制度改訂では、リクルートが創業以来重視してきた「個の尊重」という思想を中心に、多様な背景を持つ個人が創造性を最大限に発揮できるよう、働き方を自律的に選択できる環境を整備する。こうして働く個人やチームの「個の尊重」を支えることを通じて、社会にも「個の尊重」を体現する価値を生み出していきたいという。

なお、今回の人事制度改定における基本的な考え方として、同社は次の3点を挙げている。

●統合を機に、個・チームとも創造性を最大限に発揮し、社会により大きな価値を還元することを目指す
●同社が重視する「個の尊重」を体現する働き方を加速させる
●働く場所・日・時間の柔軟性を高め、一人ひとりに合った働き方を自律的に選択する

従来の枠組みにとらわれない、より柔軟な人事制度により「個の尊重」を体現

同社が示した、具体的な人事施策は以下の通りだ。

(1)一部職種を除き、理由・回数を問わないリモートワークを全社に導入
統合対象のグループ会社では、2015年以降、組織単位でリモートワークの導入を開始。組織によっては理由・回数を問わないリモートワークが定着しているなか、統合を機に全社で推進する(人材紹介事業、カウンター事業に関わる職種などは除く)。これにともない、通勤交通費は日額上限5,000円の実費精算とし、定期券代の支給は停止する。上限内であれば条件付きで特急券料金も支給し、働く場所の選択肢を増やす。

(2)年間所定労働時間・給与は変えず、年間休日を増加。年間平均で週休約3日に
暦上の休日や有給休暇とは別に、自由に所得できる年間休日を増やし、合計で145日とする。これに伴い、週休が年間平均で2.8日となり、メリハリのある働き方を実現。なお、給与および年間所定労働時間は変えず、一日の所定労働時間を7.5時間から8時間に変更する。

(3)特定の要件や属性に偏らない休暇や休職制度に変更
人材や働き方の多様性を重視するという考えから、これまで「育児関連休暇」や「介護関連休暇」など、特定の要件や属性を対象としてきた休暇制度を変更する。

「育児関連休暇」では、従業員の性別によらず、妊娠中から子どもが12歳までの間で取得可能な出産・育児休暇として合計40日を新設し、各種休暇を包含し柔軟性を高める。一方、これまで有給としていた産前・産後休暇は、法定通り無給とする。

「介護関連休暇・休職」は、ペットも含めて家族のために利用できる「ケア休暇」として新設(5日間)。一方、これまで有給としていた介護休暇は、法定通り無給とする。さらに、介護休職の日数を大幅に削減し、365日から93日に変更。長期の休職を前提とせず、リモートワークや増加する年間休日とあわせ、両立しながら働き続けることを支援する仕組みとする。
高齢化社会や感染症など「新たな脅威」への対応として、企業における働き方の柔軟性や、個人の自律性が重要視されるようになっている。これまで当たり前としてきた制度や施策も、視点や発想を変え、柔軟に変化させていくことがますます求められそうだ。

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