生成AIが急速に進化するなか、経営資本としての「人」をどう捉え直すかが問われている。PayPay株式会社は、人とAIを一体の経営資本とみなし、人的資本経営とAIマネジメントを融合させた次世代の『人×AI共創資本経営モデル』を独自構築。人的資本とAI資本の最適な組み合わせによって事業成果の最大化を進め、全社で年間30万時間の業務効率化や、売上人件費比率30%改善といった成果を生み出している。

この全社的な経営変革の一翼を担うのがHR部門だ。HR本部内にAI開発の専属組織を新設し、データ基盤の構築からガバナンス整備、AIエージェントの開発までを完全内製化。実務においても、採用から退職までの全プロセスにAIエージェントを導入し、HR本部内で34名分のリソースを省力化して、より高度なミッションへの配置転換を実現した。こうした取り組みが評価され、第11回HRテクノロジー大賞「人的資本経営部門優秀賞」を受賞した。

AI代替可能性を前提とした人材マネジメントをどう設計したのか、従業員データの活用についていかにルールを整備して社内の理解を得たのか――コーポレート統括本部 Center of Excellence部 部長の藤本絢子氏に、取り組みの背景やプロセスを聞いた。

第11回HRテクノロジー大賞『人的資本経営部門優秀賞』

PayPay株式会社

AI×人的資本経営で未来を拓き、グローバルNo.1へ

人的資本経営とAIマネジメントを融合させた、次世代の「人×AI共創資本経営モデル」を構築。100億行超のデータ分析基盤を完全内製化し、AIによる社員のスキル推定やポジションのマッチング機能を実装。さらに、迅速なガバナンス整備によりデータ活用と戦略実行のリードタイムを劇的に短縮。年間30万時間分の業務効率化を達成し、売上人件費比率を30%改善させるなど、組織の生産性を底上げして事業成長に寄与する優れた取り組みであると高く評価されました。

プロフィール

  • 藤本 絢子 氏

    藤本 絢子 氏

    PayPay株式会社
    コーポレート統括本部 HR本部 Center of Excellence部 部長

    2018年、PayPay株式会社に参画。神戸営業拠点の立ち上げや約50名の営業組織のマネジメントを経験。2021年にHR部門へ異動し、HRBPとして事業成長を支える人事施策の企画・実行に従事。その後Center of Excellenceとして、評価・報酬、人員計画をはじめとする事業成長に必要な組織・人材施策の企画・運営を担当。上場プロジェクトや人的資本に関する情報開示にも携わり、HRの側面から企業価値向上を支える取り組みを推進。

PayPayが進める「人×AI」の新たな資本経営モデル――年間30万時間の効率化に導いた「人とAIの最適配置」と「人事のAI基盤内製化」をどう設計したのか

人とAIを一体として捉える『人×AI共創資本経営モデル』を支える4つの柱

――まずは、「AI×人的資本経営で未来を拓き、グローバルNo.1へ」の取り組みについて、概要を教えてください。

人とAIを一体の経営資本として捉え、両者の最適な組み合わせによって事業成果を最大化していこうという取り組みです。

従来の人的資本経営は、人員数やスキルなど「人」に関するものを中心に捉えてきました。しかし生成AIが発展し、AIが業務の一部を担う場面は今後ますます増えていくと考えています。企業が活用できる知的資本は、人だけでなくAIにも広がっています。そこで、両者を一体の経営資本として捉え、マネジメントしていこうと考えました。
PayPayの次世代資本経営モデルの概要
――取り組みにおける4つの柱(AIワークフォース経営、AIデータ基盤経営、AIスキル循環型経営、AIガバナンス経営)について、それぞれ簡潔に説明していただけますか。

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