
「社内報」の大きな目的は『従業員と組織の方向性を一致させる』こと
まず、厚生労働省「働きがいのある職場づくりのための支援ハンドブック(以下、厚労省資料)」では、次のような『働きがい向上に必要な6つの取組』を掲げています。(1)働きがいの現状を確認する
(2)柔軟・多様・快適な労働環境を整備する
(3)仕事の意味や面白さを見出せるよう働きかける
(4)従業員と組織の方向性を一致させる
(5)納得感ある評価や処遇を導入する
(6)能力・キャリア開発を充実させる
今回は「(4)従業員と組織の方向性を一致させる」を取り上げます。厚労省資料は、次のように記載されています。
⇒取組分類(1)「働きがいの現状を確認する」で例として挙げた面談や、職場ディスカッションなどを通じても、従業員と組織の方向性を一致させることが可能です。従業員の働きがいの確認と同時に、企業の理念や方向を説明し、従業員から意見を聞くことで相互コミュニケーションをとりながら方向性をすり合わせることができます。
⇒企業全体の方向性を各部署の具体的な目標に落とし込み、上司が部下にわかりやすく伝えることで、従業員に日々の業務が会社全体の目標とどう結びついているかを理解させ、働きがいを高めることができます。
今回は、記載されている方法例の1つ「社内報」に焦点をあて、従業員が働きがいを感じるための動機につながる「社内報」作成のポイントを『起』『承』『転』『結』に分けてお伝えします。
『起』~企業理念~何よりも明確に示すこと
まずは、社内報の中に、企業理念(人事理念・行動指針などを含む)を何よりも明確に示すことです。なぜなら、従業員と組織の方向性を一致させるためには、組織が方向性を明確に伝える必要があるからです。方法としては「社内報の冒頭に理念を掲載する」、「理念のフォントを大きくするなど、目立つよう掲載する」などです。そして、複数の理念を掲載するのではなく、いずれか一つに絞ることです。なぜなら複数掲載すると、それだけ情報が多くなり、明確に伝わりにくくなるからです。
それでは「こどもの健やかな成長を目指して」という企業理念があった場合を例として、『承』以降の内容を解説していきます。
『承』~テーマ~企業理念とのつながりを大切にすること
「こどもの健やかな成長を目指して」という企業理念があった場合に、社内報のテーマをどこに絞っていくかということです。例えば、下記のようになります。●企業が従業員のワークライフバランスに注力したいのであれば……
⇒「育児休業の概要」、「子育て支援」などのテーマ
●企業が子どもに向けた取り組みに注力したいのであれば……
⇒「こども向け商品の開発」、「親子を対象にしたイベント」などのテーマ
このように、「企業理念」と「テーマ」が関連しているかが大切になります。
『転』~情報~できる限り端的に伝える
すべての情報を社内報の中だけで伝えようとすると、情報過多になってしまいます。情報に関する『検索ワード』や『URL』など、できる限り掲載する情報は端的にしましょう。例えば「育児休業の概要」であれば、厚生労働省ホームページのURLを掲載するなどです。一方で、育児休業は複雑な制度ですので、ホームページを見ただけでは、すぐに理解をすることが難しいかもしれません。厚生労働省ホームページを紹介した上で、労務担当者が制度のポイントを加えて掲載などの工夫も大切になります。
また「こども向け商品の開発」であれば、先駆的な情報についてURLを掲載した上で、その情報を紹介した理由などを加えて掲載すれば、従業員が情報を確認する負担なども軽減できます。
『結』~事例~従業員と組織との双方向なコミュニケーションを目指して
従業員と組織の方向性を一致させるためには、組織が従業員に企業理念などを発信するだけでなく、従業員が組織へ発信することができる場面が必要です。そのような組織風土へとつなげることも、社内報の役割です。例えば「育児休業の概要」であれば、『育児休業取得率を掲載する』、『育児休業を取得した従業員へのインタビュー記事を掲載する』などです。そのような事例を掲載することで、従業員から組織へ発信できるという組織風土の醸成、より良い育児休業の仕組みを構築することにもつながっていきます。
また「こども向け商品の開発」であれば、『外部研修の情報』、『顧客からの意見要望』などを掲載することで、自己啓発などを促進し、意欲的に商品開発へ取り組むことにもつながっていきます。
情報を伝えるだけでなく、社内報が「従業員と組織との双方向なコミュニケーションのツール」となっているのか、そしてそれが「従業員と組織の方向性を一致させることにつながっているのか」を確認していきましょう。
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