自社の組織に問題があると気付いてはいても、本当に実効の上がる打ち手がなかなか見つからない。そうした悩みを抱える経営者が少なくない中で、これまでに導入した企業のほぼすべてが業績を伸ばし、「半年で経常利益約280%増」、「1年で累損が数億円圧縮」といった成果を出しているのが、株式会社Kronikaの提供するタレントフォーカス(Talent Focus)です。「成果を上げる組織づくりのプロ」として800社以上の企業に関わってきた同社の代表取締役、星山裕子氏に、日本企業の組織が抱える課題や、その実効的な解決策について、ProFuture代表の寺澤康介がお聞きしました。
中国五行・帝王学で個人の才能にフォーカス 今いるメンバーで成果を飛躍的に高める組織変革メソッド

これまでに関わったほぼすべての企業の業績が向上

――まず、星山さんのご経歴を教えていただけますか。

星山:最初に勤めた人材ビジネス企業では制作部門に配属となり、求人広告の制作という切り口で顧客企業のキャリア採用をお手伝いしました。その後、転職、独立して、長年にわたりヘッドハンティングに携わったほか、経営コンサルタントとして、主に事業開発、人材開発などの分野でさまざまなお客様の課題解決をサポートさせていただいてきました。これまでに幅広い業界とのご縁があり、お取引きいただいた企業は中小企業から大手企業まで、800社を超えています。

――星山さんは、関わった企業がほとんどすべて業績を向上させていくことから、「チャンスの女神」と顧客から呼ばれているそうですね。

星山:コンサルタントとしていろいろな企業をお手伝いし始めたころ、そのお客様のいずれも業績が上がり、経営者の方々が非常に喜ばれて、経営者のお知り合いをご紹介くださるようになりました。「星山さんはチャンスの女神なんですよ。関わった会社の業績が全部上向いていくんです」というようにご紹介いただく中で、このニックネームが定着しました。

一人ひとりが本来の価値を発揮できていない組織が増えている

――そうした経歴をお持ちの星山さんから見て、今の時代、日本企業の組織が抱えている課題は主に何だと思われますか。

星山:社内コミュニケーションの問題によって、相互理解が不足している組織が多いと感じます。IT化が進んでメールなどを使ったコミュニケーションが増える一方、直接の対面でのコミュニケーションが少なくなり、上司と部下、同僚などが、お互いのことを理解できない状況が生まれやすくなっています。そうした背景から、一人ひとりが本来の価値を発揮できていない組織が増えてきているようです。

――何が組織の問題なのか明確にはわからないけれども、業績が上がってこない、元気がないといった悩みを抱える経営者は多いと思います。星山さんがそうした企業から依頼を受けた場合、どのように課題を見つけ、打ち手を立てていかれるのですか。

星山:まず最初に、関係部署の方全員と個別に面談させていただいています。例えば、管理職なら、その方は部下のAさんがどういうタイプの人で、何が問題だと感じているのかを会話の中からつかみ、それがAさんご本人の問題か、それ以外の問題なのかを、持って生まれた「才能」という観点から切り分けていきます。Aさんの業績が低迷している場合、才能がないことをやらせて、もがいているなら、改善の余地があるわけです。

業務フローに問題があると、いくら頑張っても成果が出ない

中国五行・帝王学で個人の才能にフォーカス 今いるメンバーで成果を飛躍的に高める組織変革メソッド
――本人に才能がない仕事が割り当てられているのではないのに、成果が上がっていない場合はどうですか。

星山:阻害要因を探ります。コミュニケーションの問題が背景にあることが多いので、誰かと何かしらのあつれきが起きていないかを見ていきます。ケンカをしているということではなく、Aさんは一生懸命アイデアを出すのにBさんにつぶされてしまう、Cさんに言われると反論できないなど、いろいろな力学が横たわっていますから、そこを見出していきます。

――阻害要因が突き止められたら、何を改善されるのですか。

星山:部署の中で誰から誰に仕事を回していくと、あつれきなくスムーズに流れていくかを考え、業務フローを改善すれば、うまく回り出すことがよくあります。間違った仕事の割り当てはしていないのに結果が出ない場合は、業務フローに問題があることが多いのです。これは、流れるプールを逆方向に泳ぐようなものです。流れに沿っていればどんどん先に進むのに、いつまでたっても前に進めません。頑張っているのに業績が上がらないわけです。

今のメンバーのままで、うまく行っていない組織が変わり、業績が上がる

――そのように手を打っていくと、停滞していた組織がうまく回りだし、業績が上がるのですか。

星山:その通りです。私たちは、このメソッドを、中国五行・帝王学に基づいて本人の才能を特定し、その伸ばし方を具体的に示す才能開発プログラム「タレントフォーカス(Talent Focus)」として体系化し、ご提供しています。

――どのようなプログラムなのでしょうか?

星山:まず、タレントフォーカスでは、古くからある中国五行に基づいて「木・火・土・金・水」という5つのエレメントを定義しています。人の性格、行動は、各エレメントのエネルギーによって決まってきます。才能も然りです。これをベースに分析、タイプ分けを行っています。また、帝王学は言ってみれば中国五行の実務編で、唐の皇帝が国を治める間に役人と行ったやりとりをまとめた、組織マネジメントの記録集です。そのマネジメント技法を現代に紐解いて、私が実務の中で経験したものを結び付け、タレントフォーカスに取り入れています。

東洋的な自然のサイクルに沿って、組織をマネジメント

――企業向けの組織診断やアセスメントのツールで東洋的な切り口のものは、これまであまりなかったと思います。なぜ、現代の組織の課題解決に、中国五行や帝王学が活用できるとお考えになったのですか。

星山:同じことをやっても成功する人、しない人がいるのはなぜかと考えたとき、持って生まれたもの、才能といわれるものの違いではないかと思い至りました。才能から芽が出た人と、努力から芽が出た人では明らかに結果が違います。何か法則があるのではないかと、手助けになるツールを探してみました。多くのマネジメントツールは欧米から来ていますが、和製化に失敗している場合もありがちです。そこで東洋圏に目を向けたときに出会ったのが、中国五行、帝王学でした。これらと照らし合わせて組織マネジメントをサポートすると、面白いように結果が出ました。季節は春夏秋冬の順に巡り、絶対に逆行しないといった自然のサイクルに沿ってマネジメントするため、わかりやすく、結果が出やすいのです。

――「木・火・土・金・水」という5つのエレメントについて、ご説明いただけますか。

星山:まず、木のエレメントに属する人は、物事の始まりのところにいて、芽吹いて枝をどんどん伸ばしていく、発想豊かでスピードの早い方々です。0から1を生み出すような新しい事業や商品のアイデアを出す適任者です。次に、伸びてきた木を燃え広がらせて発展させるのが、火のエレメントの人。情熱あふれる方々で、新しいアイデアを形にしていくフェーズで活躍します。人間関係やモチベーション管理の達人です。そして、火が燃えた後、それを受け止めるのが土のエレメントの人。お客様への納品などのオペレーション実務を担ったり、細かい作業やルーティン作業を得意とする方々です。次には、土が堆積した中で鉱石、メタルがつくられ、さらに水が生まれて、次のエネルギーを生み出す準備をします。そこからまた木が芽生えるというようにサイクルが回っていくわけです。金のエレメントの人は論理的な方々、水のエレメントの人は本質的なものを好む方々で、いずれもゼロベースからというより、既存の顧客や商品を拡大していくような業務に向いています。この「木・火・土・金・水」は中国五行で「相生(そうじょう)」と呼ばれる発展のサイクルです。逆回りはだめなのです。
中国五行・帝王学で個人の才能にフォーカス 今いるメンバーで成果を飛躍的に高める組織変革メソッド

タレントフォーカスが経営者に受け入れられる理由とは

中国五行・帝王学で個人の才能にフォーカス 今いるメンバーで成果を飛躍的に高める組織変革メソッド
――組織の中で考えると、そのサイクルに沿って事業が流れて、お互いを活かし合う形で業務が進むようにすればいいわけですね。

星山:例えば、チームの中にいつも動き回って新しいことを考えていたい木の人ばかりいて、どっしり構えて実務をきちんとこなす土のエレメントの人が1人もいない場合、せっかくのアイデアが活かされず、納品や在庫管理で頻繁に問題が起きるといったことにもなりがちです。

――経営者の方々にとって、これまでの西洋から来ている組織診断やアセスメントのツールの多くは、使われているのがよそ行きの言葉で、かみ合わないなと感じがちなところもあったように思います。タレントフォーカスは、どのようなところが経営者の方々にとって受け入れやすいのでしょうか。

星山:中国五行、帝王学はもともとマネジメントに関わるもので、経営の思考と非常にかみ合いますから、親和性が高く、腹落ちしやすいのです。また、分析結果をもとに処方箋が提示されたあとは社員の方々でご自由に実行してくださいという押しつけ的なものではなく、私たちコンサルタントが職場に入り、社員の方々と一緒にハンズオンでプロジェクトを進める形で改善に取り組みますから、いずれは社員の方々だけでタレントフォーカスの考え方に基づいて組織を回していけるようになります。

大規模リストラ寸前の企業が1年で劇的に業績を改善

――組織課題を解決した企業の事例を教えていただけますか。

星山:中堅人材サービス会社のお客様のケースですが、ある分野のサービスがNo.1に成長したものの、それ以外のサービスが育っていない、ほかの事業部を強化して全体の業績を上げたいとのご要望でした。そこで、職場に入らせていただいて、まず社員の方々のエレメントの特定を行い、結果をもとにマネージャーと私が一緒に課員と面談し、このチームではどの業務を誰が担うのが一番よいかというベストフォーメーションを各課ごとに再構築しました。マネージャーは自分の課員のエレメントを頭に入れているから、仕事の振り方を間違えない、課員の方々も自分とほかの人のエレメントを理解し、動き方がわかってきたという中で、業績が一気に上がり、半年で経常利益が約280%増えました。新サービスも立ち上げて、最初の四半期で黒字化に成功され、その後も社員数を倍増して業容を拡大されています。


――たった半年で経常利益280%増ですか。

星山:通常、どのお客様も比較的短期間で業績が上がっています。エンタテイメント業界で制作やキャラクタービジネスを手がけるお客様の場合は、ご相談をいただいた当時、数億円規模の累損を抱え、大規模なリストラもやむなしという厳しい状況でした。そこに入らせていただき、全員のフォーメーションを見て、業務の組み替え、人事異動も行いましたが、社内の組織が活気づき、全部門の数字が一気に立ち上がっていって、1年後には累損が数億円減りました。リストラも実施せずに済み、それ以降も高業績を上げています。

――驚くべき成果ですね。メンバーの配置を変え、業務がうまく流れるようにするだけで、それほど劇的に改善するのですか。

星山:それぞれ、やりたくない仕事、才能のない仕事を嫌々やっていたのをシャッフルして、やりたかった仕事、得意な仕事をできるようになるので業務効率が上がります。仕事の処理速度が早くなり、残業が減るケースが多いですね。自分の仕事に打ち込める環境へと変化してゆきます。これまで相性が悪く、苦手だと思っていた人も、違うタイプだから反目していただけだとわかれば、あつれきがなくなります。社内のコミュニケーションが良くなっていきます。

――業績が厳しい、新規事業が生まれないといった経営課題がある場合、組織、人の動かし方が問題の根本にあることが多いようです。問題の根本を捉えて、持続的に成果が上がる組織変革、組織づくりを行おうとするとき、タレントフォーカスはきわめて実効的な手法のひとつだと感じました。今日はありがとうございました。


株式会社Kronika 代表取締役 星山 裕子 氏
中国五行と帝王学、そして現代におけるビジネス実務を融合させた、才能特定・育成プログラムTalent Focus®の開発者。「5万人を超える面談数」「800を越える取引社数」「四半世紀以上にわたる顧客との信頼関係」に裏付けられた圧倒的な育成メソッドで、幾多の成長企業を牽引する幹部人材を育成。関わった人・組織が上向いていくことから“チャンスの女神”のニックネームを持つ。「経験やスキル」ではなく、「生まれ持った才能」で判断される社会を創るべく活動中。2016年5月にTalent Focus®オンラインテストをリリース。香港、ロンドンにも既にローンチ済み。認定トレーナーの養成を通じ、すべての人が才能をいかして他人と社会の役に立てる社会を創ることを目指す。
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