理系学生の8割が自身の専門性と仕事内容の親和性を重視

企業選択おける自身の専門性の活用についての重要度を尋ねたところ、理系では「重要である」(39%)と「やや重要である」(39%)との合計は78%と8割近くに達しており、自身の専門性を重視する学生が極めて多いことが分かります[図表12]。一方、文系では「重要である」(38%)と「やや重要である」(24%)との合計は62%となっており、文系においても自身の専門性を重視する学生が多数派となってはいるものの、理系のほうがその傾向が顕著であり、自身の専門性を活かせる仕事への関心が非常に高いことがうかがえます。理系では多くの場合、研究室での活動や実験、プログラミングなど具体的な技術やスキルの習得に時間を費やしていることから、特定の業界や職種と直接的な結びつきを持つことも多く、これまで培ってきた専門性への愛着や、その投資に見合った活用機会を求める意識が強いと考えられます。これに対して文系の場合は、例えば、法学部で法律を学んだから企業の法務部門を志向するということは極めてまれです。大学で学んだ内容と、実務で求められる内容とレベルがあまりにも乖離しており、大学での学びをそのまま活かすことは考えづらいという学生も多いためです。文系のカリキュラムを職業学校化してしまうのは行き過ぎでしょうが、将来的には、もう少し社会で直接的に活かせるスキルや知識を身につけられるように変えていくことも考える必要もありそうです。
[図表12]企業選択おける自身の専門性の活用についての重要度
最後に、「仕事で活かしたい専門性」について学生はどう考えているのかを複数回答で聞きました。文系・理系ともに、「学部や大学院での授業で培った知識を活かしたい」が最多で、理系では57%と6割近くに及ぶのに対して、文系でも38%と20ポイント近く少なくなっています[図表13]。文系では次いで、「専門性ではなく、これまでに培ったPCスキルや論理的思考力などを活かしたい」と「専門性や文系・理系の特徴を活かしたいと思わない」が19%で並ぶなど、「専門性」にはこだわらない様子がうかがえます。

一方、理系では、「研究活動で培った知識や経験を概ねそのまま活かしたい」が42%と2番目に多く、「専門性や文系・理系の特徴を活かしたいと思わない」はわずか3%にとどまります。大学での正課教育で得た専門知識や研究活動での経験を活かしたい層が多いことがうかがえます。また、「専門性ではなく、これまでに培ったPCスキルや論理的思考力などを活かしたい」も35%と多くなっており、専門知識と研究の経験を直接活用できる職務内容を具体的に提示し、専門性の活用を重視する学生層の期待に応えることに加えて、専門教育を通じて培われた論理的思考力やスキルの転用可能性を明示し、より柔軟なキャリアパスを提示することで、汎用的スキルの活用を志向する学生層にも訴求を図ることが重要だと言えます。
[図表13]仕事で活かしたい専門性(複数回答)
次回は、HR総研が就活口コミサイト「就活会議」と共同で、2026年卒業予定の同サイト会員学生を対象に、2025年3月に実施した「2026年新卒学生の就職活動動向調査(3月)」の結果を紹介します。

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