ProFuture代表の寺澤です。
2025年3月18日、退職代行サービス「モームリ」を展開している株式会社アルバトロスは、2024年度新卒者の退職代行の利用状況(2024年4月1日~2025年2月28日)の調査結果を発表しました。2024年度の新卒社員による退職代行利用者は1814人(2024年3月内定辞退依頼の2人を含む)に上り、男女比では男性48.8%、女性50.6%とほぼ半々となっています(性別回答なし0.6%)。月別で利用者が最も多いのは「5月」の298人で、次いで「4月」256人、「6月」251人、「7月」211人と続きます。入社直後の4カ月間で合計1016人、全体の56%と6割近くにも及びます。入社前に聞いていた、あるいはイメージしていた働き方、仕事内容とのギャップがあったとはいえ、入社直後にすぐに退職を決めてしまう人が極めて多いことが分かります。

利用した新卒社員の利用の経緯・退職理由を期間で区切って比較すると、4~6月では「入社前の契約内容・労働条件と勤務実態の乖離(かいり)」が47%と半数近くを占め、次いで「いじめやパワハラなどの人間関係」が26%となっていますが、7~9月では「いじめやパワハラなどの人間関係」が35%と増加し、「入社前の契約内容・労働条件と勤務実態の乖離」(34%)をわずかに上回ります。10~12月も同様に、「いじめやパワハラなどの人間関係」(38%)が「入社前の契約内容・労働条件と勤務実態の乖離」(37%)を上回るなど、時期により主な退職理由には違いが見られます。同社では、「企業側の入社前の説明不足だけでなく、労働者側の情報収集不足も原因」に挙げられるとしつつ、「業務に慣れてきた時期においては、業務内容よりも人間関係やメンタル面での支援が重要」と、新入社員フォローの内容についてアドバイスしています。

なお、退職代行サービスを経由した退職の申し出の場合、それ以降は本人と連絡がつかなくなることが大半です。入社数カ月程度の新入社員の退職はともかくとして、それ以上在籍した社員の退職に当たっては、必要な業務の引き継ぎへの支障も懸念されますので、業務の引き継ぎの義務化に関する事項を事前に就業規則等の社内規定に明記しておくことが大切です。貴社ではこうした対応はお済みですか?
第169回 【26卒】面接・内々定取得状況―「逆求人サイト」や「リファラル」経由の面接数など最新動向を解説

早期選考会の案内が届いた学生が7割

今回も、前回に続きHR総研が就活口コミサイト「就活会議」と共同で、2026年卒業予定の同サイト会員学生を対象に実施した「2026年新卒学生の就職活動動向調査(12月)」(調査期間:2024年11月25日~12月20日)の結果から、面接や内々定の取得状況を紹介します。ぜひ参考にしてください。

まずは、インターンシップ参加後に企業からどんなアプローチがあったかを確認したところ(複数回答)、最も多かったのは「早期選考会の案内」で、文系が69%、理系でも71%とどちらも7割程度に及びます[図表1]。インターンシップが採用活動の早期化にダイレクトにつながっている様子がうかがえます。次いで「次のインターンシップの案内」(文系55%、理系44%)、「特別セミナーの案内」(文系49%、理系43%)が続き、最初のインターンシップを入り口にして、より深い内容を学べる、あるいは体験できるインターンシップやセミナーにつなげて、具体的に仕事の魅力を知ってもらうことで、自社への志望動機形成を強化しようとする企業側の狙いが読み取れます。

かつて、インターンシップがそのまま早期選考につながっていなかった時代、つまり自社の認知を高めることを第一義としていた時代に最も多かった「(プレ)エントリー受付の開始案内」(文系45%、理系41%)は4割程度にとどまります。インターンシップに参加した学生に対して、再度プレエントリーをわざわざ求めることは少なくなったということなのでしょう。

なお、「エントリーシートの免除」(文系23%、理系36%)と「リクルーターからのフォロー」(文系15%、理系24%)については、文系よりも理系のポイントが10ポイント程度高くなっています。人材獲得競争が激化している現在、実験・研究で多忙な理系学生への企業の計らいが感じられます。
[図表1]インターンシップ後のアプローチ(複数回答)
学生がインターンシップに最も求めている内容についてのフリーコメントを抜粋して紹介しましょう。「業務内容や社風を感じることができるか」を挙げる学生が多くなっていますが、それ以上に「本選考で優遇されるか」を挙げる学生が多くなっています。タイパ(タイムパフォーマンス:費やした時間に対する効果や満足度を表す言葉。「時間対効果」)を重視するZ世代の特徴が垣間見えます。

・自分が興味を持っている企業が本当に自分に合っているのか、合っていないのかを実際に企業の業務等を体験することで知ることができるか。 指示のあったワークをこなすだけでなく、社員の方と話せる座談会のような機会が確保されているか(理系、金沢大学)
・希望する職種の体験ができ、自分に本当に合っているか確かめることができる(理系、九州大学)
・社会人になってからギャップが生まれないように、仕事するイメージをつけることができる内容(文系、横浜国立大学)
・志望職種の仕事体験ができる点を重要視しており、志望している仕事内容と実際の内容が大きく異なっていないかを知ることを目的としている(理系、山口大学大学院)
・実際の仕事内容を体験すること(理系、日本大学)
・質問できる環境にあること(文系、名城大学)
・職場の雰囲気や社風を感じられること(理系、岡山大学)
・社員や人事の方と話す機会があるか(文系、神戸学院大学)
・業務内容の理解を深めることと早期選考があること(理系、佐賀大学)
・早期選考ルートがあれば、その企業を理解した上でスムーズに選考へ進めると思う(文系、早稲田大学)
・参加するメリットがあるほうが参加したいと思わせられる(文系、青山学院大学)
・早期選考に呼ばれる内容で、選考が有利になる体験ができること(理系、熊本大学)
・採用選考で優遇を受けられるかどうか(文系、中央大学)
・本選考での優遇がもらえることは良いです。例えば、本選考の1次面接を免除いただけたため、早く内々定を得ることができました(理系、東京科学大学)
・事業創造、経営者目線による事業戦略立案(理系、東京都立大学大学院)
・しっかりグループワークがあり、フィードバックがもらえること(文系、関西学院大学)
・グループワークができること(理系、神奈川大学)

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