セカンドラボ株式会社は、2018年6月、自社が運営するサイトを利用している全国の介護施設を対象に、外国人労働者の採用についてアンケート調査を実施行った(有効回答数は151件)。
5割以上が読み書きできる日本語能力を求める。外国人介護労働者の採用についての調査

冒頭の設問「外国人介護労働者の採用状況」の結果は以下の通りで、介護施設の約4分の1で外国人が活躍していることが分かった。

・すでに採用している(24%)
・今後採用を検討している(38%)
・採用の予定はない(38%)

続いて、「外国人介護労働者の雇用に関する不安や過去に起こったトラブル」を選択肢から複数回答してもらい、その中から上位3項目を紹介する。

言葉・コミュニケーションの問題(51%)
文化・価値観の違い(23%)
日本語能力向上のための指導体制(13%)

調査はここで、約半数が不安やトラブルに挙げた「言葉・コミュニケーションの問題」について掘り下げており、「外国人介護労働者を採用する際に求める日本語の能力」について、「会話能力」、「読む能力」、「書く能力」といった3つの観点で、それぞれに該当する項目を選んでもらっている。

▼求める日本語の「会話能力」
・仕事上必要な日本語を話すことができる(51%)
・日常会話ができる(46%)
・かんたんな挨拶ができる(3%)

▼求める日本語の「読む能力」
・業務日報や介護記録などを読むことができる(59%)
・ひらがな、カタカナを読むことができる(23%)
・漢字を読むことができる(16%)
・日本語を読めなくても大丈夫(2%)

▼求める日本語の「書く能力」
・業務日報や介護記録などを書くことができる(53%)
・ひらがな、カタカナを書くことができる(34%)
・漢字を書くことができる(11%)
・日本語を書けなくても大丈夫(1%)

この結果で注目したいのは、現場でのスムーズな業務遂行に直結する「会話能力」のみならず、業務日報や介護記録を付けることに関する高度な「読む能力」(59%)と、「書く能力」(53%)を半数以上の介護施設が求めていることだ。

介護記録の整備は、施設運営基準の一つとして厚労省により定められており、利用者の情報を職員間で共有するのに不可欠なのはもちろん、事故やトラブルを未然に防ぐ観点からも重要だといえよう。

次に、「外国人介護労働者の採用の条件」について複数回答で尋ねたところ、上位3項目は以下の通りであった。

永住権を持つ外国人(43%)
在留資格「介護」を取得している外国人(35%)
EPA介護福祉士(32%)

採用の条件については、永住権を持つ外国人介護労働者へのニーズが43%と最も高かった。一定の事業所からは、「介護分野の外国人技能実習制度が既にスタートしているが、出来ることなら在住資格がある外国人の採用を進めていきたい」という声もあった。

一方で、これらの資格の「違いがよくわからない」という事業所も12%あり、わかりやすく活用しやすい制度設計がなされているとはまだ言えないようだ。

【外国人介護労働者の受け入れについて、事業所の意見】(一部抜粋)
・人手が欲しいが、最低限の読み書きが出来ないと、外国人の方に介護職として勤務して頂くのも難しい。
・高齢者の中には、戦争経験者もおり、利用者が外国人を嫌がる傾向があるため採用の予定がない。
・文化と言葉の壁が非常に大きい。利用者だけでなく職員間ともコミュニケーションは非常に重要。技術や知識(資格)はその後のこと。


厚生労働省によると、2025年には75歳以上の後期高齢者の全人口に対する割合が18パーセントを超え、65歳以上の前期高齢者を含めた高齢者の割合は30パーセントを超えるという。これにより介護・医療費などの社会保障費の急増が懸念される問題を、“2025年問題”と呼ぶ。

この2025年問題に備え、政府は2019年4月以降の技能実習制度の改正を検討するなど、外国人労働者の受け入れに対する期待感が高まりつつある。しかし今回の調査結果を見ると、今後の外国人介護労働者の採用には、日本語コミュニケーションの教育が大きな課題となりそうだ。

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