東京地下鉄株式会社(以下、東京メトロ)は2026年4月2日、人財獲得や多様な働き方の実現を目的に、2026年度より各種人事制度を拡充する方針を発表した。同社は奨学金返済支援や社外副業制度の導入などを通じ、人的資本経営の強化を図る構えだ。

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東京メトロ、“選ばれる鉄道会社”に向け人事制度を大幅拡充。奨学金返済支援・副業解禁などで人的資本経営の強化へ

奨学金返済支援を導入。若手人材の獲得と定着を後押し

人材獲得競争が激化する中、企業には働き方やキャリア支援の充実がこれまで以上に求められている。特に若手人材の確保や定着においては、ライフステージに応じた制度設計や成長機会の提供が重要性を増している。こうした中で、企業は従来の人事制度をどこまで進化させることができるのだろうか。

東京メトロが今回発表した施策の一つが、奨学金返済支援制度の導入だ。これは、奨学金を受給していた一部社員を対象に、独立行政法人日本学生支援機構(JASSO)の代理返還制度を活用し、奨学金の一部または全額の返済を会社が支援するもの。制度の要件は下記となっている。

【奨学金返済支援制度の概要】
▼対象社員(以下条件をすべて満たす社員)
・新卒入社した2~6年目の社員
・技術職種もしくはデジタル職種採用の者
・支援開始時点に在籍している者

▼年間上限額
20.4万円

▼最大返済額
102万円


同制度の導入により、若手人材の経済的負担軽減を通じて、採用競争力の向上と入社後の定着促進を狙うという。近年、奨学金返済支援は福利厚生の一環として注目度が高まっており、同社もこうした潮流に対応する形となるようだ。

社外副業制度を新設し、キャリアオーナーシップを促進

また、同社は社員の主体的なキャリア形成を支援する施策として、社外副業制度も新たに導入する。社員が社外での業務に従事することを可能とすることで、新たな知見やスキルの獲得機会を提供するとしている。

【社外副業制度の概要】
▼対象社員
勤続年数2年以上の現業・本社社員

▼認める副業形態
・業務委託契約
・起業


これにより、社員一人ひとりがキャリアオーナーシップを発揮し、自律的に成長することを後押しする狙いだ。ただし、本業への支障や情報漏洩などのリスクを踏まえ、一定の制約のもとで運用されるという。
働き方のイメージ

高年齢社員の活躍を支える短日勤務制度を導入

さらに、高年齢社員の就業継続を支援する取り組みとして、61歳以上の社員を対象にした短日勤務制度も導入される。希望に応じて週の勤務日数を1日減らし、実質的に週休3日とすることが可能となる。

【短日勤務制度(高年齢社員対象)の概要】
▼対象社員
年度末年齢61歳以上の社員

▼制度概要
希望に応じて週の勤務日数を1日減らす働き方(実質週休3日となる)


これにより、体力面やライフスタイルの変化に配慮しながら、長期的に働き続けられる環境を整備する。高齢化が進む中、経験豊富な人材の活躍機会を維持する施策として注目される。

子育て支援制度を再編。より柔軟で使いやすい制度へ

加えて同社は、子育て支援の面では「子の看護休暇」と「養育両立支援休暇」を統合し、新たに「子の養育休暇」を創設する。付与日数を拡充するとともに、制度設計を一本化することで、利用しやすさを高める狙いだ。

対象は中学就学前までの子どもを持つ社員で、子ども1人につき年15日(複数の場合は追加付与)の休暇が付与される。従来の看護対応に加え、行事参加や家庭内対応など幅広い用途に対応するという。

また、骨髄や末梢血幹細胞のドナー登録・提供を支援する「ドナー休暇」も新設され、社員の社会貢献活動を後押しする環境整備も進めるとしている。
子の養育休暇の新設
今回の東京メトロの人事制度拡充は、若手人材の確保から高年齢社員の活躍支援、さらにはキャリア自律の促進まで、幅広いライフステージとニーズに対応する内容となっている。人的資本を軸とした競争力強化が求められる中、企業には制度の整備だけでなく、それをいかに実効性のある形で運用し、組織文化として定着させていくかが問われる。今回の取り組みは、鉄道業界における「選ばれる企業」づくりの一つの方向性を示す事例と言えそうだ。

出典:https://www.nikkei.com/article/DGXZRSP705306_S6A400C2000000/


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