jinjer株式会社は2022年10月28日、「人的資本経営」に関する実態調査の結果を発表した。調査期間は2022年10月3日~4日で、大企業(従業員数1,000名以上)の人的資本経営を担当する人事106名から回答を得た。本調査では、大企業が人的資本経営に取り組む理由や、推進上の課題などが明らかとなった。
人的資本経営に取り組む大企業人事の8割が「業務上の課題」を認識。課題のトップは「人事データの統合」

大企業が「人的資本経営」に取り組みはじめた背景とは

人材を“資本”と捉え、その価値を最大限に引き出すことで持続的成長を目指す人的資本経営。まず、同社が「人的資本経営に取り組み始めた理由」を尋ねたところ、トップは「人材・働き方が多様化したため」で65.1%が回答。以降の結果は、「ESG投資が浸透し、人的資本が企業の成長性を判断する要素となっているため」、「コロナ禍で労働環境に変化が生じたため」(同率50%)、「優秀な人材を確保するため」(46.2%)と続いた。
人的資本経営に取り組む大企業人事の8割が「業務上の課題」を認識。課題のトップは「人事データの統合」

半数以上が「重要な人材課題の特定」と「人的ポートフォリオの定義付け」に取り組む

次に同社は、「人的資本経営実現に向けて、現在取り組んでいること」を尋ねた。すると、トップは「重要な人材課題の特定」で54.7%となり、以降は「人材ポートフォリオの定義づけ」が51.9%、「経営戦略と人材の連動」と「多様な価値観の取り組み」がともに48.1%、「多様な働き方の環境整備」が46.2%と続いた。
人的資本経営に取り組む大企業人事の8割が「業務上の課題」を認識。課題のトップは「人事データの統合」

8割以上が「人的資本経営に課題がある」と回答

続いて、「人的資本経営に関する業務を行う上で、課題はあるか」を同社が尋ねたところ、「かなりある」が32.1%、「ややある」が50%となり、全体の8割強は課題を抱えていることが判明した。
人的資本経営に取り組む大企業人事の8割が「業務上の課題」を認識。課題のトップは「人事データの統合」

人的資本経営の課題は「人事データ等の統合」がトップ

最後に、先述の「課題がある」と答えた人のみを対象に、具体的な「課題の内容」を尋ねた。その結果、「散在している人事データ等の統合が難しい」(48.3%)、「人的資本の開示方法がわからない」(47.1%)、「経営陣の意識改革が難しい」(44.8%)が上位となった。

その他のフリーコメントでは「費用対効果が把握しづらい」や「予算資金確保が難しい」、「従業員の共感と理解を得ること」、「投資に見合う人材育成ができるか」などの声が集まった。
人的資本経営に取り組む大企業人事の8割が「業務上の課題」を認識。課題のトップは「人事データの統合」
人的資本経営を行う大企業の大半が、推進上の業務課題を認識し、「人事データ等の統合」や「具体的な開示方法」、および「社内の理解促進」などに問題を抱えている実態が明らかとなった。まずは大手企業を対象に、2023年3月期決算以降の有価証券報告書における「人的資本開示」が義務化される見込みとなっている。将来的な対象企業の拡大が予想される中で、各企業には人事情報のデータ基盤の仕組みづくりがますます求められそうだ。

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