
対象家族の範囲を正しく理解する
介護休業・介護休暇の対象になる家族は「要介護状態にある対象家族」と定められています。それぞれの定義を見ていきましょう。<「家族」の要件>
介護休業の対象にあたる家族は次のとおりです。●配偶者(事実婚を含む)
●父母(養父母を含む)
●子(養子を含む)
●配偶者の父母(養父母を含む)
●祖父母
●兄弟姉妹
●孫
以前は祖父母・兄弟姉妹・孫について、従業員本人と「同居し、かつ扶養していること」が対象家族の条件でしたが、2017年の法改正により、現在ではこの同居・扶養要件は撤廃されています。離れて暮らす家族の介護であっても、制度の対象です。
<「要介護状態」の要件>
「育児・介護休業法」では「負傷、疾病、身体上または精神上の障害により、2週間以上の期間にわたり常時介護を必要とする状態」を要介護状態と定義しています。具体的には、次のいずれかに該当している状態です。なお、以下の判断基準は2025年4月に改正されました。●介護保険制度の要介護状態区分が「要介護2」以上であること
●下表のうち、「2」が2つ以上または「3」が1つ以上該当し、その状態が継続すると認められること

実務で気をつけたいポイント
<対象家族ごとに日数を数える>
介護休業は通算93日、介護休暇は年5日(対象家族が2人以上の場合は年10日)まで取得できますが、この日数は対象家族ごとに数えます。例えば、父と母がそれぞれ要介護状態になり介護休業を取得する場合には、父について93日、母について93日と、別々に取得できます。<証明書提出は必須ではない>
介護休業・介護休暇の申出があった場合、会社は続柄や要介護状態を確認できる書類の提出を求めることができます。しかし、書類の提出は、制度利用の必須要件ではありません。「証明書を提出しないなら制度利用を認めない」等の取扱いはできず、必要以上に詳細な病状や介護の事情まで求めることのないよう注意が必要です。また、申出に際して取得する続柄や病状に関する情報は、従業員にとってセンシティブな個人情報です。他の人事情報と同様に、取得目的の範囲内で利用し、適切に管理することも忘れないようにしましょう。
<取得の申出を拒否できない>
介護休業・介護休暇は、要件を満たしている場合、会社はその申出を拒否できません。年次有給休暇のように、取得日を変更させる権利(時季変更権)もありませんので、従業員の申出通りに取得させる必要があります。法定制度のため、就業規則や諸規程に記載がないことを理由に拒否することもできません。ただし、労使協定を締結することで、法令の範囲内で、制度の対象者を限定することができます。この手続きで対象外と定められた従業員からの介護休業・介護休暇の申出は、拒否することが可能です。
<介護休業給付金との関係>
法律上の対象家族はあくまで最低基準であり、規程でこれより広い範囲(配偶者の祖父母、おじ・おばなど)を対象とすることも可能です。ただし、法律よりも広い範囲で取得した介護休業は、雇用保険の介護休業給付金の対象外です。高齢化が進み、今後、介護休業をはじめとする両立制度の必要性はより高まっていきます。一方で、高齢者だけでなく子や孫の介護でも要件を満たせば制度の対象である点も同時に押さえておきたいところです。従業員から相談があったときに適切に対応できるよう、介護に関する制度を改めて確認しておきましょう。
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