
従業員のキャリアと定着率は「働きやすさ」がポイント
かつて、「家事と育児は女性の役割」という意識が根強く残っていましたが、今の若年層の意識は違います。厚生労働省の共育(トモイク)プロジェクトによる調査結果では、約70%の若年層が、「配偶者やパートナーと協力し合って育児や家事を行うことが必要である」と回答しています(※全国の17〜39歳の男女15,845人を対象)。さらに、将来的に子どもを持つことを希望する若年層のうち約54%が「自分と配偶者・パートナーが同じくらい主体的に子育てを行いたい」と回答していることから、男女共に家庭への参画意識が高くなっています。
しかも、自分の職場は子育てとの両立がしやすい、と感じている人は、そのように思っていない人と比較すると、「今の職場で働き続けたい」と回答する割合が44.9ポイントも高く、約78%に達しています。
また、「将来子どもを持ちたい」と希望する若年層の87.2%が育児休業の取得を希望しており、男女共に「1ヵ月以上の休業」を希望している者が過半数で、就職する企業を選ぶ際に“仕事とプライベートの両立”を意識している者も多く見受けられます。
したがって、企業側として“従業員の仕事と家事・育児の両立を支援すること(以下、「両立支援」と呼びます)”については、「キャリアを積んで長く働き、企業に貢献してもらうための投資」であるという認識が必要になってきます。
従業員が「今の職場は安心して長く働き続けることができる」と実感できれば、定着率は上がり、業務も順調に進めることができるようになるでしょう。
労使トラブルとなるリスクを理解して未然に防ぐには
ですが、厚生労働省の「雇用均等関係法令の施行状況」では、「育児・介護休業法」に関する相談件数が11万件を突破したうえ、前年度から12.4%も増加しています。相談内容として多いのは、「子の看護休暇」や「所定労働時間の短縮措置」など、育児休業そのもの以外の両立支援に関するものです。雇用管理の実態把握を行なった事業所で、何らかの法違反が確認されて是正指導を受けた件数は23,622件となっています。
是正指導の内容も、「子の看護休暇」や「所定外労働の制限」、「雇用環境整備」となっています。その原因として、職場の直属の上司が法的知識を正しく理解できていないこと、職場の雰囲気が両立支援に追いついていないこと、などが考えられます。
したがって、経営者や人事労務担当の部署から、現場サイドに対して「両立支援に関する知識の周知・教育を強化すること」が求められているのです。つまり、企業で両立支援を整備しルールを策定するだけでなく、現場サイドで適切に運用されているか定期的にチェックをする仕組みづくりが重要となります。
現場サイドとのコミュニケーションによる柔軟な働き方の作り方
しかし、現場サイドは、両立支援をしていないのではなく、業務量と人員のバランスが取れず常にギリギリであるために、支援したくてもその余力がない可能性も考えられます。さきほどの共育プロジェクトによる調査結果によると、子育て中の従業員が会社に希望していることの上位に「業務量の適正化」や「上司・管理職の理解促進」、「長時間労働の削減」があがっています。
また、“いま希望の働き方や子育てができている”と感じている従業員からは、その要因として「業務量が適切で時間に余裕がある」、「同僚やチームの協力がある」、「業務量や労働時間を調整できる」といった回答がありました。このように柔軟な働き方を実現させるためには、突発的な事態にも対応できるよう、相互に業務をフォローできるチーム体制がどうしても求められます。
企業側は、現場に対して定期的に面談を実施するなどして業務状況を把握し、チーム体制を維持・向上できる環境づくりに注力することで、安定した業務の遂行にもつながるでしょう。
いかがでしょうか。若年層の多くは「仕事と家事・育児の両立」とともに、「自身のキャリアを構築すること」を希望しています。
その両立支援をバックアップすることで、従業員の定着率を向上させ“重要な人財”へと育て上げることが、企業の更なる発展の軸となるでしょう。
ただ、従業員の両立支援については、法律が複雑で法改正も度々行われているため、お近くの社会保険労務士からアドバイスを得ながら推進されることをお勧めします。
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