新入社員が口にする「人間関係」という離職理由。その背景には、理想と現実のギャップに苦しむ「リアリティ・ショック(Reality Shock:RS)」が隠れています。今回は、このショックを和らげ、メンタルヘルスを守るためのフレームワーク「ROPESモデル」をご紹介し、わたしが提唱しているAIを活用した「デジタル・バッファー」という視点から、個人のガッツに頼らない、組織としての「なじませる設計」の重要性をお伝えしていきます。


【オンボーディング新戦略】後編:新人のメンタルを守るフレームワークと、AIを活用した「離職防止」の具体策

メンタルヘルスは離職にどう影響するのか

前回のコラムでは、新入社員の早期離職の背景には「なじませる力(職場適応)」という組織側の構造課題があることをお伝えしました。今回はその一歩先、離職の大きな要因となる「メンタルヘルス」への影響と、組織ができる具体的な関わりについて深掘りしてみます。


「人間関係」の裏側にある、期待と現実のズレ

研修の現場で若手社員の声を聴くと、彼らが口にする「人間関係がつらい」という言葉の裏には、共通の構造が隠れています。それが前回のコラムでも登場した、入社前に抱いていた期待と、入社後の現実が食い違う「リアリティ・ショック(Reality Shock : RS)」です。

RSによって「自分がこの組織で役に立っている」という有能感が損なわれると、若手社員は強い心理的ストレスを感じます。このストレスが放置されると、メンタルヘルスの不調を引き起こし、最終的には「自分はこの職場にふさわしくない」という結論(離職)に至ってしまうのです。
これらは特別な施策というよりも、日常の関わりの中でどのように実現されているかが問われる視点と言えるでしょう。いわば、新入社員が組織という環境に踏み出していく際に、孤立しないために手渡される「命綱」のようなもの、と言ってもいいかもしれません。

この「命綱」がどの程度機能しているかによって、リアリティ・ショックの受け止め方や、その後の適応の進み方は大きく変わっていきます。

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