埼玉県を拠点とする総合住宅メーカーのポラス株式会社は、2020年から企業内大学「ポラスアカデミー」を設立した。最大の特徴は、就業時間内の受講を全社員に義務付けている点である。同社は2015年から業界に先駆けて長時間労働の是正に着手し、並行して業務の標準化を推進してきた。生産効率の改善に一定の成果を上げたものの、OJTの機能不全や社員の考える力の低下という新たな課題に直面した。こうした状況を受け、人事部長の石田茂氏は「学びは業務である」と定義し、現場の反発がありながらも「ポラスアカデミー」の導入に踏み切った。本記事では、企業内大学としての仕組みや設立背景のほか、新施策の展開のポイントやフェーズをふまえた今後の構想など、「ポラスアカデミー」の全貌に迫る。

プロフィール

  • 石田 茂 氏

    石田 茂 氏

    ポラスグループ
    ポラス株式会社 人事部長
    兼 ポラテック株式会社 監査役

    1996 年ポラスグループへ新卒入社し、以降一貫して30年間人事に携わり、2013年に人事部長に就任し現在に至る。過去複数のグループ関連会社設立を担い、国内プレカット木材最大手のポラテック(株)監査役を兼任。グループ全人事機能を主管、制度・政策企画を得意としつつ企業カルチャーづくりに重きを置く。ライフワークとして複数の異業種交流会を20年以上に渡り企画・主催しており、日本最大規模の大手企業人事トップコミュニティである「人語会」の代表を務める。その他「HRプロ」「日本の人事部」「Wellulu」「先端教育」「Learning Design」など多数のメディア取材を通して思考や取り組みが紹介されている。趣味はお酒とキャンプ。

なぜポラスは「業務時間内」全社員必修の企業内大学を始めたのか――仕掛け人の石田氏が語る「人材育成の本質」と「組織や社員の意識変化」

そもそもなぜ企業内大学「ポラスアカデミー」を設立したのか

――まずは、貴社の企業内大学「ポラスアカデミー」の仕組みについて教えてください。

「ポラスアカデミー」は2019年の後半から試験導入を進め、実質的には2020年から本格始動させた企業内大学です。現在、全体で165前後の講座を展開しています。年間を通じて繰り返し開催し、全社員が就業時間内で受講することを義務付けています。構想は2017年にありましたので、時間をかけて制度化しました。

運用の仕組みとして、大学のカリキュラムと同様に「必修科目」と「選択科目」を設けています。必修科目は、住宅ローンや建築基準法など業界特有の知識から、人事や経理など職種共通のベーシックな知識までを網羅しています。これらを「事業ドメイン」と「職種」の掛け合わせで複数パターン用意し、社員の属性に合わせて受講すべき科目を設定しています。
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また、当社は「陳腐化する知識を3年で更新する」を方針としており、3年を一つのサイクルとして、常に新しい知識へ更新し続けることを前提としています。一度受講したら終わりではありません。継続的に学び続けなければ、真のインプットとは言えないでしょう。
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