
“頑張り” に対して『納得感ある評価や処遇を導入する』こと
まず、厚生労働省「働きがいのある職場づくりのための支援ハンドブック(以下、厚労省資料)」では、次のような『働きがい向上に必要な6つの取組』を掲げています。(1)働きがいの現状を確認する
(2)柔軟・多様・快適な労働環境を整備する
(3)仕事の意味や面白さを見出せるよう働きかける
(4)従業員と組織の方向性を一致させる
(5)納得感ある評価や処遇を導入する
(6)能力・キャリア開発を充実させる
今回は「(5)納得感ある評価や処遇を導入する」を取り上げます。そして、厚労省資料は、次のように記載されています。
厚労省資料では、具体的な方法として『公正・透明・納得感のある評価制度』、『意欲や能力のある人を適切なポジションに配置(抜てき)』、『表彰制度の導入』などを掲げています。今回は、厚労省資料に記載されている「がんばりが正当に評価される」という部分に焦点を当てていきます。
なお、厚労省資料では “がんばり” と記載していますが、以下 “頑張り” を漢字表記としてお伝えします。
従業員は “頑張り” を心に抱いている
まず “頑張り” が『正当に』評価されることがポイントです。どのような “頑張り” でも必ず大きなプラスとして評価されるとは限らないということです。ここで「頑張りが評価されない」と考えられる場合を幾つか例示してみます。「頑張りが高評価を得られていない」
●従業員の頑張っている内容が、会社が求めている方向性とずれている。
●従業員の頑張っている内容が、会社が求めている基準に達していない。
●AさんもBさんも頑張っていたが、Aさんの方が頑張っていたので、Bさんの方が低い評価だった。
「頑張っているように見えにくい」
●心身が不安定で、頑張る意欲が湧かない。
●人間関係が上手くいかないため、頑張っても評価されようがない。
●頑張っても仕事の結果が伴わず、頑張ることがつらくなっている。
大きく「頑張りが高評価を得られていない」、「頑張っているように見えにくい」の2つに分けて例示しましたが、すべてに共通して言えることは、いずれも “頑張り” を心に抱き、実際に頑張っているということです。“頑張り” の内容・結果に関わらず、まずは、一人ひとりの従業員の “頑張り” を尊重する気持ちを大事にしていきましょう。
“頑張り” を正当に評価するための3つのプロセス
ここからは「頑張りが高評価を得られていない」で紹介した例示に基づき、正当に評価するための3つのプロセスをお伝えします。~プロセス(1)~会社として明確なメッセージ(人事理念など)
(高評価されない理由)従業員の頑張っている内容が、会社が求めている方向性とずれている。その前提として、会社が求めている人材の方向性を明確に示していることが必要になります。従業員の “頑張り” が会社の求めている方向性と合致していれば、高い評価を得られる可能性があります。逆にずれていたら、高い評価を得ることが難しいということです。会社の求めている方向性とずれている場合には、 “頑張り” を尊重した上で、明確にその方向性を伝えていきましょう。
~プロセス(2)~会社として明確な評価基準(評価制度の構築)
(高評価されない理由)従業員の頑張っている内容が、会社が求めている基準に達していない。仮に会社と従業員との方向性が合致していたとしても、その “頑張り” が一定の基準に達していなければ高い評価を得ることが難しいということです。会社の求めている基準に達していない場合には、 “頑張り” を尊重した上で、何が必要なのかを明確に伝えていきましょう。例えば、知識の習得、技術の向上、コミュニケーション力の向上などといったことです。
~プロセス(3)~チャレンジできる機会の創出(人事異動、社内公募など)
(高評価されない理由)AさんもBさんも頑張っているが、Aさんの方が頑張っていたので、Bさんの方が低い評価だった。ポストなどに限りがあることで、評価されるべき “頑張り” でも、結果として高い評価にならない場合もあり得ます。その場合に、低い評価となった従業員(Bさん)のモチベーションもまた低くなってしまいます。“頑張り” を尊重し、そしてその “頑張り” が会社には必要な旨を伝えた上で、人事異動、社内公募などのチャレンジできる機会をつくっていきましょう。
“頑張り” の気持ちをフォローする仕組みも
そして「頑張っているように見えにくい」で示した例示も、おそらくそのようになった理由・きっかけがあると思います。定期的な面談、メンタルヘルス、ハラスメントなどの相談窓口、キャリアカウンセリングなど、さまざまな制度は、従業員それぞれの “頑張り” を支える仕組みでもあります。このような “頑張り” を支える仕組みがあることが、評価制度などを通じて “頑張り” を正当に評価するための拠り所となっていきます。
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