人手不足が深刻化する中、外国人雇用を検討する企業が増えています。しかし「手続きが複雑そう」、「どこから手をつければいいかわからない」という声もあり、なかなかその一歩を踏み出せない企業も少なくありません。そこで今回は、外国人雇用を検討している企業担当者に向けて、押さえておくべき基本事項と実務のポイントを解説します。
【在留資格の図解付き】初めての「外国人雇用」の注意点とは。採用時は何に注意し、手続きはどうすればよい?

まずは在留資格の確認を

外国人雇用で最も重要なのが「在留資格」の確認です。日本に滞在する外国人は法務省が認めた在留資格を持っていますが、この資格の種類によって、就労可否や従事できる業務内容が異なります。2025年11月現在、在留資格は27種類あり、就労に関しては以下のように分けられます。
在留資格チェックリスト
在留資格は、原則、在留カードの確認により行います。在留カードとは、日本に中長期滞在する外国人に交付される滞在許可証兼身分証明書で、在留資格の種類、在留期間、就労制限の有無などが記載されています。確認をせず、後に不法就労だったことが判明すると、会社も罪に問われるリスクがあります。

確認時は不正防止のため、コピーではなく必ず原本を提示してもらいます。提示された際に、会社がコピーをとって適切に保管しましょう。コピーをとっておくことで、在留カードを確認したという1つの証拠になります。なお、在留カードは携帯が必要なものですので、原本を会社が預かることはできません。

また、確認のタイミングは採用前です。求人応募があった最初の段階で提示してもらい、応募業務と在留資格がマッチしていなければ選考対象からはずすとスムーズです。

入社後も在留資格は定期的に確認を

例えば日本人の配偶者は、上表のとおり就労制限はありません。しかし、入社後にその配偶者と離婚すればこの在留資格は取り消され、更新後の在留資格によっては就労制限がつく可能性があります。会社がそれを把握しないまま業務に就かせていると、不法就労を助長したことになりかねません。在留期間の確認ももちろんですが、在留資格の種類が変わっていないかなど、在留カードは定期的に確認することが重要です。

なお、法務省や厚生労働省は、在留カードの見方や偽造の見分け方も紹介しています。見慣れないとどこを確認して良いかわからないと思いますので、参考にしてください。

手続きは日本人と大きく変わらず

外国人を雇用したときも、原則の手続きは変わりません。日本の法令が適用されますので、「労働基準法」をはじめ労働関係法令は日本人と同じように適用されます。

1つ追加で必要になる手続きが「外国人雇用状況届出書」で、外国人の入退社時にハローワークへ提出します。ただし、雇用保険の被保険者の場合、資格取得届・喪失届に外国人の場合に記入必須の欄があるので、そこを埋めて提出することで「外国人雇用状況届出書」を省略できます。

雇用契約書や労働条件通知書などの書面は、できる限り母国語または易しい日本語で作成し、本人が十分に理解できるような配慮が求められます。内容を理解できないまま合意した契約は無効になるリスクがあります。必要に応じて、就業規則もわかりやすい内容に変更する、母国語へ翻訳するなどの配慮が求められます。

「受入れ体制の整備」に必要なこと

外国人労働者が安心して働ける環境、つまり受け入れ体制を整えることは、定着率向上に繋がります。

●コミュニケーション

日本語によるコミュニケーションに不安がある場合は、簡単な日本語研修の実施を検討します。業務指示やマニュアルなども、可能であれば母国語版を用意する、図を多用するといった工夫が効果的です。初めての外国人雇用で言語面が不安であれば、一定の日本語能力を持った方を優先的に採用することも一案ですが、近年は翻訳アプリなども充実しているため、ツールもうまく活用していきたいところです。

●多文化理解

日本の文化はもちろん、ビジネス上の慣習に戸惑うことも多いでしょう。普段私たち日本人が当たり前だと思っている賃金制度や福利厚生、待遇、各種法令までも、外国から見れば当たり前ではないかもしれません。外国人労働者に日本文化や慣習を伝えるのはもちろん、日本人労働者にも外国での文化や習慣を伝え、相互理解を深めると円滑な職場環境が期待できます。

●サポート役の選任

OJTのようにサポート役をつける企業も多いです。ただし、対外国人労働者の場合、コミュニケーションなどの観点からサポート役の負荷が高くなりがちです。サポート役だけに任せきりにならず、部門ないしは会社全体での支援を目指しましょう。



いかがでしたか。適切な手続きと受入れ体制が整えば、外国人雇用は企業にとって大きな戦力となります。採用時のイメージがわかず二の足を踏んでいた企業にとって、少しでも参考になれば幸いです。
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