近年、「労働時間」についての判断は、ますます複雑なものとなり、会社としてどこまで労働時間として扱うべきか悩むケースは少なくありません。今回は、「移動中のメール対応」「制服への着替え時間」「自主的な早出残業の時間」など、人事担当者から寄せられた相談を取り上げ、労働時間の基本的な考え方と実務上の対応ポイントを解説します。

直行直帰の移動中、メール返信は労働時間になる?
質問者:30代・製造業(営業部門)・中堅企業
Q:「当社の営業職は客先へ直行することが多いのですが、最近『移動中にPCでメール返信をしたり、チャットで指示出しをしたりしている時間は仕事(労働時間)ではないか?』と指摘を受けました。 また、展示会で使う機材や、紛失が許されない重要書類を自宅から運んでもらうこともあります。移動中の業務や、荷物の運搬がある場合の判断基準を教えてください」A:直行直帰における移動時間は、原則として通勤に準じるものとして労働時間には該当しません。ただし、移動中であっても会社の指揮命令下にあると評価される場合には、労働時間と判断されます。ポイントは「移動時間を自由に利用できるか」という点にあります。
「着替え」と「朝礼」の15分前集合は労働時間になる?
質問者:40代・小売業〈店舗運営〉・中小企業
Q:「店舗スタッフに対し、始業の15分前には制服に着替えて朝礼に参加するよう指導しています。着替えは私服での接客を禁じているため必須になります。始業時刻前の着替えの時間と朝礼の時間、どう整理すべきでしょうか?」A:この問題は、「着替え」と「朝礼」を分けて考えることが重要です。いずれも「会社の指揮命令下にあるかどうか」が判断のポイントとなります。
指示していない“早出残業”も労働時間になる?
質問者:50代・情報通信業・中小企業
Q:「始業の1時間前に出社して仕事をしている若手社員がいます。上司は指示していませんが、本人が『静かな環境で集中したいから』と勝手にやっている状態です。本人が希望しているなら残業代を払わなくても問題ないでしょうか?また、会社としてどのように対応すべきか教えてください」A:「勝手にやっている」という状況に安心してしまいがちですが、会社が早出を知りながら放置している場合、それは「黙示の指示」があったとみなされ、労働時間としてカウントされる可能性が極めて高いです。判断のポイントは、「会社がその労働を容認しているといえるかどうか」です。
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