
中長期的なモチベーション、組織エンゲージメントを高める方程式
活力ある組織・チームは当然のことながら、活力あるメンバーたちから成り立ちます。では、活力あるメンバーとはどのような状態でしょうか。これは皆さんも想像される通り、個々人として「モチベーション」や「組織エンゲージメント」の高いメンバーです。モチベーションの方程式としては、心理学者のアトキンソンが提唱する
が有名です。
そして弊社では、このアトキンソンの方程式について、ある一つのテーマ単位、プロジェクト単位でのモチベーションを高める公式と捉えています。
それは、皆さんの四半期や半期、年度の業績目標、あるいは重要プロジェクトの達成に該当します。MBO(Management by Objectives、目標管理制度)やOKR(Objectives and Key Results、目標と主要な結果)でテーマ設定を行い、期間中は「やってやるぞ」と意気込んで取り組み、その達成度合いで給与アップや大きなインセンティブが叶う。こうしたアクションにおけるモチベーションですね。
もちろん私たちは、こうした目標を連ねて仕事をしていくものです。しかし私は、そもそももう少し基盤的な、中長期観点でのモチベーション公式があるのではないかと考え、様々な実例と考え方を集約し、次のような方程式に至りました。
いかがでしょう?
私たちは、やりがいある仕事を任され、それを通じて成長する(成長できると感じる)ことができ、取り組んでいることが周囲に認められ、その承認をもたらしてくれる人たちが仲間であると思えることで、日々ともに仕事に取り組むことができる。このような環境に置かれ続けている限り、その人はモチベーションや組織エンゲージメントの高い状態であり続けられるでしょう。
あなた自身の職場・仕事環境は、この公式に当てはめてみていかがですか? あるいは、あなたの部下たちはどうでしょう?
良いコンディションを保つ方程式、モチベーションが上がる仕事の5つの特性
ご参考までに、他方で短期的なモチベーション(やる気)については、「作業興奮」と「継続習慣」から創出されます。「作業興奮」とは、嫌々でも何か作業をし始めると、気づかないうちにエンジンが掛かって作業が進む、楽しくなってくる生理現象です。例えば片付けや掃除をし始めると、事前に思っていたよりハマってしまった経験がおそらくありますよね。「作業興奮」で着火して、「継続習慣」があるとノリやすいのが、私たち人間の習性です。せっかくの本能的な部分ですから、活かさねば損なのです。
さて、メンバーたちの活力ある状態は、中長期的なモチベーション方程式で創れます。さらにもうひとつ、メンバーたちが良いコンディション、健康的な状態で働いてもらうための法則についてもご紹介しておきましょう。
「首尾一貫感覚、SOC(sense of coherence)」と呼ばれる感覚があります。これは健康を増進し、ストレス対処に長けた人が抱く感覚だと言われています。
それは、
で成り立っているそうです。
「Coherence」には、「首尾一貫」という意味に加えて「統一性、全体感」という意味もあり、「広く俯瞰して、全体として整っている状態」を意味します。「やりたい」、「どの部分を担っているか、分かる」、「できる気がする」という状況が揃うと、そのことについて全体感、一貫性ある取り組みができる感覚を持てるということですね。
精神的に健康な状態、ストレス対処できる状態とは、自らコミットできてコントローラブルな状態であるです。それを認識し、この状況を獲得した上で、どうすれば極力保つことができるか、考え動くことが非常に重要です。
まとめついでに、<第26回:「部下のやる気を引き出す」を科学する。モチベーション向上のカギは【5つの特性】>で紹介した、ハックマン=オルダムの職務特性モデル「モチベーションが上がる仕事の5つの特性」もぜひ活用していただきたいので、おさらいしておきましょう。
「技能多様性(Skill variety)」、「タスク完結性(Task identity)」、「タスク重要性(Task significance)」、「自律性(Autonomy)」、「フィードバック(Feedback)」の5つの特性を満たすことによって、「有意味感」や「責任感」などの心理状態が発生し、モチベーションが上がります。そして、それが仕事の成果につながっていくと考えられているのです。詳細は、ぜひバックナンバーをご覧ください。
やる気、やりがい、健康的なコンディションは全て意図して創出でき、コントロールできます。常時とまではいかなくとも、今回ご紹介した方程式と構成因子を頭に入れておいていただき、折々思い返してチェックしてみてほしいのです。それだけで、あなた自身とチームメンバーのモチベーション、組織エンゲージメントのレベルはぐんと高まりますよ。
経営者、経営幹部としてご活躍中の皆さんは、ぜひ今回ご紹介した各方程式について、理論を踏まえていつでも導入・確認ができるよう身につけてみてくださいね。
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