
採用管理システムとは
採用管理システムとは、求人から内定までの採用プロセスにおけるさまざまな業務を一元的に管理できるシステムだ。採用業務の効率化につながるだけでなく、母集団の形成や人材の質向上にも役立つ。最近では、求人媒体や自社採用サイト、SNS、リファラル採用など複数チャネルを横断して候補者情報を管理できるクラウド型の採用管理システムが主流になりつつある。「ATS=Applicant Tracking System」とも呼ばれている。「ダイレクトリクルーティングサービス」編集部おすすめ比較! メリット・費用相場・スカウトとの違いなどを解説
採用管理システムの主な機能
実際、採用管理システムにはどのような機能が備わっているのかを紹介していく。●求人管理
求人管理は求人票を作成して求人媒体などに掲載し、母集団を形成する機能だ。求人票は、システム上で誰でも簡単に作成できる。そのまま求人媒体などに自動更新できるサービスもある。また、求人票を求人検索エンジンと連携させて掲載できるので母集団を形成しやすい。●応募者管理
応募者管理は、応募者の受付や管理を行い、選考につなげる機能となる。具体的には、求人媒体や人材紹介会社と連携しているので応募者を自動的に取り込み、一元的に管理できる。また、マイページを作成し、応募者一人ひとりに付与することも可能だ。LINEによる応募者との連絡がスムーズになるし、連絡漏れや見落としも防げる。●選考プロセス管理
面談や評価など採用にはさまざまな選考プロセスがある。それらを迅速かつ的確に進めていく機能も備わっている。例えば、応募者が今どのステータスまで進んでいるのか、進捗を管理できる。また、システム上で面談の日程調整も行える。さらには、応募者とオンライン面接を行うこともできる。ツールによっては、面接官ごとの評価入力や評価シートのカスタマイズ、合否理由の蓄積なども可能で、選考の属人化防止や採用基準の明確化に役立つ。●データ分析
求人・採用全体の歩留まりを確認し、改善するためのデータ分析機能もある。求人ごとに応募状況や歩留まりをチャネル別に確認できるので、採用施策のパフォーマンスをチェックしやすい。また、採用活動全体の状況を可視化することも可能だ。どのような施策が成果につながるのかも見極められるので、改善成果を導くやすくなる。採用単価(一人あたりの獲得コスト)やチャネル別のコストパフォーマンス、内定承諾率などの指標をダッシュボードで確認できるサービスも多い。●その他
他にも、限定公開のページを作成・共有できるのでリファラル採用にも活用しやすい。また、自社の採用サイトを簡単に作成・運用できる機能もある。かなりデザイン性の高いサイトやSEO対策を考慮したサイトなどをスムーズに構築していけるサービスもある。近年では、タレントプール機能やスカウト管理機能、内定者向けのエンゲージメント機能など、採用後の活躍や定着まで見据えた機能を備えるシステムも増えている。採用管理システムの導入メリット
採用管理システムを導入することで、単なる工数削減に留まらず、「採用の見える化」や「採用の質の向上」にもつながる。それらのメリットについて取り上げていく。●応募者情報を一元管理できる
採用管理システムを導入することで最も大きいのは、応募者の管理を一元化できることだ。従来は紙ベースやスプレッドシートで管理していたが、これでは情報の散逸や重複が生じやすい。その点、採用管理システムを導入すれば、すべての応募者情報をシステム上で管理できる上、リモートワークや複数拠点での採用体制にも対応しやすくなる。また、必要な情報を検索・参照するのも容易なため、選考の効率も高まる。●選考ステータスを把握しやすい
選考ステータスを把握しやすい点も採用管理システムのメリットだ。候補者一人ひとりの選考状況をリアルタイムで更新し、その情報を採用担当者だけでなく、現場の面接官や経営層とも共有できる。そのため、選考の進捗をチェックしやすく、意思決定のスピードアップにもつながる。●連絡漏れや伝達ミスを防げる
採用管理システムには応募者への一括送信機能が備わっている。そのため、連絡漏れや伝達ミスを防げる。もちろん、作成した送付リストに基づいて発送することになるので、そのリストに対象者が漏れていないかはしっかり確認しておくようにしたい。●新しい採用施策を導入しやすい
採用管理システムの中には、最近注目されているリファラル採用向けの機能を搭載しているものもある。他にも、採用管理システムをハブとしてSNS広告やダイレクトリクルーティングサービスと連携することで、短期間で新チャネルを試し、効果検証まで一気通貫で行える。「社内のリクルーターを増員したい」、「SNSでの発信を強化したい」などの要望に応え、新しい施策をスムーズに導入していける。●採用のコストパフォーマンスが向上する
採用管理システムを導入することで、採用業務が効率化できる。結果として、採用スピードが上がり、求人媒体や人材紹介会社に支払うコストの削減につながる。また、集計したデータを分析することで、経験や勘に依存せず、科学的な根拠に基づいた判断が可能となる。効果の低い媒体・施策への投資を抑え、費用対効果の高いチャネルに予算をシフトしやすくなるため、改善活動を続けていく中で、採用活動のコストパフォーマンスを向上していける。●担当者の負担を軽減できる
採用管理システムを導入すると、応募チャネルにかかわらず一括して応募を受け付け、同じシステム上で連絡を取ることができる。面接の日程もLINEやカレンダーなどとリンクしているので調整がスムーズだ。選考状況や評価も一目瞭然。情報共有も円滑に図れるなど、採用担当者の負担がかなり軽減される。浮いた時間を面接や応募者とのやりとりに活かしていけば、採用業務のコアにより一層専念できるようになる。属人的な状態から脱却し、チームで採用を進められる体制づくりを支援してくれる点も見逃せない。採用管理システムの費用相場
採用管理システムのコストはいくらくらいで導入できるのであろうか。その相場観を解説していこう。採用管理システムの料金はさまざまだ。サービスやプラン、利用目的・利用期間・利用する機能数、連携する求人媒体数などによって大きく異なっている。料金を公表していないケースもあるので、一概には言えないが、クラウド型の場合は初期費用無料のケースが多い。有料だと50,000~200,000円前後が一般的だ。月額料金は20,000~100,000円程度が目安となる。
小規模企業向けには月額数万円から利用できるプランもあれば、複数拠点・大量募集に対応したエンタープライズ向けの料金体系も用意されている。当然ながら、機能追加やオプションの利用があればコストが増額となる。
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採用管理システムの選び方
次に、採用管理システムの選び方やポイントについて解説したい。サービスごとに機能や得意分野が異なるため、「なんとなく有名だから」ではなく、自社の採用戦略・採用体制にフィットしたツールを選ぶことが重要だ。●目的に即した機能があるか
採用管理システムと言っても、各社で機能が異なる。それだけに、自社の利用目的に沿った機能を持ち合わせているかどうかは必ずチェックしたい。例えば、採用管理システムによって応募者を自動取込みできる求人媒体が異なっている。自社でよく利用する求人媒体と連携しているかは確認しておこう。このとき、「必須機能」、「あれば望ましい機能」、「不要な機能」を事前に仕分けしておくと、複数サービスの比較検討がしやすい。また、社内で選考情報を共有したいのであれば、どのような外部システムと連携できるのかも気にするべきだ。●オンプレミス型かクラウド型か
採用管理システムは提供形態によって、ソフトウェアを購入して自社サーバーで運用する「オンプレミス型」と、インターネット上のサーバーを利用してソフトウェアを使用する「クラウド型」に大別できる。主流はクラウド型だが、何を重視するかを踏まえて、システムの形態を選択しよう。セキュリティに重きを置くのであれば、オンプレミス型を推奨したい。インターネットを経由していないので、ハッキングや情報漏洩のリスクを軽減できる。一方、コストを抑えながら迅速に導入したい企業には、クラウド型がフィットする。●新卒採用か中途採用かの用途に合っているか
主に新卒採用に活用するのか、中途採用に活用するのかという用途によっても選び方は変わってくる。新卒採用向けだとフロー管理や連絡機能がポイントになる。例えば、新卒採用を前提にするならLINE連携機能が備わっているものを選ぶようにしたい。逆に、中途採用がメインの場合には、人材紹介会社や求人媒体の管理機能を重視することだ。採用フローが効率化できる。さらに、アルバイト・パート採用や大量採用を想定している場合には、店舗ごとの採用状況を管理しやすい機能が備わっているかも確認しておきたい。●採用効果の可視化・レポート化ができるか
採用効果を高めるには、振り返りが欠かせない。そのためにも、「どの媒体の反響が大きかったか」、「どのような課題があったのか」などを可視化できる機能は重要だ。データを集計・分析するのが煩雑だと、それだけでも労力を要してしまう。求人媒体別の応募者数・選考率や、各フェーズの通過率など自社が設定するKPIの達成度がどうだったのかが、レポートとしてスムーズに自動作成できると便利だ。レポートの出力形式(CSV・PDFなど)やダッシュボードの見やすさも、導入後の活用度を左右する重要なチェックポイントとなる。●サポート体制が充実しているか
採用担当者がシステム運用に不慣れな企業の場合には、サポート体制の充実度をしっかりと確認しておきたい。使いこなすまでに時間が掛かるし、トラブルも想定されるからだ。専任担当がついて密にフォローしてくれる、データをベースにさまざまな改善提案をしてくれる、ユーザーコミュニティを利用できるなど、さまざまな施策が展開されているので、何が自社に合うかを検討したい。特に初めて採用管理システムを導入する企業は、カスタマーサクセスによる伴走支援や運用定着のサポートがあるかどうかも確認しておきたい。●導入・運用コストがどの程度か
どれほど機能が優れていたとしても、トータルの料金体系が他のシステムと比べて高すぎては選択できない。そのためにも、採用管理システムの費用に関する相場観は把握しておきたい。それが、自社の予算内に収まるかどうかを慎重に見極めたい。無料トライアル期間や小規模プランからスタートし、運用が軌道に乗ってから上位プランへ切り替えられるかどうかも、コスト面での重要な比較ポイントとなる。●操作しやすいか
採用担当者にとって操作しやすいかも重要なポイントだ。なぜなら、採用管理システムは日頃から頻繁に使うからである。PCだけでなくスマートフォンやタブレットからも操作しやすいか、UIが直感的かどうかも、日常利用のしやすさに直結する。操作が複雑であれば、習得までに時間が掛かるだけでなく、導入後のトレーニングやサポートも欠かせなくなってしまう。思うように業務効率も上がらないはずだ。導入前にトライアルを行うことを推奨したい。●既存システムと連携できるか
社内で利用しているシステムやツールとの互換性があるか、連携がスムーズかもぜひチェックしておきたい。人事管理システムやメールシステムなどと連携させることができれば、情報の一元化がよりスムーズとなる。逆に、互換性が悪ければ却って工数が掛かり、効率が悪くなってしまう。近年は、採用管理システムと人事労務システムやタレントマネジメントシステムを連携し、「採用~入社後活躍」までの一気通貫での管理を目指す企業も増えている。●セキュリティが万全か
セキュリティ対策が充実しているかどうかも重要なポイントだ。クラウド型でも、IP制限やアクセス権限管理などのセキュリティ強化が進んでいるが、導入する場合は特に留意したい。応募者の個人情報がクラウド上で保存されるからだ。万が一、情報漏洩が生じたりすると多大なリスクを被ることになる。アクセス権限の細かな設定、通信の暗号化、ログ管理などの有無も、比較検討の際に確認しておきたいポイントだ。採用管理システム導入に活用できる助成金・補助金(IT導入補助金)
採用管理システム導入にあたって、中小企業・小規模事業者のDXや業務効率化を支援する「IT導入補助金」を活用することで、初期費用や月額利用料の負担を大きく抑えられる。事務局に登録されたIT導入支援事業者が提供するサービスであれば、採用管理システムや採用サイト構築ツールも補助対象となり得る。ただし、求人作成だけといった単機能ツールや単なるホームページ作成ツールなどは、対象外となる点に注意が必要だ。採用管理システムは、IT導入補助金における「通常枠」に分類され、補助額は5万~最大450万円、補助率は中小企業で1/2、最低賃金近傍事業者で2/3まで認められる。ソフトウェア費用やクラウド利用料、導入設定・研修・マニュアル作成などの役務費も対象になる。
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まとめ
多くの企業で、IT化やDX化が今一歩加速していない。その原因として指摘されるのが、「導入ありきの姿勢」だ。どんな課題を解決したいのかという目的が曖昧なため、結局何の効果も生まれない場合が多い。採用管理システムも同様だ。導入すれば一連の採用プロセスがすべて円滑に進められる魔法の杖ではない。「応募が少なく母集団が形成できない」、「応募数はある程度確保できるが、質が伴っていない」、「せっかく内定を出しても辞退が続出してしまう」など、企業によって課題は異なるはずだ。まずは、そうした自社の採用課題をリストアップするところがスタートラインとなる。これが把握できれば、必要な機能も明確になるので、不要な機能にコストを払うこともない。そこから着手していこう。【関連記事】「AI採用」とは? 活用場面・企業事例・メリット・注意点を解説
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