社員のメンタル不調は、企業にとって避けられない課題です。厚生労働省の2024(令和6)年「労働安全衛生調査(実態調査)」によれば、過去1年間にメンタル不調で1ヵ月以上の休業または退職をした人がいる事業所の割合は、12.8%にのぼります。社員のメンタル不調に適切に対応するには、法令を遵守した休職・復職のルールを整備する必要があります。また、休職前の説明やケアも不可欠です。今回は、「就業規則の整備」、「休職中の対応」、「復職判断の視点」を中心に、人事担当者が実務で押さえておくべき要点を解説します。

メンタル不調者の休職・復職対応の“実務上のポイント”を、「トラブル防止」の視点で解説

就業規則における「休職制度」の整備

メンタル不調者への対応をスムーズに行うには、あらかじめ就業規則に休職に関する明確なルールを定めておくことが重要です。

●休職制度の明文化

心身の不調で業務の継続が困難になった場合、会社が休職を命じることができる旨を、就業規則に記載しておきます。休職期間は勤続年数などに応じて、たとえば「3ヵ月から1年」というように設定し、トラブルを防ぎましょう。休職中は基本的に無給であることも明記します。

また、メンタル不調の場合、病状が回復し復職したものの、再び同じ傷病で休職する可能性があるため、休職期間の通算規定をおくことも必要です。

●診断書の提出と更新の義務

休職の開始時には主治医の診断書を提出してもらい、その後も定期的に最新の診断書を受け取ることが望ましいです。これにより、症状の回復状況を客観的に確認できます。

●復職の判断基準の設置

復職の可否は、主治医の診断書を基本とします。社員の同意があれば、主治医と面談し、業務内容などを伝えたうえで復職に関する意見をもらいましょう。ただし、最終的な可否判断は、産業医などの意見も加えて会社が行う旨を規定します。

●休職期間満了時の扱い

休職期間が満了しても復職できない場合を想定し、自然退職や解雇に関する取り扱いを定めておく必要もあります。ただし解雇については、「労働契約法」第16条に基づき客観的に合理的な理由がなければ無効となるので注意が必要です。

こうしたルールの明文化は、会社にとってリスク管理であると同時に、社員にとっても働くうえでの安心材料となります。

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