国内の保険事業をはじめ、海外保険事業、金融事業とグローバルに展開されている東京海上ホールディングス株式会社では、グループ一体の経営モデルを推進し、さらに高い成長を持続させていくため人的投資を一層加速させています。

その最新の取り組みとして、2023年4月にグループ経営を担うリーダーを安定的・継続的に輩出するグローバルベースの人材育成機関「Tokio Marine Group Leadership Institute(TLI)」を創設しました。

今回、TLI立ち上げ時より担当されている東京海上ホールディングス株式会社 人事部 堀 豪志氏と、東京海上ホールディングスの営業担当としてアセスメントプログラムを提供する株式会社リードクリエイト 角田 創史氏が対談。TLIを軸にした「経営人材の育成」についてお話を伺いました。(以下敬称略)

※本記事の内容は、取材時(2024年7月)の情報に基づいています。

取材対象者


  • 堀 豪志氏

    堀 豪志氏
    東京海上ホールディングス株式会社
    人事部 グループ人材戦略室 マネージャー

    2008年新卒で東京海上日動火災保険に入社。損害サービス部門において自動車保険の保険金支払業務を経験した後、2016年より人事企画部にて機構改革や要員戦略等、人事戦略の企画立案に従事。2019年より社員の能力開発業務に就き、人材育成方針の策定・推進、DX人材育成施策の立案、組織開発・風土変革の実現に向けた企画などを担当。2022年より東京海上ホールディングス株式会社に出向し、グループ人事戦略の立案・企画を現在担っている。

  • 角田 創史氏

    角田 創史氏
    株式会社リードクリエイト
    ソリューション事業本部 ソリューションパートナー室 プランナー

    2008年1月よりリードクリエイトに参画。主にコンサルティング営業を担当。リーダー育成をはじめとする企業内の各種人事課題解決に向け、人事評価、アセスメントプログラム、トレーニングの導入や運用支援を中心に活動する。

堀氏・角田氏

国内外グループ全体で大事にしている一人ひとりのアスピレーション

角田:本日は、東京海上ホールディングス様の経営人材育成を中心にお話を伺っていきます。まずは前提として、社員の成長やキャリア形成に熱心だと定評のある東京海上ホールディングス様の人材育成の考え方についてお聞かせいただけますか?

:社員の育成やキャリア自律を私たちは非常に重要視しています。大切にしているのは、一人ひとりの社員がアスピレーション(大志)を持つことです。

社会の変化が大きく、お客様の課題も広がっていることから、従来の事業領域のみならず、新たな挑戦をする必要があります。未知なる分野に飛び込むには、社会人として一人の大人として、社会や世の中に何を残したいのか、そうしたアスピレーションを発揮することが大切です。社員にはそれぞれのアスピレーションを起点としながら自らのキャリアを形成して欲しいと思っています。

そのために会社として、グループ全体を支援し、国内外に関わらず広く仕事の機会やキャリアパスを提供していきます。一人ひとりのアスピレーションが化学反応を起こすことで、大きな社会課題の解決に貢献していきたいと考えています。
堀氏
角田:アスピレーションが、様々なキャリア施策のテーマとなっているのですね。では、様々なアスピレーションを胸に働く社員の方々を率いる経営人材育成プログラムTLIについて、概要をお聞かせください。

:TLI(Tokio Marine Group Leadership Institute)は、東京海上グループ独自のグローバル経営人材育成機関として、2023年4月に設立されました。東京海上ホールディングスのグループCEOである小宮暁が学長を務め、グループ一体経営を担う未来の経営人材を継続的に育成・輩出していく仕組みです。日本国内のみならず、海外の方も含めて経営人材候補が参加しています。育成プログラムは、座学研修だけでなく、候補者の専門性やアスピレーションを起点にタフな経験機会や、新規事業への挑戦機会などを提供していきます。

また、私たちのこれまでの歴史の中で受け継がれてきた「お客様本位・社会課題解決・グローバル視点・チャレンジマインド・自由闊達」といったグループに息づく精神を、現在の経営陣から次世代へとバトンリレーしていく場でもあります。

角田:TLIが発足した経緯についてもお聞かせください。

:グループCEOの小宮の想いが非常に強いです。私たちは幸いなことにグローバル展開を拡大しながら、シナジー効果の創出に取り組むことでこれまで着実にグループ一体経営を推進することができています。このグループ一体経営を将来にわたってよりサステナブルなものにするために、TLIは創設されました。リーダーは自然発生的に生まれるという考えもあるかもしれませんが、私たちは継続的・計画的に人材を育てていき、世代が変わっても東京海上グループの精神を備えたリーダーがグループ一体経営を続けていく未来を見据えているのです。

TLIに卒業はない。縦・横・斜めでつながるアルムナイネットワーク

角田:単発の研修というわけではなく、東京海上グループを率いる人材を育てていくTLIですが、対象となる階層は限られているのでしょうか。
角田氏
:一部の限られた層ではなく、役員から若手世代まで、そして日本だけではなくグローバルに縦横ともに幅を持たせています。また、もうひとつ特徴的なのは、縦横だけではなく、“斜め”でもつなげていることです。TLIに1年参加して終わりではなく、翌年度に参加する社員ともつながりを持てるような、アルムナイネットワークを活性化させていこうとしています。

角田:御社のTLIにおけるアルムナイネットワークというのは、具体的にはどのようなことをするのでしょうか。

:たとえば、2023年のプログラムに参加したメンバーが、2024年はアルムナイとして参加して、今期のメンバーと交流をしました。また、昨年参加したメンバーに、今年の一つ役職が下の研修の講演者として、TLIでの学びや経験を仕事にどう活用しているのか語ってもらう予定です。そして2024年10月には、グループワイド、グローバルワイドで、経営人材候補のネットワーキングを行う「TLI Summit」を初めて開催します。

角田:一般的な経営人材候補向けの研修の場合、特定の層だけになったり、世代間の連携はなかったりしますが、TLIは縦・横・斜めでグループ内の優秀な人材が有機的につながりを持てるような仕組みがあるのですね。

:「TLIに卒業はない」と学長の小宮も熱く話しています。インターナショナルな教育研修プログラムや実践の場をより一層増やすと同時に、経営リーダーの交流の場やネットワークをつくっていくことが、今後のグループ一体経営には不可欠だと考えています。

角田:TLI設立前は、経営人材育成に向けて、どのような取り組みを行っていたのでしょうか。

:もちろん取り組んではいました。しかし、経営人材育成の取り組みは、グループ全体というよりは個社ごとに行っていました。TLIは、グローバルなグループ一体経営をリードする人材の育成が大きな目的です。グループ全体の将来ビジョンを構想し、グループ各社をまとめ上げ、さらにシナジーを生み出せるような人材を計画的に輩出していくため、より大きな視野でのプログラムとなります。

角田:グループ一体経営ということですが、グループ会社にも各社の育成の目標や求める人材像がありますよね。そのあたりは、どのように調整をしていくのでしょうか。

:もちろんグループ各社の人材育成の取り組みも大切なことですから、尊重しています。ただ、グループの規模が大きくなっていますので、グループ全体での視点を持つリーダーの育成や、新たな研鑽の場も必要です。すべての経営人材育成プログラムを一つにまとめ上げるわけではなく、グループ各社の取り組みを大切にしながらも、TLIの場でグループ一体経営の目線を持った経営者を育成していくという考えです。今後もグループ各社とコミュニケーションをしっかりと取って様々なコラボレーションを実現していきたいと思っています。

経営人材として育成していくリーダーシップリフレクション

東京海上ホールディングス堀氏、リードクリエイト角田氏 2ショット
角田:TLIのメンバーに選ばれる要件や人材像を教えてください。

:グループ一体経営を推進できる器の大きさや、アスピレーションの大きさを重要視しています。そして、東京海上グループの精神を伝承するための共感、フィット感も外せない要素です。ただ、この変化の激しい世の中においては、人材要件をあまり固めすぎず、環境の変化に応じて柔軟に変えていくことも必要だと思っています。

角田:グループ内から多様な人材が集うTLIでは、たとえば「グループ一体経営を推進できる」という要素であっても、捉え方に少しずつ齟齬がある可能性があります。TLIは、そのための目線合わせという機能もあるのではないでしょうか。

:まさにその通りです。TLIの研修の場を通じて、グループ各社から参加する多様な人材を、共通のものさしで見ながら育成をしていくことができます。また、様々な専門性や経験を持つメンバーが集まることで、「こういう要素も必要かもしれない」と、基準がブラッシュアップされていく可能性もあります。一度実行して終わりではなく、進化し続けていくこともTLIの重要なコンセプトです。

角田:そうした中、「リーダーシップリフレクション」と銘打ち、リードクリエイトのアセスメントプログラムをご活用いただいていますが、選定いただいた理由をお聞かせいただけますか?

:人をどう評価・育成していくか、様々な“ものさし”を求めていたからです。TLIでは、育成にあたり、「アセスメント」、「スキル&ナレッジ」、「リーダーシップエクスペリエンス」の3つのコンセプトを大切にしています。リードクリエイトさんのリーダーシップリフレクションは、そのうちの「アセスメント」に位置づけられます。TLIに集められた
メンバーは、場所や環境、仕事内容も様々です。経営人材として育成していくには、まずその人はどのような人材なのかを、社外含め様々な“ものさし”で見ることが必要と考え、アセスメントサービスの導入を検討しました。

リードクリエイトさんは、以前もご一緒したことがあり、私たちをよく理解いただいています。また、アセスメントをコア事業とされているからこそ、豊富なノウハウや知見があると感じました。そして、他社データというものさしで人材を見ることも重要だと思っているので、そのデータをお持ちであることからご依頼しました。

角田:「リーダーシップリフレクション」について、どのような活用イメージをお持ちでしたか?

:2つあります。1つは、先ほども述べた通り人材を見る上での“ものさし”です。その人がどんな人物かを判断する際、日常業務で見せる姿だけではなく、いつもとは異なる状況下での姿を見ることも大切です。リードクリエイトさんのサービスは、たとえば一定のストレスがかかる環境、自分の知見や経験が通用しない環境において、その人はどう振舞うのか、そうした観点から、日常業務を通じた評価では得られない新たな気づきを得られるもの、と考えました。

もう1つは、受講者本人が自分自身を深く見つめ直す機会になるということです。私もそうですが、自分のことって意外とわからないものですよね。しかし、グループ一体経営を推進するリーダーは、自分自身を理解していることが必要であり出発点です。リードクリエイトさんのアセスメントでは、自身の特徴や強み、課題などを、客観的なデータやフィードバックから得られるため、内省の機会になると思いました。

色々な“ものさし”で多角的に人材を見る

東京海上ホールディングス堀氏②
角田:TLI発足時からリーダーシップリフレクションを提供させていただいていますが、課題や今後の改善点があれば、ぜひお聞かせください。

:課題感として2つあります。1つ目は、アセスメント結果の有効な使い方です。対象者本人が自身を見つめ直すだけではなく、対象者の上司にも上手く共有しながら日々のOJTで活用していくことが望ましいですが、やはり難しいです。引き続き、活用方法は検討を重ねていく必要があると考えています。

2つ目は、振り返りの頻度です。人は1度振り返るだけでは、すぐに忘れてしまいます。TLIという仕組みの中で、様々なアセスメントを活用しながら振り返りの機会を定期的につくっていきたいと思っています。

角田:アセスメント結果の活用方法は、御社同様、各社、課題として抱えていらっしゃるようです。TLIを軸とした取り組みを開始してから2年目を迎えられていますが、現時点での成果や今後の展望をお聞かせいただけますか?

:TLIがグループ一体経営において、重要な取り組みであることを確信できたことが成果です。日本国内に限らず海外含めて、TLIに集まった優秀なメンバー間の交流を通じてシナジーを生み出そうとするマインドや、グループのパーパスやビジョンへの熱い想いがあることが確認できており、手応えを感じています。

国や言語の壁を越えて一緒に取り組む難しさはあるものの、アルムナイネットワークをどう進化させるか、TLIでの経験を成長につなげる場やアスピレーションを発揮できる場をどう提供していくか、今後も目に見える形で実現し続けていきたいと強く思っています。

角田:最後に、リードクリエイトに期待したいことをぜひお聞かせください。

:アセスメントは奥深い世界だと思います。アセスメント結果に絶対的な正解はありませんし、アセスメント手法も色々あります。国内外の企業で人材育成の重要性が高まるにつれ、人材のポテンシャルの測り方は、より一層洗練されていくでしょう。自分自身を知らなければ、自分を高めることもできませんし、自己変容もできません。自分の強みや弱みなどを棚卸しするうえでも、アセスメントは重要な位置づけになると思います。

そういった意味で、多角的に人材のポテンシャルを測るためにも、リードクリエイトさんには、アセスメントサービスの精度をさらに高めていただけると嬉しいです。そして、自分自身を深く知る機会として、気づきの量を増やせる場をつくっていただけるとますます嬉しいです。今後ともよろしくお願いします。

角田:ご要望にお応えできるよう尽力いたします。こちらこそ、よろしくお願いいたします。本日はありがとうございました!


協力:株式会社リードクリエイト
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