エントリーシートのAI対策の行きつく所
就職活動での学生の生成AI活用は年々進み、中でも多くの企業が導入するエントリーシートについては、その作成・添削過程において生成AIを活用する学生が大半となっています。HR総研が「就活会議」と共同で実施した2025年11月の調査では、インターンシップ応募時のエントリーシートで生成AIを活用した割合は、2026年卒(38%)から2027年卒(64%)へと、26ポイントも増加しました。もはやエントリーシートを含む書類選考の是非が問われる事態だといっても過言ではありません。そんな状況の中、企業の対策状況はどうなっているのでしょうか。企業規模別に見ると、大企業では「対策をしている」30%、「今後、対策する予定」32%で、両方を合わせた“対策・対策予定派”は62%と6割を超えます[図表5]。中堅企業では、「対策をしている」は12%にとどまり、「今後、対策する予定」15%と合わせても27%と大企業の半分にもなりません。中小企業では、「対策をしている」は10%と最も少ないものの、「今後、対策する予定」は24%であり、“対策・対策予定派”は中堅企業を上回る34%となっています。
中堅企業と中小企業では、どちらも「様子を見ている」が最も多く、それぞれ58%、48%となっています。生成AIを活用して作成されたエントリーシートをどう扱うのか、あるいはそもそもエントリーシートを継続するのかを含めた対策に向けた議論は、これから本番を迎えることになりそうです。
![[図表5]学生がエントリーシート作成にAI活用していることへの対策状況](https://img.hrpro.co.jp/images/tokushu/hr_tokushu_photo_4757_7_BG5P40.png)
最も多かったのは「面接でエントリーシート内容を深掘り確認する」(60%)で、僅差で「エントリーシートだけで評価を決めないようにする」(59%)が続き、「面接・グループディスカッションなど対面評価を重視する」(51%)までが半数を超えています。「面接でエントリーシート内容を深掘り確認する」方法であれば、エントリーシートの内容の大半が生成AIによる成果物なのか、いったん自身で作成した内容の添削を生成AIに委ねただけなのかの見極めは容易にできそうです。2位の「エントリーシートだけで評価を決めないようにする」は、面接で会うまでもないと容易に判断できるほど見るべきところのない(中身のない)エントリーシートは別として、従来の書類選考としての役割は十分に果たせないことにつながり、結果的には一次面接に呼ぶ応募者は増やさざるを得なくなるでしょう。
なお、「動画選考・録画選考を活用する」(20%)は、割合としては高くないですが、2017年にいち早くAIによるエントリーシート判定を導入したソフトバンクが、これまでのエントリーシート自体を廃止し、その代わりに神戸大学などと共同開発した独自のAIシステム解析による動画選考を導入した例がこれに当たります。学生に動画を提出させることで、従来のエントリーシートによるテキストデータでは測れなかったパーソナリティーや熱意、コミュニケーション能力などをより直接的に評価できるようになったといいます。
「エントリーシートの設問内容を見直す」や「AIでは回答しづらい設問を増やす」など、エントリーシートの設問を見直す動きもありますが、これらは結局のところテキスト情報であることに変わりはありません。対面か動画かを問わず、ソフトバンクの例のように、パーソナリティーや熱意、コミュニケーション能力など測るには、最終的にはやはり「面接重視」に行きつくことになりそうです。
![[図表6]学生がエントリーシート作成にAI活用していることへの対策内容(複数回答)](https://img.hrpro.co.jp/images/tokushu/hr_tokushu_photo_4757_8_NHN454.png)
