前回に引き続き、HR総研で5月27日~6月3日に実施した「テレワークの実態」に関するアンケートの結果を報告する。今回は、「テレワーク社員の就業環境の実態把握」、「テレワーク社員への支援状況」、「テレワークに対する社員の所感」、「オフィス勤務における工夫」等である。フリーコメントも含めて以下に紹介する。

<概要>
●就業環境を大企業では4割以上が「社員アンケートで把握」に対し、中堅・中小企業では「把握していない」が4割
●大企業・中小企業では就業環境の実態を4割以上が把握、中堅企業の「個別ヒアリング」は限界も
●「執務環境の整備状況」の課題が最多、中小企業では「生産性の低下」に課題感
●テレワーク社員は「テレワークに賛成」が7割以上、大企業では9割近くに
●執務環境の整備への支援は「申請者に現品支給・貸与」が最多
●コミュニケーション支援は「定期的なオンライン会議」が最多
●身体的/精神的な健康状態の支援では「個別フォロー」が大切
●「オンライン会議ツール」はマストアイテム、コミュニケーションツールの効果的活用も
●企業規模で異なる「テレワークを実施していない理由」、大企業では「予算が無い」
●テレワーク推進派は2割、働き方の選択肢に定着するか(再掲)
●新型コロナ感染防止を考慮したオフィス対策、対策を実施する企業が8割近く
●複合的な対策で感染リスクを軽減

就業環境を大企業では4割以上が「社員アンケートで把握」に対し4割以上、中堅・中小企業では「把握していない」が4割

テレワークを実施する企業において、テレワーク社員の就業環境の実態をどれだけ把握しているのだろうか。
まず、「テレワーク社員の就業環境の実態の把握方法」について聞いてみると、「個別ヒアリングで把握」が最も多く37%、次いで「社員アンケートで把握」が32%、「その他の方法で把握」が7%となり、「把握していない」は34%となっている。したがって、66%の企業では何かしらの方法で「テレワーク社員の就業環境の実態」を把握していることが分かる(図表1-1)。
企業規模別に見ると、1,001名以上の大企業では「社員アンケートで把握」が43%で最多である一方、301~1,000名の中堅企業と300名以下の中小企業では「社員アンケートで把握」はそれぞれ24%、27%にとどまり、いずれも35%以上の「個別ヒアリングで把握」のほうが多くなっている。「把握していない」は、大企業では24%にとどまるのに対して、中堅・中小企業では4割近くを占め、積極的に把握しようとする傾向にないことがうかがえる(図表1-2)。

【図表1-1】テレワーク社員の就業環境の実態を把握

HR総研:テレワークの実態に関するアンケート 結果報告(2)

【図表1-2】企業規模別 テレワーク社員の就業環境の実態を把握

HR総研:テレワークの実態に関するアンケート 結果報告(2)

大企業・中小企業では就業環境の実態を4割以上が把握、中堅企業の「個別ヒアリング」は限界も

把握している就業環境の実態の内容としては、「執務環境の整備状況」が最も多く56%で、次いで「テレワークへの総合的な所感」が54%、「コミュニケーション手段」が50%などとなっており、上位3項目はいずれも半数以上が把握していることが分かる(図表2-1)。まずは在宅勤務が「社員が快適に仕事をできる環境にあるか?」ということが、企業にとって最大の関心事であり、優先して解決したい課題となっているのだろう。
企業規模別に見ると、大企業では、「執務環境の整備状況」が最多で63%となり、上位項目については全体の傾向と同様であるとともに、すべての項目について4割以上の企業が把握しており、中小企業でも類似した傾向が見られる。一方、中堅企業では上位3項目は半数前後の企業で把握しているが、その他の項目については把握する企業の割合は大きく下がり、最も低い「生産性の状態」については22%にとどまっている(図表2-2)。このような傾向の要因には、把握の方法の違いがあると考えられる。前述のとおり、大企業では「社員アンケート」をベースにしているため、様々な項目の傾向を把握しやすいが、中堅・中小企業では「個別ヒアリング」が主流となっているため、把握する項目が増えるごとに社員の数だけ負担が増えることとなる。中小企業では社員数も少ないため可能であっても、中堅企業ではヒアリングで社員の状況を把握するのには限界があるのではないだろうか。やはりある程度の企業規模になると、全体的な傾向を効率的に把握するためにはアンケートの活用も検討する必要があるだろう。

【図表2-1】把握しているテレワーク社員の就業環境に関する実態の内容

HR総研:テレワークの実態に関するアンケート 結果報告(2)

【図表2-2】企業規模別 把握しているテレワーク社員の就業環境の実態の内容

HR総研:テレワークの実態に関するアンケート 結果報告(2)

「執務環境の整備状況」の課題が最多、中小企業では「生産性の低下」に課題感

状況を把握する中で就業環境として課題が最も多いと思われる項目は、「執務環境の整備状況」が最多で24%、次いで「コミュニケーション手段」が17%、「生産性の状態」が15%などとなっている(図表3-1)。執務環境が整わず、コミュニケーションも十分にできない環境では、自ずと「生産性の低下」に繋がるのだろう。
これらを企業規模別に見ると、大企業では全体と同様な傾向となっているが、中小企業に注目してみると、「生産性の状態」が25%と最多となり、他の企業規模と比較して顕著にこの割合が高いことが分かる(図表3-2)。さらに中小企業の中で「生産性の状態」を把握している企業に絞ると、半数以上の企業で「課題が最も多い」としており、特に中小企業における深刻な課題となっていることがうかがえる。前回レポートで触れたとおり、中小企業では、新型コロナウイルスの影響で十分な準備をする間もなく緊急的にテレワークを実施したことで、効果的な運用ができず「生産性の低下」に繋がってしまっているのだろう。
企業としては、少なからず社員のテレワーク環境に課題を感じているが、当の社員はどのように感じているのだろうか。

【図表3-1】就業環境として最も多い課題

HR総研:テレワークの実態に関するアンケート 結果報告(2)

【図表3-2】企業規模別 就業環境として最も多い課題

HR総研:テレワークの実態に関するアンケート 結果報告(2)

テレワーク社員は「テレワークに賛成」が7割以上、大企業では9割近くに

テレワーク社員の「テレワーク実施に対する所感」を把握している企業において、テレワーク社員の所感の傾向としては、「大いに賛成」が32%で、「やや賛成」が44%、「どちらとも言えない」が19%「やや反対」が5%となっており、「大いに反対」という傾向となった企業はないという結果となっている(図表4-1)。「大いに賛成」と「やや賛成」を合計した「賛成派」(以下同じ)は76%と8割近くなっている。
このように、企業がテレワークに対して様々な課題を感じている一方で、社員側としては、圧倒的にテレワーク実施への賛成派が多いという実態が浮き彫りとなった。
企業規模別に見ると、大企業では「賛成派」が88%、中堅企業では79%、中小企業では60%と企業規模が大きいほど、テレワークへの賛成派の割合が高く、逆に「どちらとも言えない」の割合は企業規模が小さいほど高くなっている(図表4-2)。環境整備の状況が、社員の評価にも表れているようである。
図表4-3に、テレワーク社員の所感の理由として挙げられているものを抜粋して紹介する。

【図表4-1】テレワーク社員のテレワーク実施に対する所感

HR総研:テレワークの実態に関するアンケート 結果報告(2)

【図表4-2】企業規模別 テレワーク社員のテレワーク実施に対する所感

HR総研:テレワークの実態に関するアンケート 結果報告(2)

【図表4-3】テレワーク社員の所感の理由(一部抜粋)

所感テレワーク社員の所感の理由の内容従業員規模業種
大いに賛成特にコロナの影響下で安心して仕事ができること1,001名以上メーカー
大いに賛成オンライン、オフラインの違いによる業務の成果と効率の差は想定するものよりも遥かに低い。通勤や、無駄な会議、休憩など無駄であると思われるものや人はそぎ落とされて結果として生産性は上がる事になる1,001名以上メーカー
大いに賛成専門知識を生かした業務が多い301~1,000名メーカー
大いに賛成移動時間が不要になり時間の有効活用。業務に集中でき効率化。一方で、就業環境(机、イス、PCやネットワーク環境)への不満はある300名以下情報・通信
やや賛成製造業ゆえ工場の現場ではテレワークはありえないし、緊急事態宣言中に完全在宅勤務となった社員も、たまには出勤したいという声が多い1,001名以上メーカー
やや賛成向き不向きの業務がある301~1,000名商社・流通
やや賛成生産性が上がるものもあるとわかったから。また、ワークライフバランスが向上することも実感したから300名以下メーカー
やや賛成通勤・出張コスト(時間)の削減は大きいものの、自宅でのテレワーク環境が整っているかは、家庭環境による個人差が大きい印象300名以下情報・通信
どちらとも言えない通勤の時間短縮や集中して事務作業ができる反面、複雑なチームによる意思決定は細かなニュアンスが伝わりづらく対面がよい印象1,001名以上メーカー
どちらとも言えないインフラ整備が不十分で、勤務管理等の課題がある300名以下サービス
どちらとも言えない通勤時間がかからない点を評価、家族がいて家庭では集中して仕事ができないので早く出社したい、通信環境に不満、など300名以下サービス
やや反対全就業日をテレワークにするのは業務の性質上、現在は難しいので(紙処理が多い)やや反対。やはり自宅での就業環境もある1,001名以上メーカー
やや反対テレワークではできない業務も多い301~1,000名サービス
やや反対仕事に対する取り組み方の相違300名以下メーカー
やや反対自分が仕事をしているか、疑われている気がする300名以下サービス

さらに「企業におけるテレワーク運用状況への所感」との関係を見てみると、企業側が「非常に上手く運用できている」と感じている企業では、「大いに賛成」とするテレワーク社員が見事に100%となっており、「賛成派」は「まあまあ上手く運用できている」と感じている企業ではテレワーク社員の94%、「どちらとも言えない」とする企業では36%、「あまり上手く運用されていない」とする企業では20%と、企業側の所感とテレワーク社員側の所感の傾向が綺麗に一致している。ちなみに「まったく上手く運用されていない」とする企業では、そもそもテレワーク社員の所感を把握していない(図表4-4)。おそらく、テレワーク社員の所感を踏まえて企業としての運用状況への評価をしているということも、この傾向に影響していると推測される。とはいえ、社員の所感を把握しているからこそ運用状況を適切に評価し、優先的に取り組むべき課題も見えてくるため、少なからずこの傾向は実態に合っているのではないだろうか。テレワーク社員の様子は直接見ることができないからこそ、アンケートやヒアリング等を活用してその様子を伺い知ることで、テレワーク社員への適切な支援、ひいては社員エンゲージメントの向上に繋がっていくのだろう。
では、企業ではテレワーク社員に対して、どのような支援を行っているのだろうか。

【図表4-4】テレワーク実施に対する「企業の所感」と「テレワーク社員の所感」の関係

HR総研:テレワークの実態に関するアンケート 結果報告(2)

執務環境の整備への支援は「申請者に現品支給・貸与」が最多

まず、「執務環境の整備」の支援については、「支援する予定はない」が34%となっており、残りの66%と3分の2の企業は何らかの支援を行っていることが分かる。その中で、テレワーク中の執務環境を整えるため「申請者に現品支給・貸与」している企業の割合が最も多く、28%となっている。次いで「全員に現品支給・貸与」が23%、「環境整備費を会社経費として精算」が13%、「テレワーク手当てを一律支給」が9%となっている(図表5-1)。テレワーク社員の執務環境の状況は各々異なるため、「申請者に現品支給・貸与」が最も無駄なくコントロールしやすいのかもしれない。
これをテレワークの運営状況別に見てみると、「うまく運用できている」企業では全体の傾向と同様であり、特に「環境整備費を会社経費として精算」と「テレワーク手当てを一律支給」を実施している割合が、「上手く運用できていない」企業より多くなっている。
「上手く運用できていない」企業で最も多いのは、「全員に現品支給・貸与」の30%となっており、テレワークを実施するにあたり最低限必要なPCやネット環境等を揃える必要がある企業が多いことが推測される(図表5-2)。

【図表5-1】「執務環境の整備」に関するテレワーク社員への支援

HR総研:テレワークの実態に関するアンケート 結果報告(2)

【図表5-2】運営状況別 「執務環境の整備」に関するテレワーク社員への支援

HR総研:テレワークの実態に関するアンケート 結果報告(2)

コミュニケーション支援は「定期的なオンライン会議」が最多

次に「コミュニケーション手段」の支援については、テレワーク実施企業の76%が行っており、その内訳としては、「定期的にオンライン社内会議を行う」が最多で41%、次いで「オンラインでの社内情報共有ルールを作る」が33%、「オンライン会議の方法をレクチャーする」が25%、「オンライン上での業務以外の会話の場を作る」が24%などとなっており、ここに挙げるすべての項目について、約4分の1以上の企業がすでに実施している(図表6-1)。 

実施状況別に見ると、すべての項目において「上手く運用できている」企業ほど支援している割合が高い傾向が見られる。特に「上手く運用できている」企業では「定期的にオンライン社内会議を行う」が49%とほぼ半数の企業で行われている一方、「どちらとも言えない」、「上手く運用できていない」企業では3割未満となっており、その差は20ポイント以上である。また、「オンラインでの社内情報共有ルールを作る」についても「上手く運用できている」企業と「上手く運用できていない」企業との差が大きく21ポイントの差が付いている。オンライン上でも社員同士が顔を合わせて会話することや誰もが分かりやすい情報共有のルールを明確化することで、円滑でストレスの少ないコミュニケーション環境を創出でき、テレワークの効果的な運用に繋がることがうかがえる。逆に、「支援する予定はない」とする割合は、「上手く運用できている」企業では18%と著しく低いことから、テレワークを実施する上で、「コミュニケーション手段の支援」は重要な支援であると言えるだろう(図表6-2)。

【図表6-1】「コミュニケーション手段」に関するテレワーク社員への支援

HR総研:テレワークの実態に関するアンケート 結果報告(2)

【図表6-2】運営状況別 「コミュニケーション手段」に関するテレワーク社員への支援

HR総研:テレワークの実態に関するアンケート 結果報告(2)

この先は、会員の方だけがご覧いただけます。会員の方はログインを、会員でない方は無料会員登録をお願いします。

HRプロ会員の方はこちらから

まだ会員でない方はこちらから

登録無料!会員登録された方全員に、特典資料をプレゼント!

HRプロとは

【調査概要】

アンケート名称:【HR総研】テレワーク実態に関するアンケート
調査主体:HR総研(ProFuture株式会社)
調査期間:2020年5月27日~6月3日
調査方法:WEBアンケート
調査対象:企業の人事責任者、人事担当者
有効回答:294件

※HR総研では、人事の皆様の業務改善や経営に貢献する調査を実施しております。本レポート内容は、会員の皆様の活動に役立てるために引用、参照をいただけます。その場合、下記要項にてお願いいたします。
1)出典の明記:「ProFuture株式会社/HR総研」
2)当ページのURL記載、またはリンク設定
3)HRプロ運営事務局へのご連絡
  ・会社名、部署・役職、氏名、連絡先
  ・引用先名称(URL) と引用項目(図表No)
  ・目的
Eメール:souken@hrpro.co.jp

※HR総研では、当調査に関わる集計データのご提供(有償)を行っております。
詳細につきましては、上記メールアドレスまでお問合せください。

  • 1