パーソルイノベーション株式会社は2023年12月20日、「副業に関する定点調査(2023秋)」の結果を発表した。調査期間は2023年11月1日~7日で、20~40歳代の会社員656名から回答を得ている。本調査から、副業の意向や人事考課/給与待遇への満足度別の副業の実施率などが明らかとなった。
【社員の副業】“副業禁止”は古いのか? 過去最多5割超の会社員が「副業意向あり」、 本業の満足度も影響

「今後の副業意向」は2022年5月の調査開始以降、過去最多に

収入増だけでなく、新たなスキル習得のために副業する個人が増えつつあり、社員の副業を容認する企業も増加傾向にある。企業で働く会社員は、副業についてどのような考えを持っているのだろうか。

はじめにパーソルイノベーションは、「今後半年間での副業意向」を尋ね、2022年~2023年11月までの推移をまとめた。すると、「副業を実施するつもりだ」とする人は、2023年11月では51.7%で、2022年5月の調査開始以降最も高い数値となった。
副業意向の出現率推移
性別・年代別でみると、前回の調査(2023年8月)と比べて、20代女性の副業意向は16.6%から22%へと大幅に増加したことがわかった。一方、40代男性は前回の調査と比べて、16%から12.4%に減少した。
性別・年代別の副業意向の出現率推移

副業しない理由のトップは「本業が忙しい」。副業を容認する企業は増加傾向に

続いて、同社が「直近半年間に副業を実施しなかった理由の推移」を調べたところ、「本業が忙しい」との回答が最も多く、前年同月(2022年11月)比で6.3%増加した。2023年5月のコロナ5類移行後に当該回答者の増加が顕著になっていることから、出社の再開などで本業の働き方に融通が利きづらくなった可能性が伺える。

また、「所属企業が副業を禁止している」との回答は、前回調査(2023年8月)の21.8%から16.7%へと減少した。前年同月(2022年11月)の調査結果と比べても3.3%減少しており、従業員の副業を認める企業が徐々に増えてきていることが示された。
副業をしなかった理由の推移

“現在の会社の評価満足度”が高いほど「副業実施率」も高い傾向に

次いで同社は、「現在の会社の人事考課への満足度と、その度合いごとの副業実施の有無」を調べた。すると、人事考課に「満足している」場合の副業実施率は82.4%と、8割を超えた。一方で、人事考課に「満足していない」場合の副業実施率は20.3%と、2割にとどまった。
人事考課への満足度と副業経験
また、「給与待遇(現年収)の満足度別に副業実施の有無」をみたところ、給与待遇に「満足している」場合の副業実施率は80.8%と8割におよんだ。他方で、「満足していない」場合の副業実施率は20.5%と2割程度だった。

人事考課/給与待遇ともに、満足度が高いほど副業を実施していることがわかった。
給与待遇(現年収)への満足度と副業経験

副業の実施理由は「現在の会社への評価」により異なる結果に

さらに同社は、「現在の会社での人事考課の満足度」と「副業理由」の関係性を調べた。すると、「周囲から誘われた」との理由では、満足度が高ければ高いほど回答率が高くなることがわかった。

また、「現職でやりたいことができない」との回答では、「満足している」とした人の割合が、他の満足度よりも高い数値を示した。
人事考課への満足度と副業理由
最後に、「現在の会社での給与待遇(現年収)の満足度」と「副業理由」の関係性をみたところ、前設問の結果と同様に、「周囲から誘われた」の回答は、満足度が高ければ高いほど回答率が高かった。

また、「現職でやりたいことができない」の回答も同様に、「満足している」とした人の割合は、他の満足度よりも高い比率だった。
給与待遇(現年収)への満足度と副業理由
本調査結果から、今後の副業実施の意向は、2022年5月の調査開始から過去最多を記録したことがわかった。また、個人は現在の会社への評価満足度が高いほど副業を実施していた。昨今の働き方の変化や働く人の副業意向の高まりなどから、副業を容認する企業も増えつつある。今回の調査結果を踏まえ、自社での副業容認や副業人材採用の有無について検討してみてはいかがだろうか。

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