Modis株式会社は2023年1月31日に、「人的資本」に関するアンケートの結果を発表した。本調査は2022年12月27日~28日に、企業向けコンサルティングサービスを利用したことがあるという経営層およびマネジメント層を対象に行われたもので、合計1,399名から回答を得ている。調査結果では、自社で抱えている経営課題のうち解決が難しい項目や、「人的資本の情報開示」についての現状の認識が明らかとなった。
6割の経営層・管理職層が「人的資本開示」を把握していない現状。他方で“人材強化の難化”を4割以上が実感

4割以上が「人材強化が年々難しくなっている」と感じている

政府が、2023年3月期決算以降の「有価証券報告書」での人的資本情報の記載を義務化したことで、上場企業を中心に「情報開示」に向けた具体的な取り組みが進んでいる。そうした状況の中、経営層・マネジメント層は現状、どのように経営課題の解決に取り組んでいるのだろうか。同社が、「近年難しくなっていると感じる経営課題」について尋ねたところ、最も多かったのは「人材の強化(採用・育成・多様化への対応)」で、46.4%と半数近くが答えた。以降、「世の中の変化や社会ニーズに随時対応すること」(42%)や「デジタル技術の活用」(32.9%)、「会社(事業)の将来像・ビジョンを描くこと」(32.2%)が上位で続いた。
6割の経営層・管理職層が「人的資本開示」を把握していない現状。他方で“人材強化の難化”を4割以上が実感

「人材の強化全般」は3社に1社が外部支援を求める

次に、「現状、どのような外部支援を必要としているか」を尋ねたところ、ここでもトップは「人材の強化(採用・育成・多様化への対応)」となり32.4%が回答した。全体の3社に1社程度が、自社のみの取り組みでは「解決が難しい経営課題」だと捉えていることがわかった。さらに、2位以降は「経営企画や事業戦略・将来構想の提案」(29.4%)と「随時必要となる専門的な知識やアドバイス」(29.1%)が続いた。
6割の経営層・管理職層が「人的資本開示」を把握していない現状。他方で“人材強化の難化”を4割以上が実感

「人的資本の情報開示」を認知しているのは3人に1人程度

次に、「人的資本の情報開示についての認知度」を尋ねた結果は、「知っている」が34.7%、「知らない」が65.3%となった。本調査において、経営層・マネジメント層の大半が人的資本開示を認識していないことが明らかとなった。
6割の経営層・管理職層が「人的資本開示」を把握していない現状。他方で“人材強化の難化”を4割以上が実感

「人的資本の情報開示」への取り組み実態は?

同社が「人的資本に関連する情報開示に向けた取り組みを行っているか」を全体に質問すると、「行っている」が36.4%、「行っていない」が36.2%と、回答が拮抗していた。ただし、「これから行う予定」が27.4%となっていることから、今後はさらに取り組みが進むと考えられる。
6割の経営層・管理職層が「人的資本開示」を把握していない現状。他方で“人材強化の難化”を4割以上が実感
本調査結果によると、企業の経営層・マネジメント層の「人的資本の情報開示」の認知度は3割強にとどまり、多くの企業で具体的な取り組みが進んでいないようだ。一方で、約半数が「人材の強化」が重要な経営課題であると捉え、解決に向けて外部支援を求める企業が多いことがわかった。企業が新たな価値を創造するための重要な資本である「人材」に関する情報を、どの程度社内で指標化して把握できそうか、自社の現状を確認しておきたい。

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