ダイハツ工業株式会社は2023年1月20日、2050年カーボンニュートラルやCASE・MaaSといった急激な環境変化に柔軟かつスピーディーに対応するため、新たに「DXビジョンハウス・DX方針」を策定したことを発表した。さらに新ビジョンのもと、大規模なDXビジネス人材の育成も図り、働き方改革をより加速させることで顧客への新しい価値提供を目指していく方針だ。
ダイハツ工業が新たな「DXビジョン」を策定。“1,000人規模のDX人材育成”と働き方改革のさらなる加速を狙う

「人にやさしいみんなのデジタル」をDXスローガンに、土台からビジネス変革を図る

ダイハツは、グループスローガンである「Light you up」のもと、「人にやさしいみんなのデジタル」をDXスローガンとして掲げた「DXビジョンハウス」を策定した。「DXビジョンハウス」では、「モノづくり」、「コトづくり」、「ヒトづくり」の3つをテーマにビジネス変革の姿として定めている。さらに、業務変革に向けた実行施策「DX1:デジタルを広める」、「DX2:今を強くする」、「DX3:未来をつくる」の3ステップを柱とし、それぞれ並行してアジャイルに進めるという。また、業務変革に向けた下地や土台を創り上げるため、「データ・IT基盤および技術」、「デジタル人材・組織」、「データドリブンな意思決定」、「マインド意識改革」などに取り組んでいくという。
ダイハツ工業が新たな「DXビジョン」を策定。“1,000人規模のDX人材育成”と働き方改革のさらなる加速を狙う

データに基づく意識決定や新たな業務プロセスの実現を目指す「DX方針」も策定

またダイハツでは、「DXビジョンハウス」の策定とともに、下記の通り新たな「DX方針」も定めた。

【ダイハツDX方針】
●データに基づく意思決定で「100年に一度の大変革」に対応する
●組織内に分散されたデータの利活用に向けたデータ基盤の構築、情報格差の解消で、「仕事」、「会社」、「社会」を変革する
●アナログ世代からデジタルネイティブまで、全社員が主役となる
●最新のデジタル技術の導入とともに、デジタル技術の手の内化や新しい企業文化をつくる
●「2025年の崖」や「レガシーシステムの足かせ」を取り除き、新しい業務プロセスを実現する


同社はこれらのビジョンや方針のもとDXに取り組み、顧客との繋がりを深めるとともに、少子高齢化や地域活性化などの社会課題の解決を図りたいとしている。

2025年までに1,000名のDXビジネス人材育成と50名の社内開発者の育成を目指す

DX人材育成に関して、同社は2020年よりビジネスに精通した人材の「AI人材育成」に取り組んできたという。今回、新たに策定した「DXビジョンハウス」のもと、BI(※)ツールの活用やアプリ開発などに領域を拡大し、DXビジネス人材の育成を推進するという。2025年までに全部署でデジタル技術が活用できるよう、1,000名のDXビジネス人材の育成を目指す方針だ。さらに、今後進展が見込まれるCASE・MaaSなどで必要な高度なアプリについても、スピーディーに社内開発を行うべく、2025年までに50名の社内開発者「DDI(Daihatsu Digital Innovators)」の育成を目指すという。

また、これらの人材育成の推進にあたり、新たな組織体制として既存の「IT推進室」からIT基盤業務を分離。DX機能を独立・強化させた上で、各本部機能の代表からなるテーマ別のタスクフォースチーム(以下、TF)を編成する。TFのリーダーは、各本部と連携し、テーマ推進のマネジメントを実施していくという。

同社は、今後もデジタル技術を積極的に活用し、社会環境の変化に柔軟かつスピーディーに対応することで、顧客に寄り添い、豊かな暮らしの実現に向け取り組みを進める方針だ。

※「Business Intelligence」の略で、膨大な業務データを必要に応じて分析・加工し、経営の意思決定などに活用する手法のこと
企業におけるDX推進は、国が政策にも掲げる重要な課題となっている。DX推進には、こうした組織一丸となった施策の実行や人材育成が有効だと考えられる。今後も他社の事例を参考にしながら、自社でのDXを進めていきたい。

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