公益財団法人日本生産性本部は2021年4月22日、“新型コロナウイルス感染症が組織で働く人の意識に及ぼす影響”の継続調査として、第5回目となる「働く人の意識調査」の結果を発表した。調査期間は2021年4月12日~13日(同年4月5日に公示された、一部地域に対する「まん延防止等重点措置」適用直後に該当)で、自営業者や家族従業者等を除いた日本の企業・団体に雇用されている1,100名より回答を得た。これにより、コロナ禍における勤め先の業績不安や、テレワーク実施率などが明らかとなった。
コロナ禍で「自社の業績に不安を感じている」業界は? 「コロナ慣れ」で感染への不安はやや希薄に

2021年1月に比べて「不安を感じている」はやや減少

ワクチン接種が進む一方で、いまだ収束の目途が立たない新型コロナに対し、人々はどのような不安を抱えているのだろうか。

はじめに、「自身が新型コロナに感染する不安」を尋ね、前回調査(2021年1月7日に発令された二度目の緊急事態宣言発令直後)と比較した。すると、「かなり不安を感じている」は、前回35.2%だったのに対し、今回は25.5%と減少。一方、「やや不安を感じている」は、前回48.2%だったのに対し、今回52.7%と増加していた。「あまり不安を感じていない」が前回の13%から17.4%へと増加していることも踏まえると、全体として不安の程度はやや希薄化していることがわかった。
コロナ禍で「自社の業績に不安を感じている」業界は? 「コロナ慣れ」で感染への不安はやや希薄に

「不要・不急の外出を避けている」もやや減少

また、「不要・不急の外出を避けているか」を尋ねると、「できるだけ避けるようにしている」は前回49.8%だったのに対し、今回は43.5%とやや減少した。また、「多少は避けるようにしている」は、前回39.5%だったのに対し、今回は44.2%と増加している。「避けている」との回答の合計は、前回の89.3%から87.7%に減少していることがわかった。
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勤め先の業績不安は業種によって差があり

次に、「勤め先の業績への不安感」を尋ねた。「全く不安は感じない」と「どちらかと言えば不安は感じない」の合計から、「かなり不安を感じる」と「どちらかと言えば不安を感じる」の合計を引いた割合(D.I.:Diffusion Index)を算出し、業種別に見ると、「教育、学習支援業」、「公務」などでプラス(不安がない)を示したほか、「情報通信業」のようにわずかなマイナス(不安がある)にとどまる業種があった。一方で、「卸売業」、「運輸業、郵便業」のように40ポイント以上のマイナスを示す業種もある。業種によって、業績に対する不安は大きく異なることがわかった。
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テレワーク実施率は、2020年7月以降2割前後で推移

続いて、「テレワークの実施率」をこれまでの全調査と比較。すると、初めて緊急事態宣言が発令された後の2020年5月調査では31.5%だったのに対し、2020年7月以降は継続して2割前後で推移していることがわかった。
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テレワーカーは「働き方」や「生活様式」の変化に前向き

最後に、「新型コロナ収束後の働き方や生活様式に関する変化の可能性」を、テレワークの有無別に比較した。その結果、「時間管理の柔軟化」の項目で、テレワーカーは「起こり得る」が78.2%(「起こり得る」が26.5%、「どちらかといえば起こり得る」が51.7%)なのに対し、非テレワーカーは「起こり得る」が48.9%(「起こり得る」が11.7%、「どちらかといえば起こり得る」が37.2%)と、テレワーカーの方が非テレワーカーよりも“変化の可能性を肯定する”傾向が強いことが判明した。「対面営業の縮小」や「地方への移住」でも同様の傾向が見られ、実際に「テレワーク」というニューノーマルな体験を行ったことが、新たな「生活様式」に対して前向きの影響を与えているようである。
コロナ禍で「自社の業績に不安を感じている」業界は? 「コロナ慣れ」で感染への不安はやや希薄に
現在、緊急事態宣言の期限延長が決定し、対象地域も追加されるなど、より一層不安を募らせている企業もあるだろう。今後も感染症対策を踏まえながら、「新たな働き方」への変革を考えていく必要がありそうだ。

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