アデコ株式会社は2021年2月4日、「AI(人工知能)導入に関する意識調査」の結果を発表した。調査期間は2020年12月5日~7日、東京都、神奈川県、埼玉県、千葉県に本社がある上場企業の管理職(部長職・課長職)800名から回答を得た。これにより、管理職のAI導入に関する意識や、今後の予測が明らかとなった。
管理職層は「AI(人工知能)」についてどう捉えているのか。課題はAI人財の不足にあり

自社のAI導入率は2.5割程度

上場企業に勤務する管理職は、AI導入に対して課題感や必要性を感じているのだろうか。はじめに、「勤務先でのAI導入状況」を尋ねた。その結果、「すでに導入している」が25.6%、「3年以内に導入予定」が27%と、半数以上の52.6%が「導入済み」または「導入予定」であることがわかった。
管理職層は「AI(人工知能)」についてどう捉えているのか。課題はAI人財の不足にあり

3割超がAI導入をリードできる人財、扱える人財の不足に課題感あり

次に、「AI導入にあたり、直面している課題」を尋ねた。すると、「導入をリードできる人財がいない」が33%と最も多い結果に。以下、「AIを扱える人財がいない」が30.9%、「AIに学習させるデータがない・整備されていない」が22.5%と続いた。AI導入において、「率先して進められる人財がいない」ことや「導入環境の整備が進んでいない」といった課題があることが判明した。
管理職層は「AI(人工知能)」についてどう捉えているのか。課題はAI人財の不足にあり

「国際競争力の維持」や「利便性の向上」のためAIは不可欠か

続いて、項目別に「日本社会の課題に対するAI導入の必要性」を尋ねた。その結果、「日本の国際競争力維持」の項目に対しては、「とても必要」が35%、「まあ必要」が37.3%となり、合計72.3%が「国際競争力の強化にAI導入が必要」だと感じていることがわかった。

また、最も必要性が高いと示されたのは「利便性向上」の項目で、「とても必要」(28.6%)と「まあ必要」(45.3%)を合わせると7割を超え、73.9%という結果に。生活の中でもAIが活用されるようになった昨今、その利便性を実感した上で活かしていきたい、と考えるビジネスパーソンが多いといえるだろう。
管理職層は「AI(人工知能)」についてどう捉えているのか。課題はAI人財の不足にあり

AI導入、6割以上が「諸外国に比べて遅れている」と回答

さらに、「欧米や中国等の海外と比べて、日本のAI導入は進んでいると思うか」を尋ねた。すると、「進んでいると思う」との回答は4.6%とわずかだった一方で、「遅れていると思う」は68%と、管理職の視点からも「日本国内でのAI導入は海外に遅れをとっている」と感じていることが明らかとなった。
管理職層は「AI(人工知能)」についてどう捉えているのか。課題はAI人財の不足にあり

コロナ禍で、日本社会全体でも自社でも「AI導入は促進される」と予想

次に、「新型コロナウイルス感染症拡大によって、今後のAI導入は推進されると思うか」を尋ねた。その結果、「日本社会全体」においても「自社」においても、「進む」との回答がそれぞれ64.3%(日本社会)、48.3%(自社)ととなり、「AI導入が進む」との予想が最も多いことがわかった。
管理職層は「AI(人工知能)」についてどう捉えているのか。課題はAI人財の不足にあり

今後AI導入が推進されるのは「データや数字を扱う分野・業界」

続いて、「今後、日本社会においてAI導入が推進される」と回答した管理職に、「どの分野で進むと思うか」を尋ねた。すると、最も多かったのは「通信・インターネットサービス」の55.1%という結果に。以下、「市場調査・マーケティング」が53.1%、「金融」が50.8%と続いた。
管理職層は「AI(人工知能)」についてどう捉えているのか。課題はAI人財の不足にあり
最後に、「今後、勤務先においてAI導入が推進される」と回答した管理職に、「どの職種で導入が進むと思うか」を尋ねた。その結果、「経理・財務」が50%と最も多くを占めた。次に、「品質管理」が49.5%、「企画・マーケティング」が46.1%と続き、数値やデータを扱う職種が多いことがわかった。
管理職層は「AI(人工知能)」についてどう捉えているのか。課題はAI人財の不足にあり
DX推進を考えている企業でも、導入をリードできる人財の不足が課題となっている場合もあるだろう。今後の企業発展のためにも、デジタル人財の育成や、育成を歓迎する姿勢がより必要となりそうだ。

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