前編では、メンタルヘルス対策についての捉え方と、良い産業医の探し方についてお話ししました。今回は、その続きとして、休職者が出たときや「びっくり退職者」を防ぐ対応策など、産業医は会社とどのように連携するのか、具体例を通してお話しすることで、産業医の上手な使い方のヒントをお話しします。
【メンタルヘルス不調と産業医】後編:休職から復職までの実務フローと「びっくり退職」を防ぐ“全員面談” 術

休職者が出たときの連携~復職までの道のり

メンタルヘルス問題で休職の診断書が出た従業員の場合を考えます(なお、産業医によって手法は異なります。以下は一例として僕の実務をベースにご紹介します)。

(1)まずは産業医が1回目の面談時期を判断

人事担当者は、休職手続きを勧めると同時に、産業医に一報入れましょう。産業医は、人事からその人の仕事内容、休職を繰り返しているのか等を聞いたうえで、1回目の産業医面談の実施時期を判断します。

また、休職して最初の2週間程度、従業員は日中もずっと寝ていることが多いです。こうして精神が回復していくのです。そのため、産業医は「休職に入って2週間は人事部だけが本人と連絡できる体制にし、仕事に関する連絡は一切しないように」と指示します。

(2)1ヵ月後面談でストレスの原因を探る

多くの場合、休職に入って約1ヵ月後に最初の産業医面談を実施します。対面、または本人がまだ外出できないときなどはオンラインで行います。約1時間をかけて様々なお話を伺い、何がストレス源であるかについての仮説を立てます。

本人が会社に伝えてもいいと同意した内容を人事に伝えると共に、産業医としての見立てや今後の復職への進め方等を人事にフィードバックします。

(3)1~2ヵ月ごとに面談を実施

その後1~2ヵ月に1回程度の面談を行い、回復の程度の確認や、本人と産業医の考えのすり合わせをし、原因や今後の見立て等を人事と共有します。

僕の場合、主治医に対しては、2回目の面談後ぐらいに手紙を書きます。手紙には、具体的な働き方(仕事内容、休職前の残業時間や勤怠)、就業規則 (時短勤務可か、テレワーク可か、最大いつまで休職が可能か)、社内外のリワークの位置づけなどを記載します。

これはよりよい復職に向けての重要なステップですので、産業医から人事に対して上記に関する情報を求めることがありましたらご協力をお願いします。

(4)リハビリを実施し復職に向けて準備

さて体調がよくなってきたら、復職へ向けてのリハビリ開始です。けがで部活を休んでいた人がいきなり元の練習に戻れないように、長く仕事を休んでいた人がいきなりフルタイムで働くのは難しいです。経験的に一番いいリハビリはリワークで、主治医が積極的であればリワークにつなげてくれます。

リワークをしない場合は、「生活記録表」を使った模擬訓練を行います。何時に起きて、何時から何時まで作業をして(読書や資格の勉強などが多いです)、何時に寝たかを記録し、人事に提出させます。産業医もこれを拝見しながら面談を実施します。

続けているうちに徐々に生活リズムは整ってきます。2週間就業時間通りに模擬作業ができるようになったら復職です。

(5)復職後もしばらくは面談を

復職後は体調確認で1ヵ月以内、その後も大体1ヵ月に1回ペースで面談をしていきます。復職後1~3ヵ月時点で気持ちが落ち込む従業員がいますが、そのあとはまた普通に働けるようになります。そうなれば休職者への対応は終了です。

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