連載「人事大解剖~他社の人事のリアルを知る~」は、リレーインタビュー形式で、業務において大事にしている考えや日常の悩み、気になっているHRのキーワードなどを紐解きながら、人事のリアルに迫っていく。正解がないと言われる時代だからこそ、多くの人事の視点や考えを通じて、業務や課題解決のヒントをお届けする。人事リレーの輪9人目はアフラック生命保険株式会社で人的資本戦略をリードする、常務執行役員 伊藤 道博氏が登場。同社は2024年11月に日本での創業50周年を迎えたことを機に、長期経営ビジョン「“『生きる』を創る”ことで新たな共有価値を創造する」を掲げ、がん保険や医療保険などの販売を通じ、社会と共有できる価値の創造に取り組んでいる。本記事では、伊藤氏が語るアフラックの取り組みや人事として大事にしている考え方のほか、オススメの書籍などをお届けする。
「御用聞き」になっていないか、人事としてコンサルティングしているか――アフラック生命保険 伊藤 道博氏【人事リレーの輪9人目】

Q1:これまでのキャリアは?

【人事リレーの輪9人目】
アフラック生命保険株式会社 常務執行役員
伊藤 道博氏



私は新卒でアフラックに入社して、2025年の今年で30年目になります。1つの会社で長く働き、色々な部署を経験したことは、人事の仕事をしていくうえで強みになると思っています。当社が大切にしているコアバリューを、新卒で入社したときから身をもって体感しているので、自分事として社員に共有し、次世代に受け継いでいくことができるからです。

これまでのキャリアを振り返ると、半分が人事、半分が現場となります。入社して、最初は保険金支払いの部署への配属となりました。当時は受付から支払いまで全てを担当していていました。多くのお客さまと話す中でお叱りをいただくこともあれば、感謝の言葉をいただくこともありました。こうした経験を通じ、なぜ“がん保険”が必要なのか、どのようにお客様に必要とされ、お役に立っているのかということを肌で感じることができました。ここでの経験は、当社のコアバリューを理解するうえでの原体験となっています。

20代後半に、中小企業診断士の資格も取得しました。将来的に経営に近い仕事がしたいと思い勉強しました。会社というのは、きちんと社員を見てくれているもので、資格取得のタイミングで人事に異動となりました。入社時の上司が人事担当役員になられ、声をかけてくださったのです。人事では、制度設計から労務まで業務を一通り経験し、担当者から課長まで務めました。

9年ほど人事を経験した後に、大きなキャリアの転機が訪れました。営業の支社長への異動です。これまで希望をしていても営業に異動することはなかった中、いきなり支社長での赴任だったので、これには驚きました。営業の経験がない中で色々と大変でしたが、多くの人に学び、また取引先の声を大切に一つひとつ丁寧に対応することで、実績に繋がっていきました。

その後は、また人事に戻り、働き方改革などの変革に取り組みました。5年ほど人事で働いたのち、2019年には、アジャイル推進室の立ち上げを任され、初代室長としてアジャイル型の働き方を通じた全社の組織風土変革をリードしました。2020年夏に、人事部長として人事にまた戻り、今度は、人事制度改革(ジョブ型の人財マネジメント制度導入)をリードし、今に至るというのが、私のこれまでのキャリアになります。

Q2:今の人事としての役割・ミッションは?

現在、役員として、人財マネジメント戦略を管轄しながら、経営戦略も担当し、中期経営戦略の立案にも携わっています。また、アフラック・ハートフル・サービス株式会社(障がい者雇用の特例子会社)の社長も兼務しています。アフラックが人で勝つ会社であり続けていくために、多様な人財が活躍できる環境を創り、人財エンゲージメントを高め、組織力・人財力を高めていくことが大きなミッションです。

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