多くの企業で実施しているエンゲージメントサーベイ(ES調査)の課題でよくあるのが「当たり障りのない回答」や「評価分布の中央値への偏り」。これらによって、社員の「本音」を引き出せず、形式的な運用に留まるケースは少なくない。そして、多忙な上司が部下一人ひとりと向き合う時間が限られているのも現状だ。こうした課題に対し、独自の対話型AIエージェント「mentai(メンタイ)」を驚異的なスピードで開発・導入し、社員のリアルな定性データを収集して上司の面談の質を劇的に改善させたのが株式会社SHIFTだ。この取り組みは、第10回 HRテクノロジー大賞で高く評価され「大賞」を受賞した。 本記事では、AIエージェント「mentai」の具体的な仕組みや生み出した成果のほか、上司や社員の利用を促すうえでのポイントなどについて、同社 ピープルアナリティクスラボ 所長 福山 晋太郎氏にお話を伺った。

第10回 HRテクノロジー大賞『大賞』

株式会社SHIFT

AIと上司が協働して全社員の成長を支える「AIエージェント|mentai」

社員が本音を話しにくいという従来の面談の課題を解決するため、親しみやすい博多弁キャラクター「めん太」を通じてプロのメンター技術を学習したAIが自然な対話を通じて個人の悩み要因を収集。収集した悩み要因と、性格や価値観などの個人データを組み合わせたピープルアナリティクスにより、上司には最適な面談方法を提案し、コミュニケーションの改善支援を可能にしました。これまでの実績では、退職リスクを従来の約3倍の精度で検知できるようになったほか、AIレコメンドを活用した上司の退職防止アクションにより、退職リスクの高い社員の71.9%がポジティブに変化。人材流出の防止や生産性向上に寄与する、総合的に優れた取り組みとして高く評価されました。

プロフィール

  • 福山 晋太郎 氏

    福山 晋太郎 氏

    株式会社SHIFT
    ピープルアナリティクスラボ 所長

    新卒で日本郵便の総合職として入社し、経営企画や新規事業開発、DX戦略・推進など幅広い業務を経験。2021年にはJTへ転職し、HR領域でピープルアナリティクス組織を立ち上げ、AIを活用したデータドリブン人事の推進により成果を上げる。2024年7月にはSHIFTにジョインし、「ピープルアナリティクスラボ」を立ち上げ所長に就任。AIと統計学を活用した高度な人事データ分析と業務実装に取り組むとともに、生成AIを活用した「AIメンターmentai」をゼロから企画・開発。プロダクトマネージャー(PdM)としても実績をあげている。2025年8月には、自身が推進するピープルアナリティクスとmentaiの取り組みが評価され、第10回HRテクノロジー大賞において、78社の中から最も栄誉ある「大賞」を受賞。

社員の「本音」をAIエージェントとの対話で引き出す――SHIFTが変えた上司と部下の「コミュニケーション」や「面談内容」

AIと上司が協働し、社員の「本音」を引き出すAIエージェント「mentai」

――今回大賞を受賞されたAIエージェント「mentai」について、まずはプロダクトの概要を教えていただけますでしょうか。

「mentai」は、AIエージェントが社員と対話することで、従来のエンゲージメントサーベイでは取得が難しかった「本音の悩み」を引き出すプロダクトです。AIと上司が協働して社員の成長を支える仕組みとなっており、これまでに5,000人を超える社員が利用しています。
社員の「本音」をAIエージェントとの対話で引き出す――SHIFTが変えた上司と部下の「コミュニケーション」や「面談内容」
対話の矢面に立つのは、明太子をモチーフにしたキャラクター「めん太」です。いかにも「ユルい」雰囲気を醸し出し、社員が肩ひじ張らずに話すことができるようになっています。めん太は単なるチャットボットではありません。プロのインタビューテクニックを学んでおり、会話を通じて悩みを深掘りすることが可能です。単に質問を繰り返すのではなく、対話に自然な「共感」や「賞賛」を挟むことで、社員は自分のことを「理解」してくれると感じられます。つまり、人間らしい「信頼関係」を築くよう設計されているのです。
社員の「本音」をAIエージェントとの対話で引き出す――SHIFTが変えた上司と部下の「コミュニケーション」や「面談内容」

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