現在、現役世代の中でうつ病を患っている人達はどれくらいいるのでしょうか?2014年には、111.6万人と過去最多を更新しています。日本人口の実に1%近い人がうつ病と診断される今、“うつ”はもはや特殊な人が掛かる病気ではなく、誰もが発症しうる社会的な病気と言えるのではないでしょうか。
うつ病による社会的損失を考える
 現在、現役世代の中でうつ病を患っている人達はどれくらいいるのでしょうか?
 2014年には、111.6万人と過去最多を更新しています。日本人口の実に1%近い人がうつ病と診断される今、“うつ”はもはや特殊な人が掛かる病気ではなく、誰もが発症しうる社会的な病気と言えるのではないでしょうか。
 これ程の割合になると会社の中に数人、大企業になれば1部署で1人以上、うつ病で苦しんでいても不思議ではありません。しかし、これ程蔓延しているという事実がありながら、うつ病はまだまだ社会的に受け入れられていないのが現状です。
 一体どうしてなのか。それはうつ病が、会社にとって大きな損失につながるからです。経営者や役職者がこの損失は避けたいと思うあまり、うつ病患者への風当たりが強くなることも多いようです。
 
 もし会社でうつ病患者が発生した場合には、どれ程の損失になるのでしょうか?
 うつ病を発症すると多くの場合、会社を休業します。医師、一般的には精神科医に休業を義務付けられるためです。休業届を貰い、会社に提出し、精神科医が回復したと判断するまで休業が続くことになり、その症状の程度によりますが、休業期間は半年~1年を超える場合も珍しくありません。
 会社の立場から見ると突然人がいなくなった訳です。貴重な戦力が欠けてしまったことも大きな損失ですが、加えて、企業はその社員に対して給与(満額に対して2/3程度になることが多い)を支払わなくてはなりません。さらに社会保障費などの支払いや休職者の業務の対応などを合わせると、年収500万円の社員が1年間休業した場合、約1,500万円もの損失が生まれると言われています。企業にとって莫大な損失であるというは一目瞭然です。
 一方でうつ病を患った社員の立場からすると、会社のために働いてきたのに、“体が動かなくなる”、“死にたい衝動にさいなまされる”、“会社からは冷たい態度をとられた気分になる”、と言った不幸な状況に陥るケースも多く見られます。
 こうなってしまうと「損失を生む社員」と「社員を守らない冷たい会社」という「Lose―Lose」の関係によって、誰も得をせず、関係者全員が不幸になってしまいます。

 この様な現状から、どういった対応が最も好ましいのでしょうか?
 まずは社員がうつ病にならないように、企業が気を配ることが大切です。メンタルヘルスの研修の実施、従業員の労働時間などの勤務状況のチェック、定期的な面談(人事・上長)などを行うことによって社員のメンタルヘルスを良好な状態に保つよう努めます。こうした取り組みが社員の活力を生み、会社も利益を上げることが出来るので、会社―社員の間でWin―Winの関係を築くことにつながります。
 それでもなお、社員がうつ病気になってしまった場合は、スムーズに職場に復帰できるように適切な援助をすることです。大切なのは、Lose―Loseの関係を短くしWin―Winの関係を少しでも早く復活させることです。
 ただし、いずれの方法においても自社が全ての対応を引き受けることは非常に難しいと言わざるを得ません。その為に、外部のリソースを利用して上記の様なサポート体制を準備しておけば、万が一の場合にも安心できると言えます。
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