ライフワークスは2019年6月、「70歳就労社会に関する調査」の結果を発表した。対象は従業員1,000名以上の企業を中心とした人事担当者(回答企業55社の従業員数別内訳=1,000名以上:43名、従業員500~1000名未満:7名、従業員300~500名未満:3社、300名未満:2社)、調査期間は2019年2月26日~3月5日。高年齢者雇用安定法の改正により、定年の年齢が65歳から70歳へ引き上げられる可能性がある。各企業の人事担当者は、この状況をどう受け止めているのだろうか。
8割の企業が「70歳雇用は現実的」との見解示す、来るシニア雇用に向け現在50代の社員が抱える課題と解決法は?

まず「70歳まで社員の就業を受け入れる事について、どのように感じますか?」と質問したところ、78.2%が「現実的に考えられる」と回答した。
8割の企業が「70歳雇用は現実的」との見解示す、来るシニア雇用に向け現在50代の社員が抱える課題と解決法は?
もし65歳以降も社員を就業させることが義務化されるとしたら、どのような就業形態が現実的なのだろうか。「70歳までの就労受入れをする場合の雇用形態イメージ」を尋ねたところ、「短時間or少ない日数での勤務促進(再雇用70歳までと併用)」が最も多く、58.2%と半数以上を占めた。
8割の企業が「70歳雇用は現実的」との見解示す、来るシニア雇用に向け現在50代の社員が抱える課題と解決法は?
続いて「65歳までの定年延長についての検討状況」と尋ねると、「既に定年が65歳」(10.9%)、「65歳定年を検討中」(12.7%)、「近いうちに検討予定」(27.3%)の合計が50.9%にのぼった。企業は従業員に、今までよりも長く社内で活躍することを期待しているようだ。
8割の企業が「70歳雇用は現実的」との見解示す、来るシニア雇用に向け現在50代の社員が抱える課題と解決法は?
なお、70歳まで社員の就業を受け入れる事になった場合、現在50代の社員にはどのような課題があるのだろうか。結果を職域別にまとめた。

非管理職
・期待すること…専門性
・現状の課題……社内に活躍できるポストがない
・解決方法………専門性を磨き続け、社内での役割を見出し続ける

技能職・専門職
・期待すること…技能伝承
・現状の課題……周囲や上司との関係がうまくいかない
・解決方法………技能伝承について、周囲との関係性に配慮しながら進めていく。「背中を見て学べ」はNG

役職定年前管理職
・期待すること…後輩育成
・現状の課題……社内に活躍できるポストがない
・解決方法………管理職を外れた後も使える専門性を磨く。役職を外されることへの心理的な負担に対する心の準備。自身のスキルの棚卸しと社内への共有

役職定年後管理職
・期待すること…専門性発揮
・現状の課題……活躍しているロールモデルがいない
・解決方法………管理職を外れた後も使える専門性を磨く。役職を外されることへの心理的な負担に対する心の準備。自身のスキルの棚卸しと社内への共有

70歳就労社会へ移行すると、企業で働く社員は、これまでよりも長く活躍する必要がある。バブル期に大量採用した世代が50代になって、人件費が深刻化していることもあり、企業は50代社員に利益を生み出す戦力となることを求めている。彼らが活躍するための解決案は、個人については「早めに準備をして手に職を得ること」、企業については「活躍する50代を評価するシステムの構築、風土とロールモデルづくりを急ぐこと」と言えるだろう。

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