スズキ株式会社は2024年3月8日、2030年度に向けた成長戦略の達成および持続的成長の実現に向け、人的資本を増強すると発表した。その一環として2024年4月より、人事制度を全面的に刷新し、社員一人ひとりが自身の能力を最大限に発揮できる環境を整備するという。
持続的成長を目指した「人的資本の増強」をスズキが発表。人事制度を刷新し“個の成長”と“個の稼ぐ力”を強化

組織の稼ぐ力を上げるため人事制度を刷新。ポイントは「職能資格制度の導入」や「 給与・手当・初任給の見直し」など

スズキは、組織の持続的成長を目指し、人的資本を増強すると発表した。人事制度を全面的に刷新することにより、「個の成長」の加速と「個の稼ぐ力」の強化を目指したい考えだ。

新しい人事制度は、社員一人ひとりの挑戦と行動、価値創造を通じて、個の職務能力向上と成長を促すものだ。チームスズキ全員が、社是と行動理念「小・少・軽・短・美」、「三現主義」、「中小企業型経営」に則り、知識・スキル・ノウハウを備え現場での経験を重ねることで、スズキ人材としての職務能力を高め、組織の稼ぐ力を上げていくことを目的としている。実施する制度改革のポイントは以下の通りだ。

1.職能資格制度の導入
(1)各職系・階層ごとの役割と社員一人ひとりの職務遂行に必要な能力要件を明確化した職能資格制度へ移行
(2)各本部の職務で必要とされる知識・スキル・ノウハウ・経験を明示し、職務能力の増強に活用

2.評価制度の見直し
(1)業績と職務能力の向上は別々に評価し、短期の業績は賞与に、職務能力は昇給・昇格に反映し、さらに挑戦できる環境の醸成を図る
(2)能力評価の項目を明示し、上司と部下の相互コミュニケーションを通じて職務能力改善に取り組む

3.60歳以降の働き方の見直し
(1)60歳を過ぎても気力・体力・環境に問題がなければ、60歳時点の業務と給与を維持する
(2)全社レベルの人材マッチングと再教育による個の職務能力に最適な配置を実現し、60歳以上の方々が活き活きと働くことができる会社を目指す

4.給与・手当・初任給の見直し
(1)職務と職能に基づく給与体系を導入
(2)子育て支援・通勤・国内出向など各種手当の見直し
(3)初任給を大幅に引き上げ、若年層からの賃金カーブの立ち上がりを改善


なお、新卒初任給は2024年4月以降、高校卒・大学卒・大学院卒のそれぞれにおいて、以下のように引き上げとなる。
新卒初任給の引き上げ
本発表に伴い、同社社長の鈴木氏は次のようにコメントしている。

鈴木氏コメント
「今回の人的資本増強を通じて、従業員のモチベーションを高め、スキルアップやイノベーションを推進することを目指しています。また、一人ひとりの挑戦と行動を促し、『個の成長』の加速と『個の稼ぐ力』を強化し、組織全体の成長につなげます。さらに、社員が自己実現できる職場環境の構築にも取り組んでいきます。スズキは、今後も人的資本への投資を継続し、社会から必要とされる企業を目指します。」
2023年3月期決算より対象企業において人的資本の情報開示が義務化され、今後ますます人的資本を重要視する動きは加速すると考えられる。こうした他社の事例も参考にしながら、社員一人ひとりが自身の能力を最大限に発揮できる環境の整備を自社でも進めてみてはいかがだろうか。

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