厚生労働省は2020年5月1日、新型コロナウイルス感染症拡大の影響で、従業員に対して休業手当支給をおこなう事業者を対象とした雇用調整助成金の特例措置について、支給要件の緩和などの変更を実施することを発表した。休業状態が続く全国の中小企業への支援策として、従業員の雇用維持をはかるものだ。
厚生労働省が雇用調整助成金特例措置の基準緩和や助成増額を発表

休業要請に応じる一定の要件を満たした中小企業が対象に

新型コロナウイルス感染症拡大により、事業活動の縮小を余儀なくされる企業も多いなか、国はさまざまな支援策を講じている。その中のひとつである「雇用調整助成金」について、厚生労働省は拡大した特例措置のポイントを発表。2020年4月8日以降の休業などにさかのぼり適用するという。具体的な内容は次の2点となる。

1.都道府県知事からの休業要請を受けるなど、一定の要件を満たす中小企業は休業手当全体の助成率を特例的に100%とする。

2.(1)に該当しない場合でも、中小企業が従業員の雇用を継続し休業手当を支給する際、支払率が60%を超える部分の助成率を特例的に100%とする。(限度額は一日一人当たり8,330円)

上記特例の適用は「新型インフルエンザ等対策特別措置法等に基づき、都道府県知事対策本部長からの休業、または営業時間短縮要請に協力して休業を実施している事業主であること」、「休業する従業員に対し、100%の休業手当の支給、または8,330円の上限額以上の休業手当を支給していること(60%以上の支払率の場合に限る)」の2つの要件に該当する企業が対象となる。また、いずれも従業員に教育訓練をおこなわせた場合も同様の扱いとしている。

生産指標の対象月緩和により2020年1月以降設置の事業者も支給対象に

同時に、雇用調整助成金支給にあたって、生産指標の対象月も緩和されるという。これまでは、直近1ヵ月と前年同月の生産指標を比較、事業所設置後1年未満の場合は2019年12月と比較し、生産指標が5%以上減少していることとしていたが、本措置により、前々年同月との比較や、前年同月から12ヵ月のうち適切な1ヵ月との比較も可能となった。(ただし、比較する1ヵ月を通し雇用保険を適用した事業所であること、かつ該当の一ヵ月間を通じ、雇用保険適用被保険者を雇用していることが必要。)これにより、2020年1月以降に設置された雇用保険適用事業所も助成対象となる。

また厚労省では、5月中にオンラインでの申請がおこなえるよう準備を進めているという。申請可能な段階になった場合、企業は早急に対応できるよう情報収集と適切な対応を検討し、事業継続と従業員の雇用維持に向けて活用してほしい。

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