適材適所の実現は、多くの企業に共通する人事課題だ。個人の能力や適性は一定程度可視化できても、「誰と組むか」「どの組織に配属するか」という組み合わせの相性までは捉えにくく、配置判断には依然として経験や勘に頼る部分が多く残る。この課題に挑んだのが、オリックス生命保険株式会社だ。同社は東京大学エコノミックコンサルティング株式会社との共同研究を通じ、約6,000項目の人事データを機械学習で分析。「管理職と営業担当者」「社員と組織」の相性適合度を算出し、配置によるパフォーマンスの変化を予測する「人材配置AI予測モデル」を開発した。2026年4月の定期異動から本格運用を開始し、第11回HRテクノロジー大賞「アナリティクス部門優秀賞」を受賞した。そこで今回、同社 執行役員 人事・総務本部管掌 石田雅彦氏に取り組みの具体的な内容やきっかけのほか、AIを活用した人材配置の本質や数値データの向き合い方などを伺った。

第11回 HRテクノロジー大賞『アナリティクス部門優秀賞』

オリックス生命保険株式会社

「人と人」「人と組織」の組み合わせに着目した 人材配置 AI 予測モデル開発

既存社員の力を最大限に引き出すため、「人と人」「人と組織」の組み合わせに着目した人材配置予測モデルを構築。産学連携の共同研究のもと、約6,000項目の人事データを機械学習で分析し、相性がパフォーマンスに与える影響を定量化。異動検討の場に客観的な根拠をもたらすことで、従来は経験や勘に依存していた検討プロセスを大幅に効率化し、限られた人的資本から成果を最大化させる優れた取り組みであると高く評価されました。

プロフィール

  • 石田 雅彦 氏

    石田 雅彦 氏

    オリックス生命保険株式会社
    執行役員 人事・総務本部管掌

    1986年東京大学法学部卒、日本長期信用銀行入行。法人・個人営業を経験した後、内外の金融機関で人事業務全般に従事(通算29年)。AIGエジソン生命、メットライフ生命で執行役員。そのほか、証券会社の監査部長、生命保険会社の経営企画やコンプライアンス担当役員も経験。著書に『企業価値を高める組織・人材マネジメントの思考と実践』(金融財政事情研究会)がある。

オリックス生命の「AI予測モデル」をもとにした人材配置から紐解く「数値データとの向き合い方」や「経験・勘とのバランス」

オリックス生命が挑んだ「人材配置AI予測モデル」とは何か

――まずは、今回受賞された「人材配置AI予測モデル」の概要を教えてください。

当社では生命保険商品の約8割を代理店経由で販売しており、代理店に対する営業は戦略上、極めて重要なチャネルです。採用競争が激しさを増している環境下で、今いる社員の力をさらに生かしたいと考えたことが出発点でした。

着目したのは、「人と人」「人と組織」の相性です。蓄積した人事データを機械学習で分析し、成果につながる組み合わせを導き出しました。人と人であれば、「商品知識に優れた担当者」と「業績志向の強い管理職」。人と組織であれば、「目標達成意欲の高い担当者」と「進むべき方向性が明確になっている組織風土の支社」という具合です。こうした組み合わせをもとに、誰をどこに配属すれば、どの程度の業績効果が見込めるのかを試算できます。
オリックス生命の「AI予測モデル」をもとにした人材配置から紐解く「数値データとの向き合い方」や「経験・勘とのバランス」

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