従業員のエンゲージメント向上はあらゆる企業における重要課題だ。特にリモートワークの普及や働き方の多様化に伴うコミュニケーション不足や孤立、ブラックボックス化した不透明な評価への不満などが、組織への帰属意識やモチベーションを低下させる要因となる。こうした課題に対し、ユースフル株式会社は、上司から部下への評価や期待といった秘匿されがちな情報をあえてオープンにする「完全公開型フィードバック」を導入。評価の密室化を防ぎ、各メンバーの役割を組織全体で可視化して相互理解を深めることで、高いエンゲージメントスコアを記録している。完全リモート体制のもと、いかにして対話品質の向上と高いエンゲージメントを実現させたのか。取り組みの発案者であり、自らフィードバックを完全公開している同社 取締役社長 大垣凛太郎氏にお話を伺った。

第15回 日本HRチャレンジ大賞『人事マネジメント部門優秀賞』

ユースフル株式会社

「上司が評価される」完全公開型フィードバック

評価の密室化・ブラックボックス化を解消するため、完全公開型のフィードバックを導入。全社員閲覧可能なプラットフォーム上で上司が部下への評価を実名投稿し、マネジメント能力を衆人環視の下で磨く仕組みを組み込むことで、マネジメントの質を自律的に向上させるエコシステムを構築。その結果、エンゲージメント偏差値は70.1、「上司への満足度」も4.67(5点満点)と高水準を記録。評価の透明性を確保しつつ、対話品質の自律的な向上により組織と個人の信頼関係を構築する優れた取り組みであると高く評価されました。

プロフィール

  • 大垣

    大垣 凛太郎 氏

    ユースフル株式会社
    代表取締役社長

    東京大学大学院工学研究科修了、慶応義塾大学大学院法務研究科修了。一般社団法人移住・住みかえ支援機構入社後、専務執行役員として多岐に渡る業務に従事。2022年6月にユースフルに参画し、2025年8月より代表取締役社長を務める。生成AIおよびMicrosoft365を活用した企業向けDX研修を全国展開し、非エンジニア層のデジタルスキル定着を推進。著書『Excelパワークエリ現場の教科書』。日経トップリーダー(2025年8月号)掲載。

上司が評価される側に立ち自律的にマネジメント力を向上――ユースフルの「完全公開型フィードバック」による評価の透明化と信頼性構築

「完全公開」となった経緯――メンバーに感謝を伝える取り組みから、相互理解を促す手段に

――まずは、『完全公開型フィードバック』の取り組みについて概要を教えてください。

仕組み自体はとてもシンプルです。上司から部下へのフィードバックは、一般的に会議室などの閉じられた空間で1対1で行われますが、当社ではチャットツールを使い、「すべてテキストで」「誰でも目にすることができるオープンな場所」で行います。

従来の評価制度のような匿名性や密室性を排除し、評価権を持つ上司のフィードバックをあえて全社員に見せることで、緊張感を持たせ、上司の言語化スキルやマネジメントの質を強制的に引き上げるシステムです。

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