連載「人事大解剖~他社の人事のリアルを知る~」は、リレーインタビュー形式で、業務において大事にしている考えや日常の悩み、気になっているHRのキーワードなどを紐解きながら、人事のリアルに迫っていく。正解がないと言われる時代だからこそ、多くの人事の視点や考えを通じて、業務や課題解決のヒントをお届けする。人事リレーの輪28人目はパナソニック株式会社の人事領域を統括する取締役 常務執行役員CHRO(取材当時)加藤 直浩氏が登場。同社はパナソニックグループの中核会社として、家電をはじめ、空調・食品流通、電気設備など様々な事業領域を展開している(2026年4月に事業再編)。本記事では、加藤氏が語る人事としての苦悩や業務で大事にしている考え方のほか、今後の構想やオススメの書籍などをお届けする(※記事内の所属、肩書き、取り組み、事業内容などは取材当時)。

※下部の「目次」より気になる項目がありましたら、ぜひそちらからも参照のうえご覧ください。
人事の究極の姿は経営者そのもの――パナソニック 加藤 直浩氏【人事リレーの輪28人目】

Q1:これまでのキャリアは?

【人事リレーの輪28人目】
パナソニック株式会社
取締役 常務執行役員CHRO 加藤 直浩氏



私はパナソニック一本のキャリアでこれまで歩んできました。1990年に大学を卒業して、当時の松下電器産業に入社。今で言うパナソニックコネクトのような位置づけにある部門の人事から私のキャリアが始まりました。そこから今に至るまでずっと人事として歩んでいるわけですが、パナソニックの様々な事業にこれまで関わってきましたね。色々な事業部門の人事も経験しましたし、海外、本部など、人事という職種を通じて、多様なキャリアが積めたと思います。

Q2:今の人事としての役割・ミッションは?

組織再編中ということもあって現時点にはなりますが、5つの分社を傘下に持つパナソニックの人事領域をCHROとして統括しています。今後は、業界に特化した形で事業会社を再編しますが、今の私としての役割はそうなります。

Q3:今抱えている主な人事課題は?

社員の能力をどのようにすれば最大限発揮してもらえるようになるか。そこを考えていくのが、現時点での人事課題ですね。結局、企業の違いというのは人の違いでしか出せません。

ドラッカーさんも言っていますが、人の能力を最大発揮してもらうことが企業の生命線です。続けて、経営・組織論の世界的権威を例に出しますが、コッターさんの「人間には生存チャネルと繁栄チャネルの二つが備わっている」という話も面白いです。生存チャネルというのは、大きな危機、恐怖に直面すると人はそれを回避するために、集中力を高めて自分を守るという能力。繁栄チャネルというのは、人間のイノベーションや探求心を支えるシステムです。つまり、周囲にあるチャンスやポジティブな可能性を察知する能力と言えます。ここで一番言いたいのは、恐怖を感じたり能力の発揮を阻んだりする環境があると創造的なものは生まれないということなんですね。

そういう意味では、人は常に同じパフォーマンスを発揮できるわけではありません。先ほど述べたような心理的安全性もそうですし、組織のリーダーシップの問題もあります。様々な環境要因で人の能力の発揮度合いは変わるわけです。企業の競争力は人です。そのために、私たち人事はできるだけ多くの人に能力を最大限発揮してもらうために汗をかかなければなりません。今後、AIもどんどん進化していきます。そうなると、人の領域とAIの領域がますます明確になっていきますよね。そうなった時に、人は何ができて、どの能力を伸ばして、どのようにその能力の発揮を最大化させるか。人事課題の一つとして、そこを考えていかなければなりません。

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