「人事のキャリア」というものに最近関心があります。私は社会人生活を人事からスタートして経営企画も経験して、またこうして経営の立場で人事や事業をやっている。会社のビジョンを達成するために、人事がどういうキャリアを歩めば企業にとっていいのか。いま経営の立場になって、より人事のキャリアというものを、企業の成長軸で考えるようになっています。
もう1つは、「D&I」です。多様な人材をどうマネジメントしていくかは、いま企業活動や組織づくりにおいてすごく意識されています。ダイバーシティや多様性が大事といった一括りの言葉で語られていますが、難易度の高い課題だと思っています。色んなバックボーンを抱えている同士がお互いを理解したり、配慮したりするためには、それなりの対話の継続が必要です。私が感じているのは、この難しさに振り回されすぎているのではないかと思っています。外部環境の変化や社員個々を見すぎて、会社経営にひもづく人事本来の役割を捉えられなくなってきているのではないでしょうか。みんなにいい顔をしようとして、自分たちの会社の良さが失われていっていないか。多様な人材を会社はもちろん、社会全体で活かすためにも、もう一度自社にとってのあるべき会社づくりって何だっけみたいなシンプルな問いに立ち返るべきかなとも思っています。
1つ目が「管理職の育成」です。最近は書籍やメディアでもよく触れられていますが、管理職が罰ゲームみたいな捉え方をされていることもありますよね。私自身は「管理職」という仕事を経営に近い位置で会社を動かしていく非常に重要なポジションとして認識しているのですが、ネガティブに捉えられつつある時代において、管理職をどう企業で育成していくか、若手社員をどうマネジメントの道に歩ませるかは、自社も含めて関心を持っているテーマです。
2つ目は「人的資本経営」になります。経営目線で物事を判断できるようにするためにも重要なキーワードですし、私自身も学んでいる最中です。3つ目は「AI活用」です。まさに採用でも面接の見極めや面接官の育成においてAIの活用が進んできています。学生のAIを使って作成したエントリーシートをどう見極めるかみたいなテーマも出てきていますね。当社としても効率的なAI活用については、日々模索しているところです。
CUCは、今年の8月に創業から10周年を迎えました。今後の持続的な成長につなげていく上で、「サクセッションプラン」も重要施策の1つでして、個人的にも関心の強い人事テーマです。過去に、帝人やオムロン、ソニーさんなどにも直接お話を聞きに行かせて頂きましたが、長きに渡って成長を持続されている会社は、個を大事にしながらもサクセッションプランがしっかり作り込まれておられました。サステナブルな会社にしていくには不可欠な施策であり、当社でも、きちんと考えていかなければなりません。
人事課題ということもあって、「自営型、自律分散型組織」は一番関心のあるテーマですね。下意上達のカルチャー醸成に向けて、同志社大学の太田先生の書籍『「自営型」で働く時代―ジョブ型雇用はもう古い!―』も読んで勉強になりました。私なりに下図のような概念の絵もまとめ、社員への浸透に向けて社内イントラで積極的に発信している最中です。
2つありまして、1つ目は「AI」です。テクノロジーと人事の融合によって、業務がガラっと変わっていくでしょうし、人事業務をAIにどう取り入れていくか。当社のエンジニアとも最近よく議論していますが、自分の中でも掘り下げて考えていきたいと思っています。
もう1つは「人的資本経営・開示」になります。私も実際にどういう数字を出していくか、見せ方をどうするかみたいな開示のところに携わって、より関心が向くようになったんです。
その経験を通じて思うのが、人に対する戦略や考え方をしっかり出していくことで、会社は色んな人たちに応援されるということ。自分たちが考えている人に対するポリシーや施策、方向性をきちんとストーリー立てて説明して、そこに社員を含めたステークホルダーに共感してもらう。人事は内向きな仕事が多いんですが、そのような外の発信によって色んな影響を与えられるんだと気づくようになり、すごく面白さを感じています。最初は社会的な要請に合わせて開示に取り組んでいましたが、今では自発的に取り組むことができています。
「後進育成」は、自分のなかで興味がある人事テーマです。先人がこれまで積み上げてきたノウハウ、成功例はすごく尊いと思います。一方で、スピード感をもって変化すること、変化に対応することも求められている。場合によっては過去のものが時代遅れと言われることもあります。これまでの知見を、変化する時代に合わせながらどう継承していくべきか。面白くもあり難しさもあるテーマですし、すごく関心があります。
私のなかでは、「DE&I」は永遠の人事テーマです。フランスの哲学者であるジャック・デリダの「脱構築」をご存知でしょうか。この方が、「物事は二項対立で考えない」と言っているのです。ここからは私の解釈なのですが、AとBという考え方があって、それをどちらかが正しい、正しくないという分け方をするんじゃなくて、混ぜてみると。Aの考えを持っている人は、Bの意見を持つ人はなんでそう言うのだろうかと考えてみて、Bの考え方を少しAにくっつけて整理して整えてみる。それで新しいものを作り出していこうというのが「脱構築」の考え方じゃないのかなと思っています。これって、まさに「DE&I」ですよね。
違いのある部分をチャンスと捉えて、新たなものを生み出すみたいな話って、例えば組織の責任者に伝えていけば、すごくマネジメントの面で効果があるのではないかと考えています。仕事を進めていると、どうしても個で考えがちになってしまうのですが、他者の価値観を許容することで、生まれるものってあると思っていて。そういう意味では、すごく「DE&I」の中に色々とヒントが隠されているなと。相手の考えていることが自分の考え方と違うと、否定してしまいがちですが、1回立ち止まってみる。例えば、会社でAとBという対立した意見が出た時に、立ち止まって整理していくことで、それが結果的にAの意見になるかもしれないですし、考え方をくっつけたことでA+B、もしくはA-Bという引き算の考え方も出てくるかもしれません。こういう考え方をマネジメントにも活かして、エーザイらしいダイバーシティをつくって、その文化や風土も醸成していきたいなと思っています。そうすることでイノベーション、新しいものがどんどん生まれてくる。そんなことをすごく今、頭の中で巡らせています。
個人的には、「学習する組織」「コーチング」の2つです。
自分のミッションを実現していくためにも、組織開発を強力に推進していきたいと思っていて、その一環で「学習する組織」はすごく関心を持っているキーワードです。例えば、学習組織はどう作るかというと経験学習のサイクルがきちんと日々に落ちていたり、インプットとアウトプットの機会があったりなど、そういう場を準備、提供してあげないといけません。そうしないと、組織は成長しないと思っているので、まずは自分のチームでそれを実践しているところです。メンバーのインプットもいい具合に進んでいるので、それを自チームだけでなくもっと社内に広めていきたいと考えています。社内から、勉強すればするほどいい仕事ができていると思ってもらえたら、人事としての発信にも説得力が出ます。勉強をしたほうが、絶対いい仕事ができるので、社内にも促進していきたいです。
もう1つの「コーチング」については、私の中で組織側との対話が増えてきているというのがあります。その中で、個人にフォーカスするのではなく、組織をどうしていくかという話になった際、組織長が相当悩んでいる様子が見受けられます。相談相手もいなくて困っている状態というのが多く、最近は私と壁打ちをする機会も多くなっています。そこでも、組織長は相当なエネルギーで組織に向き合っていますので、私ができることって何だろうというのをすごく考えさせられました。私自身、組織長に伴走できるようにコーチングを勉強し始めたところです。
人事の世界で生成AIがどのように活用されていくのかは、ワクワクするテーマです。現在は、主に、スキルの定義化や業務効率化などの文脈で使われ始めていますが、多くの会社でまだ上手く使いこなせていないのではないでしょうか。
私は、人事だからこその使い方ができないかなと考えています。例えば、コーチングやキャリア相談。人間であれば感情が出てしまうところ、生成AIは“感情を持たない”という点をむしろ良さとして活用できます。人間だと、どうしても感情が邪魔し、余分なことを言ったり、固定観念が邪魔をして頭ごなしに否定したりすることもあると思いますが、AIはそういうことがありません。また、生成AIの正確性に関する課題(ハルシネーション)も、むしろ、コーチングやキャリア相談のような対話においては、そもそも正解のない世界ですから克服できます。私は、こうした生成AIの持つ特性や一見課題と思われていることを、逆に人事の世界で利用できないかと思っており、AIとの共存について今後も関心を持って見ていきたいと思っています。
私が最近すごく事業に意識が向いているというのもあり、「経営に資する人事とは何か」は、自分のなかですごく追求しているテーマです。
他には、「人事の将来のキャリア」もすごく興味があります。人事は経営や事業視点を持つことが求められる時代になっています。採用や育成といった部分的な業務だけでなく、より戦略的に組織を横断して支える力が必要であり、その視点を持たなければ、今後のキャリア形成は難しくなると考えています。AI活用も進んでいくので、人事としてのキャリア形成、求められる役割もどんどん変化していくと考えています。オペレーティブな業務ではなく、より具体と抽象をいききする、クリエイティブな業務が増えていく職種になっていくでしょう。
また、働き方が多様化しているので、いかにエンゲージメントが高い状態で組織にとどまってもらうかも日々考えていますし、周りの人事の仲間ともよく議論しています。