経営層と社員の対話を通じた相互理解については、今一番悩んでいます。経営層が見ている景色は中期のビジョンに近づいていきながらの売上利益の達成、一方で社員は社食やケータリングなど現場で接するお客さまを見ている。お互い最終的にはお客さまへの価値提供も売上利益の達成も両方が大事だとわかっていても、短期的には向き合う景色が異なるなかで、その間に立って、経営の考えを社員に、社員の感じていることを経営にわかりやすく翻訳していく重要性を感じています。
現場に向き合ってくれている社員も売上利益が大事なのはわかっていると思うんですが、やはり日々の仕事でお客さまから「ありがとう」や「美味しい」と言われて、現場で楽しく働けることも大切です。
私たちのビジネスは、現場の社員やパートに支えられています。この方たちに生き生きと働いてもらうことも大事であり、経営層からあまりにビジョンや数字の話が多すぎると、どうなのか。私たち経営陣はビジョンや数字の話を日常会話のように話していますが、お互い大切にしているものが違います。そもそも視点や解像度が違うんです。そこのズレや段差みたいなところに、橋を架けてあげる。そのような社員への翻訳と対話に今一番悩みながら試行錯誤していますね。
私個人の悩みとしては、もっと経営目線で物事を判断できるようにならないといけないなと感じています。当社では、採用において「対話と共感」というのをテーマに掲げながら進めています。この取り組みはメディアで取り上げていただいたり、学生のみなさんからも評価をいただいたりして、採用チーム全体で自信にもつながっています。ただ、良い採用ができているという実感値はあるのですが、その後の社員の活躍や成長まで連結して効果分析ができているかと言うと、まだ足りない部分はあると思います。社員に関わる人事チームそれぞれが担当を横断する柔軟な思考をもち、一貫性のある人事戦略が必要だと思うのですが、個人として胆力を持ってそこに取り組んでいけるかは悩んでいるところです。どうしても領域を広げるとそれぞれが中途半端になってしまう恐れもありますので。
経営目線で物事を判断していけるようになるには、採用だけでなく、人事全般の知識をつけていかなければなりません。人事として社内で頼られた際に、個人として返せるアクションが現状は採用だけになっており、人事としてのスキル不足を実感しています。社内で介在価値を発揮していけるように、人事としての視座と経営に寄り添った視座を行き来できるような存在になっていきたいですね。
CUCの人事を担当している立場から言いますと、グローバル展開していく中での「ガバナンス体制のあり方」については考えさせられています。ベトナムやインドネシアでの事業に始まり、近年はアメリカにも進出しています。アメリカにはまだ駐在員は置かず出張ベースでの対応ですが、今後日本から駐在する社員も出てきますし、現地で雇用する社員も増えていく。そのようなグローバル展開を推し進めていく中で、どのような経営体制で、権限委譲も含めたガバナンス体制を構築していくのがベストなのかを模索中です。
これまで会社として、上意下達のような形で、どの社員がやっても業務が上手くいく、成果が出せるような標準化を推進してきました。人事領域だけでも千ページ以上に及ぶ文書があるんですよ。生産性やガバナンスの面などでメリットがある一方、自由発想でアジャイル、フレキシブルに自分たちがどんどんアイデアを出して形にしたり、成功したり失敗したりといった経験機会は以前より少なくなっていると感じています。そうなると、「クリエイティブワーカー」の育成は難しくなっていくでしょう。これからの予測困難な時代を見据えていくうえで、少し行き過ぎた標準化をどう緩和していけばいいか。一度固着化したものを崩していくのはなかなか難しいですし、そこはすごく人事として悩んでいるところです。
サイボウズらしさ、みたいな部分をいかに残しつつ、新しいことをやっていくか。今一番そこに悩んでいますね。当社では「100人100通りの働き方」をこれまで大事にしていて、個人のやりたいことに比較的強くフォーカスが当たっていました。「成長したくない人は、成長しないという選択をする。それも個人の選択だ」「自分がやりたくないことは、他にやりたい人がいるからそこに任せればいい」といった考え方もありました。
ただやはり、それだけだと非効率な部分や会社が回らない部分も出てきます。メンバー個人が幸せに働きながら、会社としても生産性高くあり続けることができる状態をいかに実現できるかを人事全体でチャレンジしています。「100人100通りのマッチング」です。今、会社としては個別最適から全体最適にフォーカスする動きを取るようになり、これまでのやり方に慣れている社員の中には少し違和感を抱く人もいるのかもしれません。これまであったユニークな人事制度も一部見直しを行なっていますが、最近入社したメンバーは歴史を経験しておらず経緯もわからないなど、メンバー全員がその背景含めしっかり理解できているわけでもないと思います。
なので、いかにサイボウズらしく、でも会社の規模拡大にも耐えられる人事制度をどう作っていくか、みたいなところは本当にすごく悩んでいます。ここ数年で社員数が倍になって、マネジメントにおいてもハイブリッドワークやリモートワークが中心のなかで、メンバーとの日々のコミュニケーションも難しくなっていると思います。会社規模が大きくなって、働き方も多様になる中でマネジメントのやり方もアップデートしていく必要があります。らしさを大事にしながらも、会社がチームとしてより理想的に変化していけるように人事としてアクションを取っていきたいと強く感じています。
これまでどの会社でも感じてきたことではありますが、会社の目標、ビジョン、ミッションに対して、どうすれば社員が一丸となれるかはすごく悩みます。みなさん自分自身の人生を生きています。社員自身のやりがいや実現したいことと会社の目指す方向が重なれば、お互いにとってすごく幸せだと思っています。
多様性が進んでいる時代において、昭和のように「右向け右」みたいなコミュニケーションでは、社員はついてきません。会社の未来戦略や事業戦略に対して組織目標と個人目標を紐づけて、どう個々をどう支援していくか。ここは毎回悩むところです。
変わることっていうのは結構難しいですよね。今まですっと同じやり方でやってきて基本的にはうまくいっていると思うのですが、世の中の動きが大きく変わっていくなかで、本当に今までのやり方、考え方でいいのか。そのような、変化を恐れず一歩踏み出すところは、まだまだ企業の文化や風土にはなっていないと考えています。
現状維持は衰退の始まりだと思っています。常に今までのやり方が正しいかどうか見直して、少しでも効率的になるように変えていく。そこを我々人事、社員が一歩踏み出していく難しさというのは、すごく悩んでいるところです。
人事としては、変化を恐れない環境づくりみたいなところには力を入れていきたいと考えています。その一環で「シナジーウェーブ」という新しい企画をスタートさせています。これは、次の「Human Capital Report」を人事だけじゃなくて、有志の社員と一緒に作っていこうというプロジェクトです。公募で手を挙げた社員にはプロジェクトに参画いただき、意見を聞いてコンテンツに反映させていく。こういった手挙げの文化を醸成していけば、チャレンジや変革につながっていくと思っています。
社内で実施したエンゲージメント診断の結果を見ていると、当然組織の良いところと悪いところが見えます。一方で、組織に所属している個人にフォーカスすると、それぞれ組織に対するニーズもバラバラです。例えば、人間関係を最重要視している社員がいたとして、人間関係をあまり重要視しない組織に配属されたらミスマッチが起きるのは目に見えています。そう考えたときに、社員のニーズと組織のニーズをどうバランスさせるかはすごく悩んでいます。
また、入社後の初期配属はもちろん大事なのですが、社員と組織のニーズがマッチした配属に成功したとしても、そのまま社員がすくすく育つかと言われるとそうでもありません。異動配置で解決しようとしても、その社員がどの組織、部署に行けばイキイキと働けるのか。エン・ジャパンの業績が伸びるのか、それはいつのタイミングでの辞令なのか。ここも非常に難しいですよね。
社員と会社は時間軸が全く異なりますし、異動のタイミング一つ見ても、会社は5年後、社員は明日、明後日みたいなことがあります。その時間軸のコントロールも非常に悩ましい部分です。
今、社会的にも人事の役割が大きく変わってきています。人事は、経営戦略に連動する人財戦略を立案し、会社や各部門の戦略実現をリードする存在にならなければなりません。中央集権的な存在、オペレーション中心の業務からの脱却が必要です。経営や事業戦略の課題を一緒に解き、解決に向けコンサルティングするために、人事は仕事の仕方やリテラシー、考え方を変えていく必要があります。
私の役割としては、機能変革に向け、人事メンバーに絶えず問い続けるところにあると考えています。自分たちの価値は何か。御用聞きでなくコンサルティングしているか。分かりやすい例で言えば、「5年前と同じことをやってないか」というのもあります。5年前とは、社会環境も働く人の価値観も、人事制度も変わっています。同じことをやっているとすれば、それはおそらく間違っている。人事部の意識や働き方を変えていくために、染みついた思考の習慣を、勇気をもってアンラーンしていくことが第一歩かなと思っています。
いかにみんなが事業に集中できる環境をつくっていけるか。そして、みんなが同じ絵を描いて、一つの方向に進んでいけるか。このような組織状態を実現、維持していくには、どうすればよいか最近すごく頭を働かせています。そのため、情報共有の仕方や会議体一つにしても、敏感に察知できるように意識しています。
今の立場で仕事をしていると、事業と組織の両輪をきちんと回してこそ人事施策の価値が出ると感じています。これまでも、できるだけ人事の自分の仕事を客観視するようにしていましたが、そこはあまり気づけていなかったところです。
どれだけ人事施策を進めてインパクトめいたものが残ったとしても、事業がうまくいっていなかったら、それは成功とは言えません。事業がうまくいった時にはじめて、人事の色んな施策が役に立っているのです。最近、すごく経営における人事のあり方みたいなものに意識が向いているのと同時に、「今の組織に本当に必要なものは何か」という問い自体に頭を使っていることが多いです。