連載「人事大解剖~他社の人事のリアルを知る~」は、リレーインタビュー形式で、業務において大事にしている考えや日常の悩み、気になっているHRのキーワードなどを紐解きながら、人事のリアルに迫っていく。正解がないと言われる時代だからこそ、多くの人事の視点や考えを通じて、業務や課題解決のヒントをお届けする。人事リレーの輪22人目はシミックホールディングス株式会社の戦略人事を推進する、執行役員 CHRO 櫻井 奈古都氏が登場。同社は国内に先駆けてCRO(医薬品開発受託機関)として創業し、現在は医薬品の開発から製造・販売までの全工程をワンストップで支援するほか、デジタルヘルスなど新たな医療価値の創出にも挑む総合ヘルスケア企業グループだ。本記事では、櫻井氏が語る同社の変革に向けてチャレンジしている数々の人事施策のほか、人事として大事にしている考え方やオススメの書籍などをお届けする。

※下部の「目次」より気になる項目がありましたら、ぜひそちらからも参照のうえご覧ください。
事業変革→組織変革→一人ひとりのマインドセットチェンジ、この1直線をつなげられるかが戦略人事の腕の見せ所――シミックホールディングス 櫻井 奈古都氏【人事リレーの輪22人目】

Q1:これまでのキャリアは?

【人事リレーの輪22人目】
シミックホールディングス株式会社
執行役員 CHRO 櫻井 奈古都氏



人事に興味を持ったのが大学時代です。企業組織論を専攻していたのですが、そこで初めてリーダーシップ開発や事業に紐づく人材戦略、組織戦略というのを学びました。研究を重ねていく、戦略によって同じプロダクト、同じフィールドでも全く違う会社になっていくのが見えてくるんですね。様々な企業にもインタビューして、なぜそのような会社になっていったのかを紐解く機会もあって、それがとても面白かったのを今でも覚えています。会社の命運は、人と組織の戦略やカルチャーによって本当に変わっていくんです。研究にどんどんのめり込んで、人・組織に関わる仕事を卒業後にしてみたいという思いが強くなり、入社したのがリクルートです。

ファーストキャリアが、HR領域のソリューションを解決する営業です。あらゆる業界、会社のフェーズもベンチャーから大手まで、様々な企業の事業戦略と組織戦略、人材戦略をどう紐づけていくかみたいな仕事を12年ほど経験しましたが、これが私の一番の礎となっています。

この仕事というのは、事業の未来の話をクライアントと一緒になってしないと、規模や影響度合いも大きくならないんですね。目先の制度や育成、採用プランの変更だけであれば、プロジェクトとしてすぐ終わってしまいます。ですので、3年、5年、10年後に会社としてどうありたいのか、どんなマーケット変化があって、どんなふうに会社としてユニークな立ち位置で強みを発揮して輝いていこうとしているのか。そのために何をしていくべきなのか、コアな部分を突き詰めて将来から逆算していくと仕事も増え、影響度合いも大きくなっていくんですね。そのような経験を同社でひたすら積んでいき、その後は商品企画や営業戦略など色々な仕事に関わりました。

次は、リクルートの卒業生あるあるなのですが、仲間と一緒に教育や研修の事業の会社を立ち上げる機会に恵まれました。ただ、子育てなどワークライフバランス的に少し厳しくなっていきそうだったので、早々に再び企業で働く選択を取りました。改めて自分のバリューが発揮できる場所はどこなのかを考えた時に、インターナショナルな仕事をすることに興味がありましたので、外資系に行く決断をしたのです。ここからが私の第二のキャリアになるのですが、外資の人事組織に足を踏み入れていきます。アメリカの医療機器メーカーであるアボットの日本法人に入社したのですが、同社では採用業務を任され、私の人事としてのキャリアがスタートします。

アメリカの会社でしたので世界中の各国に現地法人があり、人事制度も大きな方針のもとアジアではどんな戦略を進めていくのかを決めていきます。また新しい施策を始める際、アジアとしてどう思うかというコミュニケーションを取らないといけないので、グローバルな経験をそこでは積むことができました。外資ならではと言っていいと思うのですが、大きな共通項を見出して、優先順位をつけて大胆に動かしていく進め方は、非常に勉強になりました。

このままグローバルなフィールドで採用領域を突き詰めていく選択肢もあったのですが、経営戦略に紐づく人事施策の領域に関わりたい想いが強くなり、シミックホールディングスに転職する決断をしました。ちょうど当社がホールディングスとして初めて人事組織に戦略人事のチームを作ろうとしているフェーズというのもあって新たな環境に飛び込んだのです。戦略人事のディレクターとして人事領域全体を見るところからスタートし、2025年の今期からCHROのポジションとして今に至るというのが私のこれまでのキャリアです。

Q2:今の人事としての役割・ミッションと、今抱えている主な人事課題は?

私の主な役割やミッションは、戦略人事の推進です。

当社はこの約30年間、CRO(医薬品開発支援)という事業モデルを国内に先駆けて日本に持ち込んだ会社で、そこから瞬く間に成長を遂げてきました。業界をつくってきた会社でもあり、ありがたいことにこの30年間は右肩上がりで業績を伸ばしてきました。

ただ、徐々にクライアント側の事業構造がグローバリゼーションに変化していき、その対応の難しさが増すなか、ここに来て業績が昨対割れをし始めている状況です。非常に厳しい局面に来ているのは紛れもなく事実であり、これまでと違うやり方に舵を切っていかなければなりません。これは大きな事業だけの話に限らず、足もとの仕事の進め方や組織構造など、あらゆる面で変化が必要になってきています。過去の踏襲では、到底変革は実現できません。そのために経営と一緒になって、人材戦略、組織戦略の大きな柱をつくっていこうとしているところです。

この記事にリアクションをお願いします!