もし新卒一括採用がなかったら
新卒一括採用は時代後れの“悪”なのか? 長年にわたり批判の的となってきた日本型雇用システム。その光と影を、就職活動と大学現場の両面から掘り下げた一冊が登場した。著者・常見陽平氏は、企業・大学・学生を知るキャリア研究の第一人者。また、官庁や自治体における『次世代の採用活動のあり方』を議論する各種委員も数多く務めている。
本書ではエントリーシート乱立や内定辞退問題、オワハラ、インターン早期化など、現代の就活を覆う課題を多角的に検証する。さらに、もし「新卒一括採用」が存在しなかったら何が起こるのか――失業率や人材育成、大学教育への影響までをデータと実例で描き出す。単なる制度批判を超え、就活に潜む社会構造の本質を問い直す一冊。学生、キャリア支援者、人事担当者、経営層にとって、未来の採用を考えるための必読書だ。

★こんな人におすすめ
・就活(しゅうかつ)の変遷やルールを体系立てて知りたい方
・早期化(インターンシップ、オープンカンパニー)を学生・就職支援の立場で捉えたい方
・これからの新卒採用のあり方を考えたい人事・経営者

【書籍基本情報】
書籍名:日本の就活──新卒一括採用は「悪」なのか
著者:常見 陽平
出版社:岩波書店
書籍発売日:2025年11月25日
日本の就活──新卒一括採用は「悪」なのか 常見 陽平(著)(岩波新書)

▼内容紹介

何社にもエントリーシートを提出し、厳しい面接を繰り返し、ひたすら内定を追い求める。この就職戦線には学歴フィルターにオワハラ、学業の阻害といった様々な問題が山積みだ。財界も学者もその原因は「新卒一括採用」にあるという。しかし本当にそうなのか? 就活の現実を直視し、労働社会の根幹にメスを入れる。(出版社ホームページより)

▼目次

はじめに

第1章 新卒一括採用はいかなる「悪」なのか
 東大総長からの批判
 経営学者と脳科学者からの批判
 政財界からの批判
 教育社会学者からの批判
 「新卒一括採用」を定義する
 漠然とした新卒一括採用悪者論をこえて

第2章 「就活時期」をめぐるジレンマ
 在学中に選考する日本
 就活の歴史は一九世紀末から
 破られるルール、それでも歯止めに
 就活開始時期の繰り下げ
 中西宏明会長の問題意識
 「指針」の形骸化
 内定の特殊性
 早期化をめぐるジレンマ
 就活は「自由化」へ

第3章 企業と学生のミスマッチ
 四つのマッチング手段
 メディアの存在感
 リクナビという希望
 肥大化する就活
 学生とネット活用
 就活マニュアル本
 就活対策の原体験
 就活はなぜ辛いのか
 企業が求める人物像とは何か

第4章 就活史における三つの危機
 就活の三つの危機
 就職氷河期は一九九二年が初出
 就職氷河期後期には変わりつつあった大学
 求人倍率以外の要因
 氷河期世代の高齢化
 「就職氷河期再来」としてのリーマンショック
 「就職氷河期再来」の実態
 下落率の内実
 新型コロナウイルスショック
 就職プロセスの変化と内定率
 オンライン化の影響
 ミスマッチをどう解消するか
 未来の労働者を守れ

第5章 就活とハラスメント、差別
 セクハラの実態
 企業の対策は
 オワハラ問題
 オワハラとは何なのか
 オワハラの歴史
 オワハラの実態
 オワハラの原因
 考察と提言
 学歴フィルター
 使い分けられるフィルター
 採用選考の基準
 不適切な質問
 繰り返されるわけ
 何のための裏技なのか
 就活の差別をこえて
 人権意識の高まる社会で

第6章 中堅私大の就活支援日記
 大学と就職支援の原体験
 大学の関与
 企業と大学の綱引き
 大学と就活の共犯関係
 中堅私大で就活を支援して
 キャリア教育の意味
 教員に求められる能力
 モヤモヤとともに
 インターンシップ、オープンカンパニー、早期選考問題
 学生の悩みに寄り添う
 ガクチカをどうするか
 「書く」訓練として
 週末、連休も面接特訓
 最後の一人まで伴走する
 大学について考える

第7章 もし新卒一括採用がなかったら
 年間最大約四五万人の労働力と税収の喪失
 若年層の失業率の上昇リスク
 企業の人材獲得が困難に
 むしろ学生の負荷、負担が増える可能性がある
 むしろ人材の多様性が失われる
 大学の魅力の低下

第8章 これからの就活とダークヒーロー
 自由で柔軟な働き方の選択
 エリートとノンエリートで分化する就活
 AIにエントリーシートを書かせてみたら
 AI採用をどう考えるか
 新卒一括採用とはダークヒーローである

 参考文献
 おわりに

▼著者プロフィール

【常見 陽平(つねみ ようへい)】
常見陽平(つねみ・ようへい)
1974年生まれ.北海道札幌市出身.一橋大学商学部卒.同大学大学院社会学研究科修士課程修了.リクルート,バンダイ,ベンチャー企業,フリーランス活動を経て
現在─千葉商科大学基盤教育機構准教授,評論家
主著─『なぜ,残業はなくならないのか』(祥伝社新書)
   『リクルートという幻想』(中公新書ラクレ)
   『「できる人」という幻想──4つの強迫観念を乗り越える』(NHK出版新書)
   『僕たちはガンダムのジムである』(日本経済新聞出版)
   『50代上等!──理不尽なことは「週刊少年ジャンプ」から学んだ』(平凡社新書)
   など
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