
「君ならできる!期待してるぞ!」「先週の頑張りはすごかった!今週もやり切って成果を出そう!」。こんな言葉をかけてもらえると、「よし、頑張ろう!」とモチベーションが上がりもうひと頑張りできるようになるはずです。
当社では、毎日の朝礼で社長の藤原が「よく頑張ったな」「期待しているぞ」と直接社員に声をかけています。これこそがまさに「自分を奮い立たせてくれる」一言となるのです。
改善の糸口を自分で見つけられる社員ばかりではない
当社で実施していることは、期待や励ましの言葉をかけるだけではありません。リーダーは、メンバーの成長のため積極的に関わります。これこそが「期待するだけでなく、寄り添う」当社のスタイルです。成果を上げられなかった社員が自らの行動を振り返り、その原因を自分で考えることは成長につながります。しかし、そんな社員ばかりではありません。長期低迷している社員や経験不足の社員もいます。彼らは自ら望んで成果を出せないのではなく、改善の糸口を見つけられず、自分一人の力ではどうすることもできない状況に陥っているのです。そのようなときこそ、リーダーが準備や行動の内容を聞き取り、助言する。時には一緒に営業活動に出る。そういった実践的なサポートをして業務プロセスを一つひとつ見直していくと、その社員が苦手としていることや、課題が浮き彫りになります。課題が見えるとつい人間は誰しも現実から目を背けたくなります。しかし、そんなときこそ課題に「メンバーと一緒に向きあう」。これが大きな効果を発揮するのだと私は感じています。
リーダーは自分を基準にしてはならない
落ちこぼれそうな社員に寄り添う上で大切なのは、プロセスに妥協を許さないリーダーの厳しい姿勢です。しかし、それは「自分」を基準にして他者を厳しく評価することではありません。かつて私もリーダーになりたての頃、「みんな自分と同じように出来るはずだ」と考えていました。自分と比べて、「これではダメだ」、「全然出来ていない」と突き放すような言葉をかけ、「もっと出来るはずだ」と厳しく結果を求めてしまったことがあります。実際それで、各個人の成果は多少出すことができましたが、チーム全体の成長を支えることは残念ながらできなかったのです。このようなリーダーに対し社長の藤原はいつもこう言っていました。「『きみも自分と同じ人間なのだから、同じようにやれ』では人は育たない」と。
リーダーが「自分」を基準にして他者を評価していては、なぜ他のメンバーの仕事の成果が上がらないのかを理解することはできません。さらに言えばリーダーは、人よりも優れた成果を上げた結果、その立場に就いたのであり、他のメンバーよりも仕事が出来て当然です。となると、リーダーと、そうでないメンバーを単純に比較することは適切ではありません。むしろ、「自分のチームには自分より仕事ができないメンバーがいる」という前提で考え、メンバーの実力を基準にして、成果が出せたかどうかを評価すべきなのです。
このように視点を変えることで、リーダーの成果よりも、下のものであったとしても「いつもより頑張ったね」と自分と比較するのではなく、メンバーと比較して褒めてあげることが出来ます。あるいは、メンバーが失敗したとしても「君らしくないね、何かあったの?」と声をかけることが出来ます。リーダーの役割は、メンバーに自分と同等のレベルの仕事を求めるのではなく、メンバーの視点で小さな成長を認め、さらなる成長を促すことなのです。
期待して寄り添う積み重ねが、社員のエンゲージメントを高める
社員は自身に期待して、目をかけ、声をかけ、手を差し伸べてくれる仲間や、自分のために時間を割いてくれるリーダーの存在によって、その会社の一員であると実感できるようになります。自分の周りには「自分を信じてくれる人」、「困ったときに支えてくれる人」がいる。心強い味方がいるからこそ、安心して次のステップに踏み出すことができるのです。このような心のつながりは、くじけそうなとき、迷っているとき、社員の心に火を灯し、弱い自分に打ち勝つ力を与えてくれます。そして、「ここまでしてもらったんだから、必ず成果を出したい!」という強い気持ちが芽生えるのです。
「期待して寄り添う」その小さな積み重ねこそが、社員のやる気を引き出し、成長を後押しし、チームをより強くする、エンゲージメントを高める鍵と言えるでしょう。
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