人的資本経営の実現に向けて、HRデータの取得・分析・活用に取り組む企業が増えている。コロナ禍を背景にリモートワークが普及する中でも従業員の状態を把握すべく、エンゲージメントサーベイやパルスサーベイをはじめ、さまざまなデータを取り始めている組織も多い。しかし、データを取得したものの、それをどのように分析・活用して施策に活かしていくべきか、どう事業成長につなげていくのか、具体的なアクションにつながっていないケースも散見される。PayPay株式会社は2020年9月より常時フルリモート環境のなか、HRデータを最大限活用することによりデータドリブンで人事施策を進め、退職率の低下や生産性の向上など、成果を上げている。そして、この取り組みが高く評価され、同社は第8回 HRテクノロジー大賞の『イノベーション賞』を受賞した。そこで今回、施策をリードするHR本部 HRBP部 部長 萩原佑一氏と、HR本部 HRBP部 People Analytics リーダー 稲垣 仁美氏に、HRデータ活用の具体的な取り組みや直面した課題、成果の要因などを中心にお話を伺った。

第8回 HRテクノロジー大賞『イノベーション賞』

PayPay株式会社

フルリモート環境下における組織・社員のパフォーマンス最大化のための包括的なHRデータ活用

パルスサーベイの実施や、ストレスチェックと業績評価のデータの掛け合わせ分析など、個人・組織のコンディションチェックを徹底。また、BIツールを用いて人的生産性に関するデータをタイムリーに可視化し経営陣との議論に活用するなど、データドリブンに組織の生産性向上に取り組みました。これらの施策により、カルチャーアンマッチによる退職者は前年比45%減、マネジメント視点で生産性が向上した割合は前年比55%増、エンゲージメントスコアは前年比9%向上するなど、着実に成果をあげている優れた取り組みであると高く評価されました。

プロフィール

  • 萩原 佑一 氏

    萩原 佑一 氏

    PayPay株式会社
    HR本部 HRBP部 部長

    2009年、大手製造業にてキャリアをスタート。グローバル人事(制度企画・HRBP)やグループ副社長直下組織にて国内外関係会社、事業部の戦略立案・実行に従事。2019年、PayPayに入社。新規事業立ち上げに伴う人事制度・組織設計から、コロナ禍における事業・組織のレジリエンスを高めるWFA(WorkFrom Anywhere at Anytime)の制度企画・導入も含めた、HRMサイクルの全般や労務・コンプライアンスを担当。HRBPとしては、事業戦略に従った中長期人員計画の立案、データドリブンでの組織コンサルティングによる組織と人のポテンシャル最大化に携わる。2014年、MBA取得(経営学修士号)。

  • 稲垣 仁美 氏

    稲垣 仁美 氏

    PayPay株式会社
    HR本部 HRBP部 People Analytics リーダー

    コンサルティング企業やSaaSスタートアップ企業などでの組織開発やHR・組織関連データ分析経験を経て、2022年にPayPay入社。People Analyticsチームの立ち上げ、HRデータの分析やBIツールによる可視化、サーベイの企画立案、分析環境構築などに取り組む。2020年、MBA取得。現在博士課程にて組織内ネットワークとコミュニケーションに関する研究に従事。専門統計調査士(2018 年)。

フルリモートをきっかけに、組織と人の生産性を捉え直したPayPayのデータドリブン人事変革

フルリモート環境下でも社員の生産性を向上させる3つの取り組み

――今回受賞されました「フルリモート環境下における組織・社員のパフォーマンス最大化のための包括的なHRデータ活用」という取り組みについて、まずは、こちらがスタートした背景についてお聞かせください。

萩原氏:PayPayではコロナ禍における事業成長の角度や、組織のレジリエンスを高めるために、2020 年9 月よりリモートワークを原則とする「WFA 制度(Work From Anywhere at Anytime)」という働き方を導入しました。これと急激な組織サイズの拡大が、データ活用のきっかけになっています。HRとしてデータとオンライン化で全社の心拍数を上げる、つまり組織と人の生産性を高めるには、アプローチを変革する必要がありました。これまでの人事制度、基幹システム、契約書などは、すべてオフィスで勤務することを前提に設計していましたが、事業をドライブさせるにはオフィスにいなくても事業戦略と組織と人がわかる状態にしなければなりません。そのためには、テクノロジーを駆使して、これまで以上の密度の濃いHRのアプローチが前提になってきたことが、背景です。
フルリモートをきっかけに、組織と人の生産性を捉え直したPayPayのデータドリブン人事変革
稲垣氏:取り組みとしては、大きく3つのことを行いました。1つ目が、人と組織のコンディションチェックを徹底して、課題があれば迅速に介入する。2つ目は、生産性を向上させるためのデータ分析と人事施策。そして3つ目は、組織の活性化に関する取り組みです。これら3つの取り組みをもとに、フルリモート下でも社員が生産性やパフォーマンスを最大化できる環境づくりを強化していきました。


この後、下記のトピックで、インタビューが続きます。
続きは記事をダウンロードしてご覧ください。

●退職率を削減させた「人と組織のコンディションチェック」
●「全社DX」と「サーベイのデータと施策の組み合わせ」が生産性向上をもたらした
●データ活用後の「ワークショップ」が組織活性化のカギ
●エンプロイーファーストではなく、「ユーザーファースト」
●今後はシミュレーションベースで、より確度の高い施策を実現していきたい



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