“プロ経営者”として知られる新日本プロレス社長のハロルド・ジョージ・メイ氏は、日本コカ・コーラ時代には副社長として、さらにタカラトミー時代にはCEOとして大幅黒字回復を成し遂げるなど、経営手腕を発揮してきた。そんな彼が自身の経験をもとに語るリーダーシップ論。なぜ日本の企業には、優れたプロ経営者が少ないのか。そもそもリーダーに求められる資質や条件とは何なのか。グローバル時代に生き残るためのリーダーシップと、次世代リーダーの育成について提言していただいた。

講師

  • ハロルド・ジョージ・メイ氏

    ハロルド・ジョージ・メイ氏

    新日本プロレスリング株式会社 代表取締役社長兼CEO

    1963年オランダ生まれのオランダ人。父親の仕事の関係で幼少期を日本で過ごす。ニューヨーク大学修士課程修了。ハイネケン・ジャパン、日本リーバ(現ユニリーバ・ジャパン)、サンスター、日本コカ・コーラを経て、2015年にタカラトミー代表取締役社長となり、大幅黒字回復を成し遂げる。2018年6月に新日本プロレスリング株式会社代表取締役社長兼CEOに就任。日本語、英語、オランダ語など6カ国語を話す。

次世代リーダーシップとその育成

企業のトップには3つの出身タイプがある

本日は私の経験に基づいたリーダーシップのお話をさせていただきます。
サラリーマンとしての時間軸を100とすると、私はちょうど半分を外資系企業、残りの半分を日本企業で過ごしました。つまり両方の特徴、会社の運営の仕方、リーダーシップの在り方などを見てきたということです。今回お話しするリーダーシップというテーマは、世界的にも大きく注目されています。アメリカでは年間10,000~15,000冊のビジネス本が出版されていますが、その中で最も多いテーマは、「戦略」、「リーダーシップ」、「マーケティング」の3つです。つまり「リーダーシップ」とは、それだけ多くの考え方があり、また複雑なテーマだと言えると思います。

社長には、3つの出身タイプがあります。
1つ目は、『創業者、あるいは創業家の2代目・3代目』です。このタイプのキーワードは“きっかけ”で、創業者がいなければ、世の中に出なかったであろう商品やサービスがたくさんあります。
続いて2つ目は、『生え抜き社員の内部昇進による社長就任』です。このタイプのキーワードは“安定”。つまり会社の中のことを熟知しているので、誰がどのポジションに一番適しているのか、どんな戦略が自社に合っているのかなど、安定したマネジメントができます。
そして3つ目は、『ヘッドハンティングなどで社外から招聘される落下傘型経営者(プロ経営者)』です。このタイプのキーワードは“変革”。要するに会社が変わらなくてはいけないときに、プロ経営者として招聘されます。
これら社長の出身3タイプには、それぞれ強みと弱みがあります。
まず創業者の強みは、何といっても絶対的権力です。さらに己の信じた道(商品・会社など)を貫く熱意もあります。一方マイナスとしては、ややバランス感覚に欠ける人が多いです。続いて生え抜き社長の強みは、安定感や社内調和が挙げられます。長年会社にいるので、社内の人や事情に精通しているわけです。一方マイナスとしては、リスクを避ける、改革意識が低い…といった傾向が見られます。最後にプロ経営者の強みは、即戦力であること、そして客観的感覚を持っていることです。極端に言うと、入ったその日から仕事ができます。客観的な視点で会社を見渡せるので、前例に縛られることなく、「なぜ?」「どうして?」と鋭くメスを入れることもできます。逆にマイナスとしては、受け入れられるのに時間がかかるということです。私も経験しましたが、他所からきたので、最初は冷たい目で見られます。
次世代リーダーシップとその育成

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