変化の激しい時代を勝ち抜くためには、組織を強力に牽引するリーダーシップが不可欠であり、今や多くの日本企業が
次世代リーダーの育成を最重要課題に挙げている。
しかし実際のところ、育成に成功している企業はまだまだ少ないのが現状だ。
果たして令和時代を勝ち抜くリーダーシップの要件とは何なのか。
またどのようにしたら効果的にリーダーを育てることができるのだろうか――。
そこで今回は、トップ企業3社の人事リーダーを招き、各社の現状や取り組み内容について語っていただいた。

講師

  • 平松

    平松 浩樹氏

    富士通株式会社 理事 グローバルコーポレート部門 総務・人事本部長

    1989年 富士通株式会社に入社、主に営業部門の人事担当として、目標管理制度の運用、ローテーション制度、組合対応等を担当。2009年より、役員人事の担当部長として、指名報酬委員会の立上げに参画。2015年より営業部門の人事部長として、営業部門の働き方改革を推進。2018年より人事本部人事部長、2019年より現職。


  • 相原

    相原 修氏

    ファイザー株式会社 取締役執行役員 人事・総務部門長

    一橋大学法学部卒業後、東レ入社。アメリカ駐在を含め一貫して人事マネジメントに携わり、GEでC&BならびにインテグレーションをHRの立場からリード。DHL、ベーリンガーインゲルハイムでの人事責任者を経て、2018年9月より現職。リーダーシップ開発、エンゲージメントの向上、コーポレートカルチャーの変革、M&Aとインテグレーション、働き方改革、人事部門の強化等多くの変革イニシアティブに取り組んできた。


  • 池山

    池山 一誠氏

    ソニー株式会社 人事センター 人材開発部 統括部長

    1967年生まれ、早稲田大学で数学を専攻したのち、1991年 ソニー株式会社入社、採用部にて新卒技術系採用を担当。1994年 Sony Display Device Singaporeに赴任し、人事及び経営管理を経験。1998年 日本に帰任後、TVやオーディオビデオを中心としたホームエレクトロニクス事業、研究開発組織、オリンパスとの医療合弁会社設立、B to B事業といったHRBPを経験したのち、2018年より人材開発部 及び 採用部 統括部長を歴任し、現在は全社タレントマネジメント/人材育成の責任を担う。


  • 楠田

    楠田 祐氏

    HRエグゼクティブコンソーシアム 代表
    <ファシリテーター>

    NECなど東証一部エレクトロニクス関連企業3社の社員を経験した後に1998年よりベンチャー企業社長を10年経験。会長を経験後2010年より中央大学ビジネススクール客員教授(MBA)を7年間経験。2009年より年間500社の人事部門を6年連続訪問。2015年は日テレのNEWSZEROのコメンテーターを担当。2016年より人事向けラジオ番組「楠田祐の人事放送局」と「楠田祐の人事アウトサイド・イン」のパーソナリティを毎週担当。2017年より現職。専門は人事部門の役割と人事の人たちのキャリアについて研究。多数の企業で顧問なども担う。シンガーソングライターとしても本業として活躍。 主な著書:「破壊と創造の人事」(出版:ディスカヴァー・トゥエンティワン)2011年は、Amazonのランキング会社経営部門4位(2011年6月21日)を獲得した。他に「内定力2016?就活生が知っておきたい企業の『採用基準』」(出版:マイナビ)などがある。

令和時代を勝ち抜くリーダーシップと次世代リーダー育成

3社の事業環境とリーダー育成のビジョン

楠田氏 まずは皆さんに自社の事業環境についてお伺いしたいと思います。

平松氏 弊社は昨年6月に社長が交代し、IT企業からDX企業への転身を目指すことを表明しました。
私たちは富士通自身がDX化することで、お客様のDX化をリードしていくんだということを繰り返し
言っておりますが、そのためには富士通の文化や企業カラーなど、いろいろなものを変えていかなくては
なりません。そのときに大事なのが人事制度であり、人材育成だと考えております。
そうした中、弊社の人材育成部門がいろいろな視点を持って試行錯誤し、なかなか答えが見つからない中で、
チャレンジしている最中です。

相原氏 製薬業界は世界的に見ても事業環境が厳しくなっており、今までのやり方では生き残るのが
難しい状況です。そうした中、弊社も昨年グローバルのCEOが交代したのを機に、一気にギアチェンジし、
変革の時期に突入しています。
その中の一つが、ブレイクスルーを生み出すということを中心に据えたこと。
「患者さんの生活を大きく変えるブレイクスルーを生み出す」ことを企業目的に掲げ、そのために
組織変革をはじめとするさまざまな変化を起こしています。

池山氏 ソニーはエレクトロニクスをはじめ、ゲーム、半導体、映画、音楽、金融などさまざまな事業を
展開しており基本的には分社しております。分社個社が事業環境や競合に対し、どう勝っていくかということを
自立的に考えていかなければなりません。
各々の事業領域でのリーダーを考えることに加え、グループ全体を牽引していくリーダーをいかに創り上げていくか、
ということも企業の長期的な成長にとって非常に重要です。5年後、10年後の事業ポートフォリオを想定しながら
グループ経営視点でのリーダー育成も同時に重要な経営課題と考えます。

楠田氏 ファイザーさんはマネージャーのピープルマネジメント力が非常に高い会社だと感じますが、
その中で早い時期からノーレイティングをされています。ピープルマネジメント力が高いからこそ、うまくいくのだと
思うのですが、ノーレイティングという評価制度の中でリーダーは育っていくものなのでしょうか?

相原氏 おっしゃる通り、弊社は早い段階でノーレイティングを導入しております。
ところが時代が変わり、もう次の施策に移り始めていて、ノーレイティングはやめようというのが今のトレンドです。
というのも、もともとのレイティングは評価自体が一番の目的ではなく、育成を主な目的に導入していました。
しかしフィードバックの際にレイティングを伝えてしまうと、そちらばかりが気になって、フィードバックの内容を
聞いてくれないんです。それでは意味がないので、フィードバックに特化すべく、ノーレイティングを導入したという
経緯があります。ところが実際に取り入れてみたところ、特にグローバル全体ではレイティングなしでは、
やはり「フィードバックしづらい」という声が強く、突然止めることになりました。
もちろん完全に振り子を戻すわけではなく、育成に重点をおいたフィードバックは今後も継続していきます。

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