時間・休暇が気になる「働き方」

次に、企業が実施している社員の働き方に関する環境整備において、学生が気になる項目(複数回答)を聞いたところ、上位3項目は文系・理系ともに全く同じで、1位は「長時間労働の是正」(文系63%、理系64%)で6割を超え、2位「有給休暇の取得促進」(同58%、59%)、3位「フレックスタイム」(同50%、55%)と、時間や休暇に関する項目が上位を独占しました[図表3]。これまで、学生時代の研究室における長時間に及ぶ実験や研究の経験から、理系は文系と比較して時間に関する関心度は比較的低い傾向が見られましたが、今回の結果を見る限り文理差はほとんど感じられません。かつての理系学生の就活における特徴の一つであった「大学・教授推薦による応募」は年々減少し、文系と同じ自由応募が中心となるなど、就職活動自体の変化に合わせて、理系の就職意識も文系に近いものになってきているのかもしれません。

文系と理系で違いが見られるのは「兼業・副業の解禁」で、文系21%に対して理系12%と10ポイント近い差が生じています。文系のほうが理系より、就職後の兼業・副業を考えている学生が多いということなのでしょう。その他、「仕事と家庭の両立支援制度」(同39%、32%)および「育児休暇取得率の向上」(同24%、18%)にも文理差が少し見られます。ただし、これら2項目の回答結果については、今回の調査の全回答者に占める女子学生の割合の違いが影響しているものと考えられます。近年、理系の女子学生は増加傾向にあるとはいえ、全体に占める割合は文系と比べるとまだまだ低いと言わざるを得ません。一部の設問の回答には、その影響が少なからず出てしまいます。
[図表3] 働き方に関する環境整備において気になる項目(複数回答)
学生が就職活動で企業にアピールしたい能力(複数回答)についても聞いてみましたので、文系・理系別に比較してみましょう。文系・理系ともにトップは「コミュニケーション能力」(文系・理系とも53%)で半数を超えています[図表4]。2位も文系・理系ともに同じで、「チームで働く力」(文系44%、理系48%)となっています。1位、2位は、前年同時期に実施した「2026年新卒学生の就職活動動向調査(3月)」(以下、前回)と同じ結果となっています。「コミュニケーション能力」については、文系では以前からずっとトップでしたが、理系でトップになったのは前回が初めてです。ここでも理系の文系化傾向が垣間見えます。

文系では、3位「前に踏み出す力」(33%)、4位「目標達成指向」(27%)、5位「調整力」(27%)と続きます。前回3位だった「適応力」は前回34%から今回16%へと18ポイントも落とし、今回は11位に後退しています。逆に、今回3位の「前に踏み出す力」は前回9位(25%)から8ポイント伸ばしています。

一方の理系では、3位「論理的思考力」(36%)、4位「前に踏み出す力」(28%)、5位「リーダーシップ」(26%)と続きます。前回5位だった「基礎的な学力」は前回28%から今回22%へと6ポイント減少して10位に下がり、今回5位の「リーダーシップ」は前回9位(22%)からポイントを伸ばしています。

文系と理系で違いが見られるのは今回も「専攻学問の専門知識」で、理系の18%に対して文系はその3分の1の6%にとどまります。知識やスキルに裏付けされたジョブ型就職を文系に望むのは、まだまだ先のことになりそうです。その他、「データ解析能力」や「AI活用スキル」などについても、文系は理系を下回っています。
[図表4](文理別)就職活動でアピールしたい自分の能力(複数回答)

4割以上が「学部3年生4月」以前に就活開始

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