「中途採用に関する調査」結果報告活況を呈する中途採用市場

リーマン・ショック前よりも採用意欲が旺盛だと言われる中途採用市場。HR総合調査研究所(HRプロ)が実施したアンケート調査をもとに、その現状を探る。

規模と業種で異なる人材採用の方針

正社員を採用する方法は2つ。新卒採用と中途採用だ。HR総研の今回の調査では、回答企業の53%が新卒採用を重視、27%が新卒採用と中途採用の両方を同程度に重視し、中途採用を重視しているのは17%という結果だった。業種と企業規模によっても傾向が違う。グラフを紹介しよう。

図表1 採用の方針(全体)
まずメーカー系だ。メーカー系は全体と似ていて、どの企業規模でも新卒重視が5〜6割台、新卒と中途の両方を重視するのは2〜3割台、中途重視は1割を切っている。

図表2 採用の方針(メーカー系)
非メーカー系はまったく異なる。「1001名以上」では87%が新卒重視で、残りはそれぞれ7%程度に過ぎない。しかし「301名〜1000名」になると新卒重視は48%と激減し、「300名以下」では34%とさらに減る。小規模の非メーカー系では新卒採用が難しいという理由もあるだろうし、育成する余裕がないのかもしれない。

図表3 採用の方針(非メーカー系)

2011年度に中途採用募集を実施したのは8割

どの程度の企業が2011年度に中途採用を実施したのだろうか? 実施状況に業種、規模の違いはなく、全体の8割が実施した。

図表4  2011年度内での中途採用の実施の有無(全体)
募集の雇用形態で最多は正社員(91%)、続いて契約社員(34%)、パート(23%)と続いている。募集形態でも業種、規模の顕著な違いは見られない。

図表5 募集の雇用形態(全体)

正社員の中途採用が旺盛な非メーカー系

2012年度中に正社員を中途採用する計画のある企業比率は、メーカー系より非メーカー系が高い。メーカー系で「増やす」がもっとも多いのは「301名〜1000名」の20%だが、非メーカー系では「301名〜1000名」と「300名以下」の35%が「増やす」と回答している。
 「減らす」が「増やす」を上回っている企業規模・業種もあるが、全体では「増やす」(22%)が「減らす」(8%)を上回っており、雇用意欲は旺盛に見える。

図表6  2012年度の中途採用数(正社員) の前年度比(メーカー系)
図表7  2012年度の中途採用数(正社員) の前年度比(非メーカー系)

中途採用募集は賞与月狙い

では、年間を通じて何月に中途採用を行うのだろうか? 採用時期ではなく、募集時期で聞いてみた。巷間に流布されている雇用常識では、期首や新規プロジェクトが始まる4月と10月採用の求人件数が増えると言われている。しかし、今回の調査を見ると、確かに4月と10月に2つの高い山があるものの、応募があっても現職を持つ人がすぐに入社となるわけではなく、4月・10月採用のための募集とは考えづらい。
現職を持つ人の場合、引き継ぎや有給消化等を考えると、採用内定から入社までに1カ月〜1ヶ月半程度は要するはず。つまり、4月・10月の募集は、その2ヶ月後の6月、12月を視野に入れてのものだ。6月と12月は、賞与が支給される企業が多く、前職で賞与を受給してすぐに転職する層を狙ったものであろう。逆に募集意欲が低いのは、期末の1月〜3月と夏季休暇となる8月。

図表8 中途採用募集(正社員)をする時期

新卒採用と異なる中途採用の選考ポイント

新卒採用ではポテンシャルを見て選考するが、中途採用のモノサシは違う。最も重視されるのは「職務経歴」と「スキル」、そして「人柄」「熱意」である。

「学歴」や「学生時代の専攻」はまったく重視されず、本人の意欲と経歴、スキル本位で選考されている。新卒採用では、「ターゲット校」「学歴フィルター」と呼ばれる学歴格差が存在するが、中途採用ではあまり関係ない。新卒では就職先にこだわるよりも、スキルを身につけてステップアップを狙った方が、可能性は大きく広がりそうである。

図表9 中途採用の選考で重視すること

「営業・販売」「技術・研究」ニーズが高い

中途採用で拡充したい職種に関する調査では、「営業・販売」が39%でトップ、次いで「技術・研究」が34%で、この2系統が他職種を大きく引き離している。

メーカー系では、採用職種のトップは「技術・研究」で53%、ついで「営業・販売」の41%となっている。非メーカー系では、「営業・販売」が38%でトップ、2位は「IT・システム」(30%)、3位が「技術・研究」(21%)だ。業種を問わず、経営、マーケティング、財務・経理、人事・総務などのスタッフ職の拡充意欲は低い。

図表10 中途採用によって拡充したい職種

拡充したい職位のトップは「中堅」

拡充したい職種では業種によって差があったが、職位に関しては業種での差異は少なく、企業規模別で違いがある。
 グラフでわかるように最も多いのは「中堅」で、2位は「若手・第二新卒」だ。「301名〜1000名」と「300名以下」では、「中堅」と「若手・第二新卒」は近い。ところが「1001名以上」の企業の「若手・第二新卒」ニーズは、「中堅」の半分以下と大きな食い違いがある。

逆に「係長・主任」、「次長・課長」では「1001名以上」が高く、マネジメント人材ニーズが高い。そして「事業部長・部長」「役員」になると、「1001名以上」は皆無になる。大企業では、経営層は内部昇格する職位であり、中堅・中小企業では経営層も中途採用で拡充することがあるということだ。

図表11 中途採用によって拡充したい職位

業種で異なる中途採用の手段

中途採用の手段だが、多いのは転職サイト、自社ホームページ、ハローワーク、人材紹介の4つだ。ただし、メーカー系では転職サイトの利用率は低く、非メーカー系では高い。

人材紹介はメーカー系で高く、非メーカー系ではやや低い。「技術・研究」は、人材紹介を利用しないと、転職サイトでは採用しづらいということなのだろう。ハローワークの利用は、企業規模により大きく違いがある。中堅・中小企業の利用は高いものの、大手企業での利用度は低くなっている。

図表12 中途採用の採用手段(メーカー系)
図表13 中途採用の採用手段(非メーカー系)
応募者の全体の数については、「期待通りの応募数があった」としたのは半数以下の46%に過ぎず、「ほとんど応募がなかった」企業も7%あった。

図表14 過去6ヶ月間の募集における応募数

中途採用の課題は「求めるレベルの応募者」

中途採用の課題は2つに分かれる。1つは応募者に関わるもの。もう1つは社内の受け入れ体制に関わるものだ。
両者の課題のなかでずば抜けて多いのは、「求めるレベルの応募者が少ない」だ。業種や規模によって若干異なっているが、全体的な傾向は共通している。「ターゲット外から応募が多い」が2番目に多いが、ターゲット外は求めていないレベルを意味するから、この2つは似ている。

社内の受け入れ体制については「中途採用者向けの研修が確立していない」と「採用後の定着率が悪い」という悩みが多い。育てる体制がないから辞めていくという構図と読むことができそうだ。

図表15 中途採用の課題

ミスマッチ低減のために面接時にきちんと会社紹介を

最後に、人事担当者から寄せられた中途採用で工夫している点を紹介する。

●採用面接時に本人が話す過去の経験やペーパーの職務経歴書より、社員の紹介者のほうが、安心感がある。
●入社後のギャップがないように、また応募者にも当然選択権があるので、応募受付以降にきちんと企業説明を行う機会を設けている。応募者からは、そういう企業は初めてだと非常に高い評価を受けている。
●入社後も長く勤続してもらえる様に、会社の問題点等話せることはなるべく開示する。
●最近では、ハローワークからの紹介の中にもなかなかいいスキルをもった候補者が出てきている。
●面接時に条件面以外に仕事や会社の魅力、やりがいを伝えています。
●中途採用になると、部門からピンポイントのスキルや技術のオーダーがあるので、部門との密なコミュニケーションを工夫しています。
●選考スピード。書類選考はじめ、各選考結果の返答を遅くとも2営業日以内に実施している(合否問わず)。
●社風とマッチするかを重点に置いているため、面談時間を比較的長めに設定しています。率直な話し合いで、ミスマッチを防いでいます。
●職務経験や知識の点で採用に値するレベルにあっても、その人の価値観や考え方が当社と合わないと感じたときには採用しない。

ミスマッチ防止のためには、企業側からの丁寧な情報開示により、応募者にも選択権を与えることが大切なようだ。

【調査概要】

調査主体:HR総合調査研究所(HRプロ株式会社)
調査対象:上場および未上場企業の人事担当者
調査方法:WEBアンケート
調査期間:2012年5月11日〜16日
回答者数:141社(メーカー59社、非メーカー82社)

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