どのような「面接評価シート」が望ましいのか

続いて、どのような「面接評価シート」が望ましいのかをお伝えしたいと思います。面接では、できるだけ自社にあった人材を見極めたい一方、限られた時間の中ですべてを見抜くことは難しいです。そこで採用する際は「何を重視するか」を面接担当者同士で共有しておく必要があります。応募者を評価するうえで代表的な指標をご紹介します。

(1)コミュニケーションスキルを見る質問
仕事をするうえで最も大切なスキルであるコミュニケーション能力。面接の導入部分で簡単な自己紹介をお願いすることで、伝える力を見抜くことができます。

(2)考え方や価値観、働き方などを知るための質問
人の考え方や価値観は100人いれば100通りありますが、後からはなかなか変わらないものです。あらかじめ応募者の持つ価値観を知り、組織の風土とあうかどうか確認することが必要です。これまでの経験で成長を実感した時のことや、何によってモチベーションが上下するかを知っておくことは、その後の人材育成にも大いに役立ちます。

(3)ストレス耐性に関する質問
変化が激しい社会環境の中で、応募者のストレス耐性を重視する企業が増えています。応募者がストレスを感じる時やその対処法を聞くことで、ストレスに対して、セルフマネジメントができる人材かどうかを判断できます。また、これまでの失敗や挫折に対してどう向き合ってきたかを聞くことで、課題解決力を把握することもできます。物事に対してポジティブに捉えられる人材かどうかも重要です。

(4)必要なスキルを持ち合わせているかどうか
入社後に活躍できるかを見極めるために、会社側が必要としているスキルを応募者が持っているかどうかを明確にする必要があります。これまでの経験を具体的に聞くことで、相手のスキルを直接把握しておくことが必要です。

(5)志望度を知るための質問
会社への志望度が高い人ほど、入社後、やる気を持って仕事に取り組みます。自社のことをどの程度理解しているか聞くことで、おおよその志望度は掴めます。また、志望度が高い応募者ほど、事業内容や業界について調べて理解を深めているはずです。事業への理解と自分の強みをどう発揮していくか、それが明確ならば、志望度は強いと考えられます。

「未来」のことはいくらでも作り話をすることができますが、「過去」の事実はごまかすことができません。そして、人はそれほど簡単に変わらないため、同じような行動を繰り返します。これまでどんな経験をして、現在、何ができるのか。面接官は、応募者の強みをその人の経験から見抜くことが必要です。

そして、評価基準に関しては、「評価項目の洗い出し」や「優先順位」、誰もが判定できる「マニュアル」が必要です。特に経験値が低い面接官が担当する場合にはロールプレイングを実施し、面接評価に対するフィードバックをおこなうことが必要です。

チェックリストだけの面接評価シートでは、後から見返しても当時の状況を思い出すことが難しくなります。コメント欄も用意することで、より記憶に残るシートをご用意いただきたいと思います。

採用を成功させるひとつの要因として、面接評価シートの作成をおすすめします。
田中亜矢子
社会保険労務士 人を育てる人、を育てる。採用定着コンサルティングOFFICE「サン&ムーン」 代表
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