
採用におけるデジタルツールとAIの活用
デジタルツールやAIの進化により、企業の採用活動は大きく変わってきている。例えば、オンライン面接を活用することで、地理的な制約を受けずに多くの候補者と接触することができるようになった。これにより、遠方の優秀な人材を効率的に採用することが可能となっている。
また、企業と参加者がリラックスしながら対話して相互理解を深めることを目的に「カジュアル面接」を導入する企業も増えているが、オンライン面接で行うことによって、更に手軽な印象となり、面接希望者が増えるとともに、ミスマッチを防ぐことにもつながるようだ。
なお、採用プロセス全体をオンラインで完結させることも可能となっている。オンラインでの面接に続き、試験、デジタル契約書のサイン、リモート・オンボーディングの実施など、すべてのステップがデジタル化可能である。これにより、採用プロセス全体が迅速かつ効率的になり、候補者にとっても利便性が向上している。
また、採用にAIを活用する企業も増えている。AI活用は次のようなものがある。
(2)AIスクリーニング(書類選考):選考の初期段階で、各応募者の履歴書データなどからスキルや経験などを読み取り、自動でスコアリングや候補者の優先順位付け等する手法
(3)AI面接:AI技術を活用して面接を自動化した手法
AIの活用により、採用プロセスが効率化されるとともに、候補者の適性や潜在能力をより正確に判断することができ、ミスマッチを防ぐことができる。こうした機能は、一部のATS(採用管理システム)に搭載されているので、気になる場合はATSについてもチェックしておきたい。
「採用マーケティング」で求められる3つの分析
求人募集してもなかなか応募がこない時代となり、採用にマーケティングの考え方を取り入れる企業も増えている。「マーケティング」は簡単に表現すると、「顧客が何を求めているかを理解し、商品やサービスが売れる仕組みをつくること」である。マーケティングにおいて使われる「3C分析」は、採用活動においても有効だ。「3C分析」とは、顧客(Customer)、競合(Competitor)、自社(Company)の3つのCを分析するためのフレームワークである。
採用においては、次の分析を行うことになる。
時代の変化に伴い、求職者の就職への価値観にも変化が起こっている。求職者のニーズを把握する事が重要である。なお、採用の主なターゲット層であるZ世代は「タイムパフォーマンス(タイパ)」を重視するため、テレワーク採用等の働きやすさ、休日日数、労働時間等、ワークライフバランスへの影響がある項目は重要視される傾向がある。
(2)競合相手(Competitor)の分析
採用活動における「競合」は同業他社といえる。休日日数、勤務時間、給与、福利厚生等、どのような条件で求人を出しているかチェックし、自社の条件全てが競合相手に負けているということにならないように注意しておきたい。
(3)自社(Company)の分析
自社がどのような強みや魅力を持っているのか分析し、求職者へ何をアピールしていくか検討することが必要である。
3C分析することで、競合相手との差別化を図り、自社の魅力を見出すことができ、採用ターゲットに対して自社のどの魅力を訴求すればいいのか明確にすることが可能となる。また、現在抱えている課題も明確になるため、改善につなげることも可能と言える。
採用マーケティングは、企業の採用活動において非常に重要な役割を果たすといえる。現代の競争が激化する採用環境では、単に求人情報を公開するだけでは優れた人材を引き寄せることは困難だ。他社との差別化を図ることが採用活動成功の鍵といえる。企業が独自の魅力や強みを明確に打ち出し、それを効果的に伝えることで、競争優位性を確保することができる。
時代の流れとともに、企業の採用活動も変化していくことが予想される。採用担当者としては、優秀な人材を確保するためにも今後の採用活動のトレンドについて注視しておきたい。
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