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採用フォーラム2020in大阪講演録

採用革新の考え方～新卒採用のトレンドと今後の動向を踏まえて～

HRプロ編集部
公開日：2020/03/06

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では採用イノベーションのカギとは何でしょう？新たな採用手法が増加しているのは確かですが、「新しい採用を打ち出す」こと自体が流行化していることが気がかりではあります。採用イノベーションに挑戦している企業の共通点は大きく4つあります。 ①自社のポジションから採用基準を導出するという「戦略的」な発想がある。 ②あえて「何を見ないか」という発想がある。 ③誰かが見てくれるという信頼が「見ない勇気」を支えている。 ④「育成コンテンツ化」した採用が目立つ。 ①はビジネススクールなどでも最初に習う基本です。自分がどこに立ち、何を持っているか。過去は誰と競合していて、今は誰と競合しているのか。総じて大企業は中小企業よりも人気があると言われますが、中小企業としては超人気の大企業と同じ人材を狙うべきなのか。だったら大企業で求められるコミュニケーション能力や学歴、誠実さ、協調性といったことをあえて最優先しない②のような発想もあるのではないか。こういった発想の根底には③のような考え方があります。コミュニケーション能力などは採用後に育成できるかもしれないが、新規事業立ち上げへの情熱や野心などの意欲については育成だけでは如何ともしがたいということです。そして④のように、育成そのものをコンテンツ化する採用が出現し、一定の成果を上げています。例えば、ただインターンシップを行うのではなく、2回のフィードバックでどれだけ改善したかの差分を見極め、その人の学習能力のポテンシャルを評価するわけです。新たな採用手法についての大きな考え方や戦略をご紹介してきましたが、その中で新たなコンテンツとして見られている「Excellence（＝人材要求・優秀さ）」の中身についてもお話ししておきたいと思います。かつて日本企業の採用基準と言えば「コミュニケーション能力」「協調性」「主体性」などが上位を占めましたが、新しいExcellenceでは「ロジカルな思考力」「クリティカルな思考」「ラテラルな思考力」という3つの次元からなる『創造性＝Creativity』、経済的・人的・社会関係・心理的な『資本＝Capitals』が求められます。「ロジカルな思考力」は、問題となっている現象の本質的な要素を抽出し、要素間の関係を見出し、再構成するもの。「クリティカルな思考力」は、提示された主張をある基準に基づいて批判的に評価するもの。「ラテラルな思考力」は、事物に対する既存の認知パターンを超えて、新たなパターンを生み出すものです。これらがバランスよく共存することが創造性には欠かせないということです。「経済的資本」「人的資本」「社会関係資本」「心理的資本」は、それぞれ「その人が何を持っているか」「何を知っているか」「誰を知っているか」「どういう心の『しなやかさ』を持っているか」を指します。中でも心理的資本は、働く個人のポジティブな心理状態に関わっており、自己効力感・楽観主義・希望・レジリエンスなどを構成要素とする集合的な概念です。興味のある方は「ポジティブ心理学」といったワードで検索してみてください。最後に、実際の求職者が何につまずき、問題意識を感じているかをしっかり理解することはとても大切です。私はこれを「求職者のモヤモヤの理解」と呼んでいます。例えば第1志望の企業の面接のため、下宿先から電車や新幹線に乗ることは、学生にとっては安い投資です。しかしその企業が第3志望、第4志望の場合はどうでしょうか。学生はこの金額を高く感じるでしょう。これが「求職者のモヤモヤ」です。これに対して何かできることはないかと考えたある企業が、Skypeによる面接を実施しました。こういった発想はとても重要です。つまり、求職者はどんなモヤモヤを片づけたいのか。それを理解することが、採用の革新につながるかもしれないのです。加えて重要なのは「問いの立て方」です。多くの企業が自問しているのは「どうすれば、優秀な求職者が自社にエントリーし、選考中にドロップアウトせずに残り続け、内定を受け入れてくれるか?」なのだと思います。もちろんそれは、決して間違った問いではありせん。極めてまっとうです。ただ、答えまでの距離が少し遠いのです。そこで、次のように問うてみたらどうでしょうか? 「求職者は、就職活動中に何を考え、何につまずき、悩むのか。20代前半である大学生たちは、若いなりにどんな悩みや不安を抱えて、就活をしているのか。つまり彼らが抱える『課題（就活という短期の課題と、仕事人生という長期の課題）』は、どのような採用活動をすれば、それを解決できるのか？」ただ、「どのような人材が欲しいか、自社はどういう採用活動のポリシーを貫きたいか」という良い意味でのこだわりを持ってはいけない、ということでは決してないことを補足しておきます。私は今の求職者（20代前半~30歳くらいまで）の「ジョブ」を、下記の５つと考えています。みなさんはどうお考えでしょうか？ 1.ほとんどの企業に関する情報を処理する能力とチャンス、丁寧に情報を調べる動機の欠如 2.「キャリアの安定」と「組織そのものの安定性よりも安定的なキャリアを可能にするスキル・知識・経験を身に付けられること」という2種類の安定志向の並存 3.「初期キャリアにおける成長」の重視 4.金銭や物理的条件というよりも「働きがい」の重視、 5.「働き方」へのこだわり自社の採用上のポジションと、採用に使えるリソース（武器）を合わせて考えた時、みなさんの企業にとって有効な採用戦略とはどのようなものでしょうか？ぜひ、周囲の方々と共有してみてください。本日はありがとうございました。

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